【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(9日の動き)

ロシアがウクライナに対する軍事侵攻に踏み切り、現地では今もロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる9日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)。

ロシア報道官「アメリカは経済戦争を宣言」

ロシア産原油などの輸入禁止措置などアメリカがロシアへの圧力を強めていることに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は9日「バイデン大統領の決定を深く分析する必要がある。ロシアの利益を守るために必要なことをする」と述べ、対応を検討する考えを示しました。

そして「アメリカは間違いなくロシアに対して経済戦争を宣言し、戦争を繰り広げている」と強く反発しました。

チェルノブイリ電源喪失 IAEA「安全性に致命的影響なし」

ロシア軍が占拠しているウクライナにあるチェルノブイリ原子力発電所について、ウクライナのクレバ外相は現地時間の9日午後2時ごろ、ツイッターでの投稿で電源が失われたことを明らかにしました。
IAEA=国際原子力機関は「安全性への致命的な影響はない」としています。

ツイッターでクレバ外相は「ロシア軍に占拠されているチェルノブイリ原子力発電所への唯一の送電設備が損傷して、すべての電力供給が途絶えた。電力供給を復旧させるためただちにロシアが攻撃をやめるよう国際社会が求めることを呼びかける。予備のディーゼル発電機で48時間は電力が供給できるが、その後は使用済み核燃料の冷却システムがストップするだろう」としています。

ウクライナ NATO加盟に当面こだわらない考えか

ウクライナのゼレンスキー大統領の与党は8日、声明を出し、NATO=北大西洋条約機構はウクライナの加盟を当面は受け入れる準備ができていないと指摘しました。

そのうえで、アメリカや近隣のトルコに政治や軍事面での安全の保証を求めるとともに、ロシアもウクライナに脅威をもたらさないことを保証すべきだとしています。

ウクライナがこれまで目指してきたNATO加盟には当面は必ずしもこだわらない考えを示したものと見られます。

ウクライナ大統領府は8日、公式サイトにゼレンスキー大統領とアメリカABCとのインタビューの内容を掲載し、この中でゼレンスキー大統領は「すべての近隣諸国や世界の主要国であるアメリカ、フランス、ドイツそしてトルコが参加する集団安全保障協定を結ぶべきである」と述べ、与党と同様の考えを示すとともに、ロシアと話し合う準備があると改めて述べました。

中国 約9000万円相当の援助物資をウクライナに提供へ

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって中国外務省の趙立堅報道官は9日の記者会見で、中国の赤十字社に当たる「中国紅十字会」が人道支援として500万人民元、日本円でおよそ9000万円相当の援助物資をウクライナに提供すると明らかにしました。

そのうえで「きょう第1陣の物資が北京から輸送され、ウクライナ側にできるだけ早く引き渡される」と述べました。

また、アメリカがロシアへの追加の経済制裁としてロシア産の原油などの輸入禁止を発表したことについて、趙報道官は「中国は国際法に基づかない一方的な制裁に断固反対する」と述べて批判しました。

そのうえで「中国とロシアは良好なエネルギー分野の協力関係を維持しており、原油や天然ガスを含む正常な貿易協力を進める」と述べ、ロシアとの貿易をこれまでどおり続ける考えを重ねて示しました。

ウクライナ人女性が日本に避難 大阪で姉夫婦と再会

8日夜、関西空港に1人のウクライナ人女性がたどり着き、大阪で暮らす姉と再会しました。

日本政府はウクライナから避難してくる人たちを積極的に受け入れる方針を示していて8日夜、22歳のウクライナ人の女性が関西空港から入国しました。大阪で暮らす女性の20代の姉と姉の日本人の夫が日本への避難を呼びかけ、女性は先週末に両親と暮らしていたウクライナ西部の街を離れ、単身で隣国のポーランド、そしてアラブ首長国連邦のドバイを経由して大阪に到着しました。

姉夫婦が関西空港の到着ゲート前で妹の到着を待ち、午後7時半ごろに妹がゲートから出てくると姉妹は駆けより、涙を流しながら抱き合っていました。姉は「おなかがすいていないか」などと泣きながら妹を気遣うことばをかけると、ウクライナから逃れたきた妹は「泣かないで」と応じていました。

「ウクライナに平和を」ウクライナ人や家族などが抗議活動 仙台

宮城県内で暮らすウクライナ人やその家族などが仙台市で抗議活動を行い「ウクライナに平和を」などと訴えました。

このうち石巻市で暮らすウクライナ人のシェプノフ・ヴィタリイさんと妻の早坂真由美さんは、攻撃されたウクライナ北部の住宅の写真を掲げながら「ウクライナの実家は戦闘が続く地域にあり、家族や友人からはひどい状況を聞いている。ウクライナに平和を」と訴えました。

また仙台市太白区で暮らすウクライナ人のヤロスラブさんと妻の阿部奈津子さんは「ことしウクライナに行く予定だったので戦争に衝撃を受けている。ロシアは核兵器についても言及していて、被爆国である日本でもおかしいと声をあげ応援してほしい」と涙ながらに訴えていました。

被爆者団体などが改めて軍事侵攻に抗議 広島

広島市の中心部では被爆者団体などが改めて街頭に立って、一連の軍事侵攻に抗議しました。

一連の軍事侵攻をめぐってはプーチン大統領が核兵器の保有を誇示するような姿勢を示したり、ウクライナの原子力発電所や核物質を扱う研究施設が攻撃されたりしていて、参加した人たちは「ヒロシマ、ナガサキを繰り返すな」などと書かれた横断幕や「原発攻撃に抗議する」などと書かれた紙を持って抗議していました。そして「核兵器の使用は二度と繰り返してはならない。ロシアはすぐに戦争を中止するべきだ」などと訴えました。

「原爆の子の像」 禎子さん兄「命を大切にする心」呼びかけへ

広島への原爆投下で2歳の時に被爆した佐々木禎子さんは白血病からの回復を願って折り鶴を折り続けましたが12歳で亡くなり、広島市の平和公園にある「原爆の子の像」のモデルになりました。

禎子さんの兄で福岡県那珂川市に住む佐々木雅弘さんは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「私たち一人一人ができることは何か考えることが問われている」と話し、近く命を大切にする心をつなげたいと「連帯」を呼びかける声明を出す予定です。

チェルノブイリ原発からの核物質のデータ送信 一部停止

ロシア軍が占拠しているウクライナにあるチェルノブイリ原子力発電所について、IAEA=国際原子力機関は原発に設置している核物質に関する一部の監視システムからのデータ送信が停止したと発表しました。詳しい原因などは明らかにされておらず、IAEAが調べているとしています。

ウクライナからの避難者支援 医療スタッフらハンガリーへ出発

ロシアによる軍事侵攻でウクライナから200万人を超える人が国外に避難する中、岡山市の国際医療ボランティア団体のスタッフなどが多くの避難者がいるハンガリーで医療支援を行うため出発しました。

スタッフを派遣するのは岡山市に拠点を置き、紛争や災害の際に人道支援活動に取り組む国際医療ボランティア団体の「AMDA」で、避難者に医療支援を行おうと徳島市のボランティア団体と合同で医師や看護師、それに現地での調整役など4人をハンガリーに派遣することを決めました。

“ロシア軍の死者 2000~4000人か” 米国防情報局長官

アメリカのベリエ国防情報局長官は8日、議会下院の情報特別委員会で証言し、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍のこれまでの死者数について「信頼度は低いが2000人から4000人に上るとみられる」と述べました。情報機関のデータや公開情報を分析した結果だとしています。

“プーチン大統領 側近に意見求めず誤った判断”

アメリカのCIA=中央情報局のバーンズ長官は8日、議会下院の情報特別委員会で証言し、プーチン大統領について「深い個人的な信念に基づいてウクライナを支配しようと決断している。不満と野心が交じる中、長年いらだちを感じていた。助言する側近たちの輪もどんどん小さくしていった」と述べ、NATO=北大西洋条約機構の拡大など欧米への不満を募らせてきたプーチン大統領が側近に幅広い意見を求めなくなったことなどが誤った判断につながったという見方を明らかにしました。

ウクライナからの避難者201万人「今世紀最大の規模」

ウクライナから避難する人の数は増え続けていて、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所によりますと、隣国などに避難した人の数は今月8日までに201万人に上っています。

こうした状況についてUNHCRのマシュー・ソルトマーシュ首席広報官がNHKの取材に応じ「およそ10日間でポーランド国内に100万人、全体で200万人が避難するという状況はかつてないほどの速いペースであり、ヨーロッパでは今世紀最大の規模だ」と指摘しました。また現時点では各国の政府やNGO、それにボランティアによって対応できているとしながらも、ウクライナ国内での戦闘の状況によっては、さらなる避難民が発生する可能性があると懸念を示しました。

ウクライナ 北東部から市民が避難

ロシアとウクライナの合意に基づき8日、北東部の都市から市民の避難が行われました。避難は9日も計画されていますが、アメリカ側はロシア軍は首都キエフを包囲するため部隊を前進させるなど攻撃が激しさを増すおそれがあるとして警戒を強めています。

ロシア国防省は首都キエフなど5つの都市で8日、避難ルートを設置し、これらの地域で一時的に停戦すると発表しました。このうち北東部のスムイからウクライナ中部のポルタワに退避するルートではウクライナの副首相によりますと、これまでにおよそ5000人が避難したということです。

ロシア側は9日も市民の避難を計画しているとしていますが、ウクライナ側はロシア軍が停戦措置を守らずに砲撃を行うなど多くのルートで安全が保たれていないと批判していて、避難が進むのか先行きは不透明です。

ロシア軍 3方向から部隊前進でキエフ包囲計画か

アメリカ国防総省の高官は8日、ロシア軍はウクライナ側の激しい抵抗で首都キエフの中心部に今も近づけていないとの認識を示す一方、主に3方向から部隊を前進させキエフを包囲しようとしていると指摘しました。

このうち最も近づいている部隊はキエフの北西方向にあるアントノフ空港付近にいてキエフ中心部からは20キロ余りの位置にいるほか、北東方向から前進する部隊は北部の都市チェルニヒウにとどまっているということです。

別の部隊が北東部の都市スムイの北側から前進していて、キエフからはおよそ60キロの地点にいるとしています。

国連安保理 “ウクライナ 女性の人道状況悪化”

国連の安全保障理事会は「国際女性デー」に合わせて女性と安全保障をテーマに会合を開き、各国からはロシアが軍事侵攻したウクライナで女性の人道状況が悪化しているとして懸念を示す発言が相次ぎました。
▽ノルウェー ユール国連大使
ロシアの軍事侵攻を改めて非難したうえで「ウクライナの女性に対する暴力や人身売買のリスクが高まっている」と強い懸念を示しました。

▽アメリカ トーマスグリーンフィールド国連大使
避難所で出産せざるをえないなどウクライナの女性たちは想像を絶する選択を迫られていると指摘したうえで「ロシアが対話に戻るならば女性も関与し続けなければならない。それが持続可能な平和を確保する可能性を高める」と述べました。

▽ウクライナの代表
「女性や子どもたちはロシア軍の事実上の人質となっている。避難することも許されず支援物資も届かない」と述べ、ロシア軍を止めるよう国際社会に訴えました。

赤十字「マリウポリ 特に悲惨な状況」

市民の避難を支援しているICRC=赤十字国際委員会の広報官は8日、記者会見で「われわれは人道的な避難ルートを作るため当事者間の対話を促そうと必死に努力しているが状況は悪化している。特にマリウポリでは数十万の人々が悲惨な状況にある」と述べ、ロシア軍の激しい空爆などが続いている東部の要衝マリウポリで食料や水、それに医薬品が足りなくなっていると明らかにしました。

ゼレンスキー大統領 イギリス議会でオンライン演説

「この戦争はわれわれが始めたわけでも望んだわけでもない。しかし母国であるウクライナを失わないために戦わなくてはならない」
「われわれは決して降伏せず決して敗北しない。どんな犠牲を払おうとも海で戦い、空で戦い、国のために戦い続ける」と述べ、ロシアに対する制裁のさらなる強化をイギリスや国際社会に求めました。

ウクライナ市民 少なくとも474人が死亡

国連人権高等弁務官事務所はロシアによる軍事侵攻が始まった先月24日から今月7日までにウクライナで少なくとも474人の市民が死亡したと発表しました。このうち29人は子どもだということです。

数百人の死傷者がいるとされる東部マリウポリなど詳しい状況が確認できていないケースも多いとしていて、亡くなった人やけがをした市民は実際にはさらに多いとみられています。

ロシアの中央銀行 市民の外貨での現金引き出しを制限

ロシアの中央銀行は9日、ロシア国内で外貨で現金を引き出す際、ことし9月までは1万ドル、日本円で115万円余りに制限すると発表しました。上限を超えて引き出す場合はロシアの通貨ルーブルでの受け取りになるとしています。またこの期間中、外貨の新たな販売も禁止するとしています。

ロシアでは国際的な決済ネットワークからの締め出しといった各国の厳しい制裁によってルーブルが大きく値下がりしていて、経済の混乱は一段と広がっています。

マクドナルド ロシア国内の全店舗を一時閉鎖へ

ハンバーガーチェーン大手のマクドナルドは8日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けてロシアにあるすべての店舗を一時閉鎖すると発表しました。ソビエト時代末期、1990年にモスクワに進出したマクドナルドは当時熱狂的な人気を集めたことで知られ、現在はロシアにおよそ850の店舗があります。

●スターバックス コカ・コーラ ロシアでの事業停止
コーヒーチェーン大手のスターバックスは8日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて商品の出荷や店舗の営業などロシア国内におけるすべての事業を停止すると発表しました。また大手飲料メーカーのコカ・コーラも8日、ロシアにおけるすべてのビジネスを停止すると発表しました。

バイデン大統領 ロシア産原油の輸入禁止を発表

アメリカのバイデン大統領は8日、ロシア産の原油や天然ガス、石炭などのエネルギーの輸入を全面的に禁止する大統領令に署名しました。ロシアの主要産業であるエネルギーの禁輸に踏み切ることで圧力を強めるねらいです。

●イギリスもロシア産原油輸入の段階的停止へ
またイギリス政府はことし末までにロシア産の原油の輸入を段階的に停止する方針を明らかにしました。ロシアに対する制裁強化で協調を呼びかけていたアメリカに歩調を合わせた形です。
●米の専門家「米単独では限定的」
かつてアメリカの駐アゼルバイジャン大使を務め、エネルギー安全保障に詳しいリチャード・モーニングスター氏は輸入禁止措置は重要な一歩だと評価したうえで「アメリカだけでは大きな打撃を与えることは難しいだろう。ヨーロッパ各国が輸入を減らせばとてつもない打撃を与えることができる」として、アメリカ単独ではロシアに与える打撃は限定的でヨーロッパ各国が制裁に加わることが必要だと指摘しました。

英石油大手シェル ロシアから完全撤退と発表

イギリスの大手石油会社シェルは原油や天然ガスなどロシアからのすべての資源の調達を段階的に終了させ、ロシア事業から完全に撤退すると発表しました。

ウクライナ足止めのインド人留学生約700人 避難ルートへ

インド外務省の報道官は軍事侵攻の影響でウクライナ北東部のスムイで足止め状態となっていたインド人の留学生およそ700人について、避難ルートが設定されたウクライナ中部のポルタワに向けて全員が出発したとツイッターに投稿しました。