“避難ルート”避難開始も… ウクライナ側「ロシア軍が砲撃」

ロシアのウクライナへの軍事侵攻が続く中、ロシア国防省は8日も首都キエフなど5つの都市で市民のための避難ルートを設置するとしていて、このうち1つのルートでは避難が始まりました。しかしウクライナ側は、別ルートではロシア軍が砲撃を開始し停戦が破られたと批判していて、どこまで市民の避難につながるかは不透明です。

ロシア軍は8日も各地で攻勢を続けていて、国連人権高等弁務官事務所によりますと、6日までに子どもを含む少なくとも市民406人の死亡が確認されたということです。

ロシア国防省は首都キエフ、ハリコフ、東部の要衝マリウポリ、北東部のスムイ、北部チェルニヒウで日本時間8日午後4時から市民のための避難ルートを設置し、これらの地域で一時的に停戦すると発表しました。

首都キエフなど複数の都市から市民の避難を試みるのは前日・7日に続いてとなります。

8日、ロシア軍が発表したルートのうち北東部のスムイからウクライナ中部のポルタワに移すルートは市民の避難が始まりました。

ウクライナのベレシチュク副首相は、東部のマリウポリからウクライナ南東部のザポリージャへのルートも避難が始まるという見通しを示しましたが、その後ウクライナ外務省は、ロシア軍が砲撃を開始し停戦が破られたと批判しています。ベレシチュク副首相は、残りの避難ルートはロシア側と合意ができていないとしています。

ロシア軍の発表では、多くのルートがロシアやベラルーシに市民を避難させることになっていることから、市民の安全を強く懸念しているものとみられます。

市民の避難をめぐっては、7日もロシア側とウクライナ側はそれぞれ相手が攻撃を行ったと批判して一時停戦が実現できずにいて、どこまで市民の避難につながるかは不透明です。

ロシアのプーチン大統領は8日、国際女性デーに合わせて女性たちに向けたビデオ声明を出し、ウクライナの戦闘に参加する女性兵士たちに感謝の意を伝えるとともに、国民に軍事作戦への理解を求めました。

そのうえで「徴集兵は軍事行動に関わっていないし、関わることはない。任務は職業軍人によって達成される」と述べたうえで、作戦は順調だと強調しました。

ロシアとウクライナとの停戦をめぐって3回目の交渉が7日に行われましたが立場の隔たりが埋まらず、ロシア側は早ければ8日も交渉を行う姿勢を示していますが、プーチン大統領はウクライナの「非軍事化」などを要求していて、依然事態打開のめどは立っていません。

ロシア “5都市から避難” ウクライナ “スムイのほか合意なし”

ロシア国防省は、8日の市民の避難は、ウクライナ国内の5つの都市から行われると説明しています。

それによりますと、
▼首都キエフと隣接する地域からは、ベラルーシ南東部のゴメリに向かうルートで、ゴメリからは、航空機でロシアに避難させるとしています。

▼また、北部チェルニヒウからもベラルーシのゴメリに向かい、ゴメリからは航空機でロシアに移す計画です。

そして、
▼北東部のスムイからは、ロシアの西部ベルゴロドと、ウクライナ中部のポルタワに移動し、その後、別の目的地に避難させるとしています。

▼第2の都市ハリコフからは、ロシア西部のベルゴロドに移動し、その後、空路や鉄道などでウクライナ西部のリビウや、ウジゴロド、イワノフランコフスクに避難させるとしています。

▼また、東部要衝のマリウポリからは、ウクライナ南東部のザポリージャと、ロシア南部のロストフ・ナ・ドヌーに向かう2つのルートがあるとしています。

ロシア側が説明する避難ルートについて、ウクライナ側は、
▼北東部のスムイからウクライナ中部のポルタワへは市民の避難が始まったとしていますが、そのほかのルートは合意できていないとしています。