“ロシア軍 国境周辺戦闘部隊 ほぼ100%投入” 米国防総省高官

アメリカ国防総省の高官は、ウクライナに侵攻したロシア軍が、国境周辺に展開していた戦闘部隊のほぼ100%をウクライナ国内に投入したとの分析を明らかにしました。
一方、停戦に向けたウクライナとロシアの交渉は、3回目も大きな進展がなく、戦闘の激化が懸念されています。

アメリカ国防総省の高官は7日、ロシア軍が国境周辺に展開していた戦闘部隊のうち、ほぼ100%の戦力をウクライナ国内に投入し、625発以上のミサイルを発射したとの分析を明らかにしました。

そして▼首都キエフに向けて南下しているロシア軍の部隊について、ウクライナ軍の抵抗もあって動きが停滞しているとしたほか、▼ウクライナ軍は今も多くの航空戦力を維持し、制空権をめぐる攻防が続いているとの認識を示しました。

その上で、ロシア軍が砲撃を増やしていると指摘し「民間のインフラ施設や住宅地などを攻撃している」と懸念を示しました。

国連人権高等弁務官事務所によりますと、2月24日から3月6日までにウクライナでは少なくとも市民406人が死亡し、このうち27人は子どもだということです。

ウクライナの首都キエフにある子ども病院の医師はNHKの取材に対し「多くの子どもたちが病院の地下に避難し治療を受けている。がんなど、子どもたちの病気の悪化が心配だ」と訴えました。

また、首都キエフの中心部から西に20キロ離れたイルピンでは、多くの住民が避難を始め、お年寄りの1人は「これはファシズムであり、集団虐殺だ」とロシアの軍事侵攻を非難しました。
ポーランドとの国境付近のベラルーシ西部では7日、停戦に向けてウクライナとロシアの代表団が3回目の交渉に臨みましたが、双方の立場の隔たりは埋まらず、大きな進展はありませんでした。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、7日公表した動画で、首都キエフなどの都市から市民を避難させる試みが実現できていないことについて「市民の安全な避難ルートについて合意はあるが、避難はロシアの戦車、ロシアの地雷のせいでうまくいっていない」と述べ、ロシア側の対応を非難しました。
こうした中、仲介に乗り出したトルコのチャウシュオール外相は、3月10日、トルコ南部のアンタルヤにロシアのラブロフ外相とウクライナのクレバ外相を招き、3者会談を行うと発表しました。

ただ、プーチン大統領は、ウクライナの「非軍事化」や「中立化」というロシアの要求が受け入れられない限り、軍事作戦は停止しないと主張していて、停戦が見通せないなか、戦闘が激化することにならないか懸念されています。