中国外相 「国際社会とともに仲裁の用意ある」 ウクライナ侵攻

中国の王毅外相は記者会見で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について、対話による解決を改めて訴えたうえで「必要な時に、国際社会とともに仲裁を行う用意がある」と述べ、必要に応じて、国際社会と連携して仲裁にあたる考えを示しました。

中国の王毅外相は、北京で開かれている全人代=全国人民代表大会に合わせて7日、記者会見しました。

この中で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「対話と話し合いを通じて、平和的な方法で争いを解決しなければならない」と述べ、対話による解決を改めて訴えました。

そのうえで「中国は和解に向けた話し合いを促し、建設的な役割を果たしていきたい。必要な時に、国際社会とともに仲裁を行う用意がある」と述べ、必要に応じて、国際社会と連携して仲裁にあたる考えを示しました。

また「人道主義的な危機を克服するため、引き続き努力したい」と述べ、ウクライナに緊急的な人道支援を行う考えも示しました。

一方、王外相は日本がアメリカなどとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性にたびたび言及していることなどを念頭に「歴史や台湾などの重大で敏感な問題は、両国関係における相互信頼の根幹に関わる。日本がこうした問題について一連の厳粛な約束を守り、両国関係に再び深刻な影響をもたらさないことを望む」と述べ、日本側をけん制しました。

この発言の際、王外相は日本に対する「忠告」ということばを用いています。

さらに、王外相は「台湾問題は、完全に中国の内政問題だ。台湾問題とウクライナ問題は、根本的に異なり、比較できない」と述べ、ウクライナ問題が、台湾海峡をめぐる情勢に影響を与えるのではないかという見方を否定しました。

また、米中関係について「アメリカは、中国の核心的利益に関わる問題において絶えず攻撃と挑発を続け、両国関係の大局を損ねるだけでなく、国際平和の安定に影響を与えている。これは責任ある大国がとるべき態度ではない」と述べ、アメリカを批判しました。

「クアッド」の枠組みなどを強く非難

中国の王毅外相は記者会見で、アメリカが先月、中国への対抗を念頭に発表したインド太平洋戦略について「真の目的はインド太平洋版のNATO=北大西洋条約機構をつくる企みで、アメリカが主導する覇権を守るためのものだ」と述べるとともに、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4か国でつくる「クアッド」の枠組みなどを強く非難しました。

そのうえで「われわれは、地域の対立をあおる主張には断固として反対する」として対抗していく姿勢を示しました。

北朝鮮問題はアメリカの行動次第

中国の王毅外相は記者会見で、核開発を続ける北朝鮮について「北朝鮮側の合理的な安全保障上の懸念が根本的に解決されておらず、解決にはすべての当事者がともに向き合うことが必要だ」と指摘し、今後の進展は、アメリカが問題の解決に向けて具体的な行動を起こすかどうか次第だという認識を示しました。

そのうえで王外相は「政治的解決のプロセスを絶えず推進するよう改めて呼びかける。中国側は引き続き建設的な役割を発揮し、しかるべき努力をしたい」と述べました。