岸田首相 ロシア国内の日本人に出国検討を呼びかけ 参院予算委

国会では7日、参議院予算委員会で集中審議が行われました。ウクライナ情勢をめぐり、岸田総理大臣は、ロシアへの制裁措置に伴い、ロシア国内で暮らす日本人の生活にも影響が出始めているとして、出国を検討するよう呼びかけるなど、安全確保に万全を期す考えを示しました。

自民 園田修光氏 現状認識と今後の対応は

「岸田総理はウクライナとともにあると言っているが全く同感だ。ロシアやベラルーシにも平和を求めている国民は多く、隣国に避難している方々への支援も最大限行ってほしい」と述べ、現状認識と今後の対応を質問しました。

岸田総理大臣は「ロシア軍は徐々に勢力を拡大させてきており、ウクライナ側も、各地で懸命の防戦を続けている。原子力発電所に対する攻撃は決して許されない暴挙で、福島第一原子力発電所事故を経験したわが国として強く非難し、懸念する。ウクライナから第三国に避難された方々の受け入れも進めていきたい」と述べました。

立民 小西洋之氏 「核共有」非核三原則のなにに違反か

アメリカの核兵器を同盟国で共有する「核共有」について、「岸田総理大臣は政府として議論する気もないと言っているが、その理由として非核三原則を挙げている。非核三原則のなにに違反すると考えているか」とただしました。

岸田総理大臣は「日本の場合、アメリカの核兵器を置き、有事には戦闘機などにより、搭載、運用可能な体制を保持することで、日本の防衛のためにアメリカの核抑止力を共有するという枠組みであるとすれば、非核三原則と相入れず、認められない。少なくとも非核三原則の『持ち込ませず』とは相いれない」と述べました。

一方で「『緊急事態が発生し、核の一時的寄港を認めないと日本の安全が守れないという事態が発生したとすれば、その時の政権が、政権の命運をかけて決断し、国民に説明する』という平成22年当時の岡田外務大臣の答弁は岸田内閣でも引き継いでいる」と述べました。

公明 三浦信祐氏 “国際社会と連携し行動すべき”

日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4か国の枠組み「クアッド」をはじめとする国際社会との連携について「クアッドのみならず、G7や同志国と強力な経済金融制裁などを行い、ロシア軍の即時撤退を強く求めることを発信し、行動すべきだ」と求めました。

岸田総理大臣は「国際秩序の根幹を守り抜くため、国際社会が結束して、きぜんと行動し、ロシアに対し強い制裁措置をとりつつ、即時の停戦と撤退を強く求めていかなければならない。今後の状況を踏まえつつ、G7、日米豪印をはじめ国際社会と緊密に連携して対応していきたい」と述べました。

国民 浜口誠氏 “ロシア在住の日本人への影響懸念”

ロシアに対する経済制裁を踏まえ「経済制裁が強まることで、ロシアに在住している日本人の安全面や生活面への影響がどうなっていくのか、大変懸念される」と指摘し、ロシアで暮らす日本人への影響や支援策を問いました。

岸田総理大臣は「航空便の運航停止が相次ぎ、出国手段が著しく制限されている。市民生活にも影響が出始めていて、ロシア全土の危険情報を渡航中止勧告に引き上げ、在留邦人に商用便での出国を検討するよう呼びかけている。状況は流動的であり、細心の注意を払い、機敏に対応して安全確保に万全を期していきたい」と述べました。

維新 片山大介氏 “ロシア航空機の領空飛行どうするのか”

これまでの日本の制裁措置について「主体性がなく後追いだと感じざるをえない。ベラルーシへの制裁も遅かった」と指摘したうえで「欧米各国は自国の領空で、ロシアの航空機の飛行を禁止する措置を取り始めている。日本はまだだが、どうするのか」とただしました。

岸田総理大臣は「わが国の対応は各国に比べて遅かったと認識していない。G7はじめ関係国から繰り返し謝意が表されるなど評価されている」と反論しました。

そのうえで「飛行禁止措置など、各国の措置は大きなところは一致しているが、詳細は差異がある。さまざまな制裁の可能性は、日本にはまだあり、効果的な制裁措置の発動が重要だ」と述べるにとどめました。

共産 倉林明子氏「小学校休業等対応助成金 見直すべき」

新型コロナの影響で休校となった場合などに、保護者が有給休暇を取得しやすくするための「小学校休業等対応助成金」について「事業主が休ませたと認めないかぎり使えない。これが歯止めとなって使えないハードルになっており、いま、抜本的に見直すべきだ」と求めました。

後藤厚生労働大臣は「事業主には助成金が活用できるということをしっかりと説明していきたい。支給の法律上の要件として休業の確認という事情があるが、この点も含めて理解してもらえるよう丁寧に働きかけを行っていく」と述べました。

一方、岸田総理大臣は、ガソリン税の上乗せ分の課税を停止するいわゆる「トリガー条項」の凍結解除をめぐって、国民民主党の玉木代表との間に約束があるのか問われ「激変緩和措置などで対応し、さらに価格が高騰した場合には、あらゆる選択肢を排除せず検討する。約束しているのは、それに尽きる。今月4日に与党として玉木氏の話を聞いたが、その場でも特定の政策で、何らかの結論を得たということではない」と否定しました。

立民 小西氏 “プーチン大統領の核戦力念頭”について

また、プーチン大統領が、核戦力を念頭に抑止力を特別警戒態勢に引き上げるよう命じたことについて「国連憲章第2条4項違反であり、武力による威嚇にもあたる」と述べました。

公明 三浦氏 ロシアに対する経済制裁の影響について

さらに、ロシアに対する経済制裁が日本国内のエネルギーの安定供給に与える影響について、萩生田経済産業大臣は「現時点では、直接的な影響は想定されていないが、ロシアの金融機関がSWIFTから排除されたことなどで、間接的にエネルギー関連プロジェクトの操業に影響が出る可能性があり、注視していきたい」と述べました。

維新 片山氏 ウクライナ避難者の受け入れについて

また、林外務大臣は、ウクライナから国外に逃れる避難者の受け入れについて「親族や知人がいる方は、短期査証を発給して入国を認める。親族や知人がいない方も、人道上の配慮が必要な場合には、原則、短期査証を発給するなどして入国を認める」と述べました。
一方、岸田総理大臣は東日本大震災から11年となる今月11日に福島県主催の追悼式に出席し、翌12日には岩手県と宮城県の追悼祈念施設を訪れ、献花と黙とうを行う考えを示し、「東北の復興なくして日本の再生なしとの強い決意のもと、被災地の復興に全力を尽くしたい」と述べました。