株価 一時900円以上値下がり ことし最安値 アジア株も大幅下落

週明けの7日の東京株式市場は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、原油の供給不足への警戒感から世界経済の先行きへの懸念が広がり、日経平均株価は一時、900円以上値下がりして、ことしの最安値を更新しました。

週明けの7日の東京株式市場は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、アメリカが同盟国と協調して、ロシアからの原油の輸入禁止を検討していることが明らかになり、供給不足への警戒感から原油価格が急激に上昇したことに加え、ウクライナの住民を避難させる試みが実現せず、停戦に向けた事態打開のめどが立たない中、投資家の間に世界経済の先行きへの懸念が広がりました。

このため、リスクを避けようと売り注文が広がって、ほぼ全面安の展開となり、日経平均株価は一時、900円以上値下がりしました。

日経平均株価、7日の終値は、先週末より764円6銭安い2万5221円41銭と、終値として、ことしの最安値を更新し、およそ1年4か月ぶりの低い水準となりました。

また、東証株価指数=トピックスは50.91下がって1794.03。

1日の出来高は17億5053万株でした。

市場関係者は「午後に日銀が、ETF=上場投資信託の買い入れを行うのではないかとの観測が広がり、買い戻しの動きも出たが、ウクライナ情勢の緊迫化が続く中で、下げ幅の縮小は限定的だった。投資家の間では、原油価格の上昇で企業の業績が圧迫されることへの懸念が広がっている」と話しています。

日銀 株価下落でETF買い入れ

東京株式市場で株価が大きく下落した7日、日銀は701億円を投じて、複数の株式をまとめてつくる、ETF=上場投資信託を買い入れました。

日銀は大規模な金融緩和策の一環として、市場が大きく不安定化した場合にETFを買い入れていて、先月14日以来ことし4回目となります。

官房長官「経済財政運営に万全期していきたい」

松野官房長官は、午後の記者会見で「株価の日々の動向は、経済状況や企業の活動などさまざまな要因により市場で決まるものであり、コメントは差し控えたい。政府としては、引き続き、緊張感を持って市場の動向を注視するとともに、経済財政運営に万全を期していきたい」と述べました。

また、物価の上昇について、「主に原油をはじめとする世界的な原材料価格の上昇などによるものと承知している。政府としては、今月4日に取りまとめた緊急対策を重層的に講じることで、国民生活や企業活動への影響を最小限に抑えていくと同時に、賃上げ促進税制や価格転嫁対策など、あらゆる施策を総動員し、企業が賃上げしようと思える環境をつくっていく」と述べました。

原油高騰でアジア株 大幅下落

7日のアジアの株式市場は、ウクライナ情勢をめぐって国際的な原油の先物価格が上昇したことを受けて景気の先行きへの懸念が広がり、香港で一時、4%を超える下落となるなど、各地で株価が大幅に値下がりしました。

各地の代表的な株価指数の終値は、
先週末と比べて
▽香港で3.8%、
▽台湾で3.1%、
▽韓国で2.2%、
▽中国・上海で2.1%とそれぞれ大幅に下落しました。

多くの市場では、アメリカが同盟国と強調してロシアからの原油の輸入禁止を検討していると伝わって、国際的な原油の先物価格が急激に上昇したことで取り引き開始直後から売り注文が膨らみ、香港では一時、下げ幅が4%を超えて、終値はおよそ5年8か月ぶりの安値水準となりました。

市場関係者は、「原油の先物価格が急激に上昇したことで、インフレにつながるという見方から、景気の先行きへの懸念が広がりリスクを避けようと売り注文が膨らんだ。香港では新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることも下落につながった」と話しています。

ヨーロッパ株も下落 天然ガスの価格も高騰

日本時間の7日夕方に、7日の取り引きが始まったヨーロッパの主な株式市場は、国際的な原油の先物価格の急激な上昇を受けて景気の先行きへの懸念が強まり、株価が大幅に下落しています。

日本時間の午後5時に始まったヨーロッパの株式市場では、東京やアジアの市場に続いて、取り引き開始直後から売り注文が膨らみ、ドイツのフランクフルト市場とパリ市場では、下げ幅が一時4%を超えました。

日本時間の午後6時時点での主な株価指数は先週末の終値と比べて、
▽フランクフルト市場で3.9%、
▽パリ市場で3.5%と急落しているほか、
▽ロンドン市場でも2.1%の大幅な下落になっています。

市場関係者は、「アメリカが同盟国と協調してロシアからの原油の輸入禁止を検討していると伝わったことで、国際的な原油の先物価格が急激に上昇し、原油をロシアに依存するヨーロッパで、記録的なインフレがさらに加速する懸念が強まっている」と話しています。

また7日のヨーロッパの市場では、天然ガスの価格も大幅に上昇していて、「オランダTTF」と呼ばれる指標価格が、一時、1メガワットアワー当たり330ユーロを超え、史上最高値を更新しています。