NY原油 一時1バレル=130ドル超 13年8か月ぶり高値水準に

ニューヨーク原油市場では6日、国際的な原油の先物価格が一時、1バレル=130ドルを超え13年8か月ぶりの高値水準まで急激に上昇しました。
アメリカが同盟国と協調しロシアからの原油の輸入禁止を検討していることが明らかになり、供給不足への警戒感が一段と強まっています。

ニューヨーク原油市場の6日の取り引きでは国際的な指標となるWTIの先物価格が1バレル=115ドル台だった先週末から急激に上昇し、一時、130ドルを超えました。

これは2008年7月以来、13年8か月ぶりの高値水準です。

また、ロンドンの市場で取り引きされている北海産のブレント原油の先物価格も、13年8か月ぶりに1バレル=139ドル台まで上昇しました。

ウクライナへの侵攻で厳しい経済制裁を受けている産油国ロシアから原油の供給が滞る懸念が広がる中、6日、アメリカのブリンケン国務長官が同盟国と協調してロシアからの原油の輸入の禁止について具体的な検討を進めていると明らかにしたことで、市場で供給不足への警戒感が一段と強まったためです。

市場関係者は「ブリンケン国務長官の発言で先行きの不透明感が一気に広がっていて、原油価格がどこまで上昇するのか見通せなくなっている」と話しています。

東京原油市場 2008年9月以来の高値水準

週明けの7日の東京原油市場は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって、原油の供給不足への警戒感が一段と強まり、原油の先物価格はおよそ13年半ぶりの高値水準となりました。

7日の東京原油市場は、取り引きの中心となる先物価格が、終値で1キロリットル当たり7万7240円をつけました。

先週末の終値より1万円以上の大幅な値上がりで、取引時間中としては、2008年9月以来、およそ13年半ぶりの高値水準となりました。

これはロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって、アメリカのブリンケン国務長官が同盟国と協調して、ロシアからの原油の輸入の禁止について具体的な検討を進めていると明らかにしたことで、供給不足への警戒感が一段と強まったことによるものです。

市場関係者は「ウクライナへの侵攻で厳しい経済制裁を受けている産油国ロシアから、原油の供給が滞る懸念が広がる中、リスクを強く意識した取引になっていて、値下がりしている株式から資金を原油に移す動きも出ている。停戦の見通しが立たない中では原油価格の上昇には当面、歯止めはかかりそうにないという見方が優勢だ」と話しています。

松野官房長官「国際社会と連携しながら適切に対応」

松野官房長官は、午前の記者会見で、アメリカのブリンケン国務長官がロシアからの原油の輸入禁止について検討を進めていると明らかにしたことをめぐって「日米間では日頃より、さまざまなやり取りをしているが、コメントは差し控えたい。わが国としては、国際的なロシアに対する制裁強化の動きの中で、エネルギーの安定供給と安全保障を最大限守るべき国益の1つとして、G7をはじめとした国際社会と連携しながら適切に対応していきたい」と述べました。

そのうえで「原油価格は上昇傾向が継続していて、企業活動や暮らしへの影響が懸念される。政府としては、国際的な協調のもとで、民間備蓄の放出を速やかに進めるとともに、産油国への増産の働きかけを継続していく。国際的なエネルギー市場の動向や、日本経済に及ぼす影響を緊張感を持って注視し、機動的に対応策を講じたい」と述べました。

漁業者や流通会社 経営に大きな打撃 燃料や資材が値上がり

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響で原油価格が高騰するなか、水揚げ量日本一の千葉県の銚子漁港では、漁業者や流通会社が、漁船の燃料や資材の値上がりで経営に大きな打撃を受けています。

水産物の水揚げ量が全国で最も多い銚子漁港では、7日朝も生マグロの競りが行われていましたが、新型コロナウイルスによる影響が長期化し、飲食店の魚の買い控えが続いているということです。

そうした状況に加え、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響で、原油価格が高騰していることに、漁業者や流通会社はいま、強い不安を感じています。

銚子市や銚子水産流通業連合会によりますと、漁船の燃料に使う重油の価格は、1リットル当たり100円余りと、去年より20%程度値上がりしているほか、水産物を詰める容器の価格も去年よりおよそ20%値上がりし、漁業者や流通会社の経営に大きな打撃になっているということです。

銚子水産流通業連合会の宮内隆会長は「容器の価格や運送料金などが軒並み値上がりしていて、仲買人は困っています。軍事侵攻による原油高騰が早く収まってほしい」と話しています。