ロシア軍 避難ルート設置発表も 砲撃続き 住民の避難延期に

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、東部の要衝マリウポリへの攻勢を強め、ロシア国防省はこの地域に住民の避難ルートを設置すると発表しました。
しかし、このあとウクライナ側は、ロシア軍が砲撃を続けているため住民の避難を延期することになったと明らかにし、早くも先行きは厳しくなっています。

ロシア軍は、南東部にあるヨーロッパ最大規模の原子力発電所を掌握するなど各地で攻勢を強めていて、ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は5日、これまでに2000を超える軍事施設や車両などを攻撃したと発表しました。

ロシア軍は、親ロシア派の武装勢力とともにアゾフ海に面する東部の要衝、マリウポリへの攻勢を強めていて、国防省はマリウポリと周辺の町で日本時間の5日午後4時から一時的に停戦し、住民の避難ルートを設置すると発表しました。

避難ルートの設置は、今月3日に行われたロシアとウクライナの停戦をめぐる交渉で合意されていました。

しかし、このあとマリウポリ市などは、ロシア軍が停戦措置を守らずに砲撃を続けていて、安全上の理由から住民の避難を延期せざるをえなくなったと明らかにしました。

一時的な停戦措置が早くも破られたことで、住民の避難は先行きが厳しくなっています。

ただ、これについてロシア国防省は、攻撃を仕掛けてきたのはウクライナ側だと主張しています。

一方、ウクライナ側との今後の交渉について、ロシア大統領府のペスコフ報道官はメディアのインタビューに対し「ウクライナの中立的な地位が憲法に記されることや、ヨーロッパの安全保障のバランスを変えうる兵器がウクライナに配備されないと保証されるべきだ」と述べました。

プーチン大統領は、双方の3回目の交渉がこの週末にも開かれるという見通しを示していますが、一方でウクライナの「非軍事化」や「中立化」などが必要だと繰り返し強調していて、停戦につながるかは見通せない状況が続いています。