北朝鮮 弾道ミサイル発射 EEZ外落下とみられる 被害情報なし

5日午前、北朝鮮から弾道ミサイル少なくとも1発が東の方向に発射されました。
日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したと推定され、これまでのところ日本の航空機や船舶の被害などの情報は確認されていないということです。
防衛省は引き続き情報収集と分析を進めています。

防衛省によりますと、5日午前8時47分ごろ、北朝鮮の西岸付近から弾道ミサイルが少なくとも1発、東の方向に発射されたということです。

最高高度はおよそ550キロ、飛んだ距離はおよそ300キロと推定されています。

また、落下地点は北朝鮮の東岸付近で、日本のEEZ=排他的経済水域の外側と推定されるということです。

これまでのところ、日本の航空機や船舶の被害などの情報は確認されていません。

防衛省は、北朝鮮が前回、先月27日に発射した弾道ミサイルについて、軍事偵察衛星に関する試験を行った可能性もあると分析していて、今回発射されたミサイルは、最高高度や飛距離などの類似点があるとして、詳しく調べています。

また、防衛省は北朝鮮がことしに入って高い頻度で新たな形での発射を繰り返しているとして引き続き、情報収集や分析、警戒・監視に万全を期すことにしています。

岸防衛相「安保理決議に違反 強く非難する」

岸防衛大臣は、防衛医科大学校の卒業式に出席するため、埼玉県所沢市に向かっていましたが、急きょ取りやめて、東京 市ヶ谷の防衛省に入り、幹部会議を開いて情報の集約や分析などを行いました。

このあと岸防衛大臣は、記者団に対し「わが国や地域、国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できない。国連安保理決議にも違反するものであり、強く非難する」と述べ、北朝鮮に対し、大使館ルートを通じて抗議したことを明らかにしました。

そのうえで岸大臣は「北朝鮮の意図について、断定的に答えることは控えるが、国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応している中、また、北京パラリンピック開催中の発射であり、断じて容認できない」と述べました。

北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、先月27日以来で、この時の発射について防衛省は、軍事偵察衛星に関する試験を行った可能性があると分析しており、岸大臣は今回の発射との関連について「いま得られている情報では、類似点はあると思う」と述べました。

弾道ミサイルの発射を受けて、岸田総理大臣は、情報の収集と分析に全力を挙げ、国民に対し、迅速・的確な情報提供を行うこと、航空機や船舶などの安全確認を徹底すること、それに不測の事態に備え、万全の態勢をとることを指示しました。

防衛省では、警戒・監視に万全を期すとともに、情報収集と分析を進めています。

海上保安庁 これまでに船舶への被害情報なし

海上保安庁は「北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射された」という情報があると、防衛省から連絡を受けたと午前8時53分に発表しました。

さらに海上保安庁は「弾道ミサイルの可能性があるものは、すでに落下したとみられる」という情報があると、防衛省から連絡を受けたと午前9時34分に発表しました。


海上保安庁が日本周辺の海域で被害などの確認を進めていますが、これまでのところ日本に関係する船舶への被害の情報は入っていないということです。

韓国 緊張を高める行為を直ちにやめるよう求める

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が5日午前8時48分ごろ、首都ピョンヤン郊外の国際空港があるスナン付近から日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射し、飛行距離はおよそ270キロ、高度はおよそ560キロだったと明らかにしました。

同じスナン(順安)付近からは、先月27日にも弾道ミサイル1発が発射され、北朝鮮は「偵察衛星の開発のための重要な実験を行った」と発表していて、韓国では、今回も特徴が似ているとして追加の実験を行ったのではないかという見方が出ています。

北朝鮮がことしに入って9回目の発射を行ったことを受け、韓国政府は、緊急のNSC=国家安全保障会議を開いて対応を協議し「前例がないほど繰り返されている弾道ミサイルの発射は、国連安全保障理事会の決議違反だ」と非難しました。

また、韓国は来週9日に大統領選挙の投票を控えている上、国際社会がウクライナ情勢への対応に追われている時期だと指摘し、緊張を高める行為を直ちにやめるよう北朝鮮に求めました。

韓国の通信社、連合ニュースは、北朝鮮の意図について「ロシアによるウクライナ侵攻で情勢が不安定となる中、みずからの存在感を誇示し、アメリカに対する交渉力を高めようとしている」と伝えています。

日米高官が電話協議 緊密連携を確認

北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けて、外務省の船越アジア大洋州局長は、アメリカ国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表と、5日正午ごろからおよそ15分間、電話で協議しました。

この中で両氏は、たび重なる弾道ミサイルの発射を含めた最新の北朝鮮情勢について意見を交わし、拉致・核・ミサイルといった北朝鮮問題の解決に向け、日米両国や、韓国を加えた3か国で、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。

アメリカ インド太平洋軍も非難声明

アメリカのインド太平洋軍は声明を発表し「北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを把握しており、韓国や日本などと緊密に協議している。アメリカは今回の発射を非難し、北朝鮮に対して不安定化させる活動を控えるよう求める」としました。

そして「今回の発射はアメリカの国民や領土、それに同盟国に対する差し迫った脅威ではないと判断しているが、引き続き状況を注視する」としたうえで、日本と韓国の防衛に対するアメリカの関与は揺るぎないものだと強調しました。

北朝鮮のミサイル発射 ことしに入って9回目

防衛省によりますと北朝鮮が弾道ミサイルなどを発射したのは、先月27日以来で、ことしに入って9回目です。

これまでの8回のうち7回は、弾道ミサイルと推定されています。

このうち、1月5日に発射された1発について、防衛省は通常よりも低い最高高度およそ50キロで飛しょうしたとみられ、距離は通常の弾道軌道だとすればおよそ500キロだったと推定しています。

これまで北朝鮮から発射されたことのない新型の弾道ミサイルだと分析しています。

1月11日に発射されたのは弾道ミサイル1発で、最高高度およそ50キロ、最大速度およそマッハ10で飛しょうし、左方向への水平機動も含め変則的な軌道だったことから、距離がおよそ700キロに及ぶ可能性があると分析しています。

1月14日に発射された2発は最高高度がおよそ50キロで、通常の弾道軌道だとすればおよそ400キロ飛しょうしたと推定されています。

固体燃料推進方式の短距離弾道ミサイルで、去年9月15日に鉄道から発射されたものと同型とみられるとしています。

1月17日に発射された2発は最高高度がおよそ50キロで、通常の軌道であればおよそ300キロ飛しょうし、北朝鮮の東岸付近に落下したと推定されています。

1月25日のミサイルについて防衛省は詳細を公表していませんが、北朝鮮の発表によりますと、長距離巡航ミサイルでおよそ2時間半、飛行し射程が1800キロに及ぶとされています。

防衛省は事実であれば地域の平和と安全を脅かすものだとして、懸念を示しています。

1月27日に発射されたのは弾道ミサイル2発で、2019年5月4日などに発射されたものと、外形上、類似点のある固体燃焼推進方式の短距離弾道ミサイルとみられるとしています。

1月30日には、2017年5月などに発射された中距離弾道ミサイル級の「火星12」とみられる弾道ミサイル1発を発射したとしています。

通常より高い高度で打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射され、最高高度はおよそ2000キロで、およそ800キロ飛しょうしたということです。

直近は先月27日で、1発の弾道ミサイルが北朝鮮の西岸付近から東方向に発射されました。

最高高度がおよそ600キロで、300キロ程度の距離を飛しょうしたということです。

防衛省は北朝鮮が軍事偵察衛星に関する試験を行った可能性があり、今後、偵察衛星の開発を名目に同様の発射を繰り返すことも十分に考えられると分析していました。

ことしに入ってから北朝鮮が発射したミサイルは、いずれも日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したと推定されています。