「日本国際漫画賞」受賞 ウクライナ人男女 表彰式に出席できず

海外の優れた漫画家を表彰する「日本国際漫画賞」に、ウクライナ人の男女が選ばれ4日、都内でオンラインの表彰式が開かれましたが、ロシアの軍事侵攻の影響で本人は出席できませんでした。

「日本国際漫画賞」は、外務省が海外で漫画文化の普及に貢献した漫画家を表彰するもので4日、都内のホールで表彰式が行われました。

この中で、優秀賞に選ばれた「月に選ばれし娘」は、ウクライナ人女性のナタリヤ・レレキナさんが漫画を描き、ウクライナ人男性のギルベルト・ブリッセンさんが原作を書きました。

ストーリーはモンスターにさらわれた恋人を少年が救い出して、成長していくものです。

表彰式は新型コロナウイルスの影響でオンライン形式で行われ、2人は受賞を知らせた去年の年末には参加の意思を示していたものの、軍事的緊張が高まった先週、参加の辞退を伝えてきたということです。

外務省によりますと2人は無事で「戦争はすぐ終わって、また漫画が描けると信じています」とコメントを寄せました。
審査委員長を務めた漫画家の里中満智子さんは、この作品がロシアの出版社から発刊されていることに触れて「国籍を超えて文化を共有し、世の中の人に感動を伝えたいと思って一生懸命描いたのに、それを引き裂くことが起きたのはとても悲しい。どうかめげずに、今後も自由に作品を書いてほしい」とエールを送りました。
日本国際漫画賞を受賞したウクライナ人の女性漫画家ナタリヤ・レレキナさんは、親交のある漫画家一本木蛮さんを通じて、NHKに受賞のコメントを寄せました。

ナタリヤ・レレキナさんは、「日本国際漫画賞への参加を大変感謝しており、優秀賞を受賞できたことを光栄に思います。受賞を知ってとても幸せでした!当初の懸念はコロナの感染拡大で式典に参加できないことでしたが、今や、私たちの計画や生活は変わってしまいました。私たちの計画、夢、そして希望は、予期しなかった戦争によって崩壊しました。戦争によって、コロナの心配すら消えさりました。戦争は残酷で、突然で、恐ろしいものです。戦争で問題を解決したいと思っている人は間違っていると思います。平和に暮らすすべての人のために、『人生を楽しんでください。少しの不自由を嘆かないでください。あなたの周りの世界は美しく、平和な生活は素晴らしいことです。平和を守りましょう』と伝えたいです。この軍事的な狂気がすぐに終わり、また漫画が描けるように願っています。もっとたくさん漫画が書きたいです!」と記しています。