岸田首相 ウクライナ大統領と電話会談

岸田総理大臣は、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行い、ロシア軍がウクライナ最大規模の原発を攻撃したことについて、「原発事故を経験した日本として、このような蛮行は断じて認められず、最も強いことばで非難する」と述べました。
また、防弾チョッキなど自衛隊が保有する物資などを提供する方針を伝えました。

岸田総理大臣は4日午後5時半すぎから、およそ20分間、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行いました。

会談で岸田総理大臣は、ウクライナ最大規模のザポリージャ原子力発電所がロシア軍の攻撃を受けたことについて、「前代未聞の暴挙に驚がくし、激しい憤りを感じている。東京電力福島第一原子力発電所の事故を経験した日本として、このような蛮行は断じて認められず、最も強いことばで非難する。ロシアを含む周辺国の広範な地域に深刻な影響を及ぼすことに警鐘を鳴らしたい」と述べました。

そのうえで、ロシアに対し、消防の立ち入りを含む原発の安全な操業確保や、原発への攻撃を含むすべての戦闘行為の即座停止を強く求めることが重要だと指摘し、国際社会で日本も積極的に訴えていく考えを示しました。

またウクライナ政府からの要請を踏まえ、防弾チョッキやヘルメット、それに防寒服や非常用の食料など、自衛隊が保有する物資などを提供する方針を決めたことを伝えゼレンスキー大統領から日本の貢献に対する謝意が示されました。

さらに岸田総理大臣は、困難に直面するウクライナ国民を支えるため、G7=主要7か国と協力して引き続き支援を行うとともに、ロシアに対する制裁措置を最大限実施していく考えを伝えました。

会談のあと、岸田総理大臣は記者団に対し、「困難に直面するウクライナの皆さんを支えるため、一日も早く必要な物資を届けたい。わが国は主権と領土、そして祖国と家族を守ろうと懸命に行動するウクライナの国民とともにある。引き続きこうした支援を続けていきたい」と述べました。

一方、年末までに改定する国家安全保障戦略などに、原発の防衛を盛り込むかどうかについて、「大きな論点だ。今後の議論の中でどのように取り扱うか、ぜひ考えてみたい」と述べました。

ゼレンスキー大統領「日本と認識が一致した」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、岸田総理大臣との電話会談を受けて、日本時間の4日午後7時前、みずからのツイッターに「ロシアによる核の脅威について報告し、世界の安全保障に対する脅威の重大性をめぐって認識が一致した」と投稿しました。

そのうえで、日本のさまざまな支援と制裁措置に謝意を表明しました。