NGO職員「ウクライナで医薬品など不足 資金面の支援必要」

ロシア軍のウクライナへの侵攻を受けて、日本のNGOの職員が隣国のポーランドに入り、情報収集を進めています。ウクライナでは医薬品などが不足しているということで、今後、調達のための資金を現地の支援団体に送るなどして役立てたいとしています。

紛争や災害で被害を受けた人たちの支援に取り組むNGO「ピースウィンズ・ジャパン」は、先月末からウクライナと国境を接するポーランドに職員を派遣し、情報収集を進めています。

それによりますと、ウクライナの国内では首都キエフなどで医薬品や食料品、それに燃料などが不足し、現地の支援団体がほかの場所で調達した物資を届ける活動を行っているということです。

これを受けて「ピースウィンズ・ジャパン」は、この支援団体に資金を送り、キエフにある20ほどの医療機関などに、医療物資を届けてもらうことになりました。

4日は、東京の事務所とポーランドをオンラインで結び、派遣した職員から進捗(しんちょく)状況の報告を受け、今後の支援の進め方を検討していました。

現地に入っている「ピースウィンズ・ジャパン」の福井美穂さんは「地域によっては医薬品の供給が止まり、お産も含めた通常の医療が提供できていないと聞いている。現状では日本から物資を送るのではなく資金を提供し、ニーズに沿ったものをウクライナ国内で調達してもらうことが重要だと考えている」と話していました。

「ピースウィンズ・ジャパン」は今後、派遣する職員を交代させながら、現地の状況の変化に応じた支援を行っていきたいとしています。

「難しいなかでも支援を」

日本のNGO「ピースウィンズ・ジャパン」の福井美穂さんは現地時間の先月26日、ウクライナと国境を接するポーランドに入りました。

福井さんがウクライナの支援団体と連絡を取ったところ、現地では医薬品や食料品、それに燃料などが不足し、特に医薬品は首都キエフを中心に広い範囲で供給のためのネットワークが機能しなくなっているということです。

ガーゼなども不足しているため、医師がいた場合でも、けがの治療やお産などを、スムーズに進めることができなくなっているということです。

また、今月2日、福井さんは国境付近を訪れ、ウクライナから避難してきた人たちや、支援のために集まったポーランドのボランティアなどから情報を収集しました。

避難してきた女性は「服やお金などほとんど何も持たずに、そのまま車に乗ってきたが、これからどこに行くのかも分からない。住んでいたところは今は煙ばかりで何も残っていない。もう戻ることはできない」と話していました。

福井さんはオンラインでNHKの取材に応じ「ウクライナ国内には、なかなか入れず、危険もある。ただ、難しいなかでも支援は続けていかなければならない」と話していました。

「ピースウィンズ・ジャパン」によりますと、現状では、ウクライナ国内の支援団体が医薬品などを調達するための資金が求められているということで、引き続き現地のニーズに合わせた活動を進めていきたいとしています。