プーチン大統領に贈られた秋田犬を育てた男性「情けない」

秋田県が10年前にロシアのプーチン大統領に贈った秋田犬を育てた大館市の男性は、ウクライナへの軍事侵攻について「強引なやり方で、情けない」としたうえで一日も早く撤退するよう訴えました。

秋田県は10年前の2012年に経済や観光でロシアとの交流を深めるきっかけにしようと、愛犬家として知られるプーチン大統領に赤毛のメスの秋田犬を贈り、プーチン大統領が「ゆめ」と名付けました。

生後3か月まで「ゆめ」を育てた大館市の畠山正二さん(78)は、プーチン大統領がウクライナへの軍事侵攻を続けていることについて「どんな理由があろうとも話し合いで解決すべきで、軍事行動を起こすことはよくないことだ。10年前に『ゆめ』を贈ったときは交流のためと考えていたが、強引なやり方でこのような事態を起こしていて情けない」と非難しました。

そのうえで「ゆめ」の名前が日本語の「夢」に由来していることから
「名前に込められた思いとは違う状況が起きていて情けないと思う。『ゆめ』もこのようなことは望んでいないはずだ。これ以上被害が拡大しないように一日も早く軍事侵攻をやめてほしい」と訴えていました。

秋田犬の「ゆめ」 プーチン大統領が名付ける

秋田県は、2012年にロシアのプーチン大統領が就任したのに合わせて経済や観光でロシアとの交流を深めるきっかけにしようと、愛犬家として知られるプーチン大統領に秋田犬を贈ることをロシア側に打診しました。

そして日ロ首脳会談で当時の野田総理大臣がプーチン大統領に秋田犬を贈ることを伝え、快諾されました。

これを受け秋田県は、大館市に本部がある秋田犬保存会に要請し、ブリーダーの畠山正二さんが育てていた赤毛のメスの子犬の秋田犬が贈られました。

名前をつけたのはプーチン大統領で、ロシア語で発音しやすく、日本語の「夢」を意味する「ゆめ」に決めました。

2013年には、プーチン大統領と「ゆめ」が一緒に写っている写真が公開されました。

畠山さんによりますと、「ゆめ」は人なつっこくおとなしい性格で、現在も畠山さんが飼っている母親の「優姫」に似てピンと立った耳ときれいに巻いた尻尾が特徴で、メスとしては比較的体も大きいということです。

返礼のシベリア猫 秋田県知事が「ミール(平和)」と命名

一方、秋田犬の「ゆめ」を贈ったお礼として、2013年にプーチン大統領から秋田県の佐竹知事にロシアのシベリア猫のオスが贈られました。

グレーのふさふさとした毛に青い目をしている猫で、佐竹知事が「ミール」と名付けました。

「ミール」はロシア語で平和という意味で、プーチン大統領が秋田犬に「ゆめ」という名前をつけたことから、佐竹知事はロシアとの経済交流という夢をさらに進めるためには平和でなければならないと考え、この名前にしたということです。

県によりますと、先月10歳になった「ミール」は佐竹知事の自宅で飼われていて、軍事侵攻が始まる2日前の先月22日には、最近の様子を撮影した動画が動画投稿サイトに公開されました。

タイトルは「ミール君ののんびりした1日」で、「ミール」が佐竹知事の自宅でくつろぐ様子やほかの猫と一緒に過ごす様子が収められています。