「まん延防止」18都道府県の延長と13県の解除 今夜正式決定へ

新型コロナ対策で、専門家でつくる政府の分科会は、まん延防止等重点措置について、東京など18都道府県で今月21日まで延長し、福岡など13の県は6日の期限をもって解除する方針を了承しました。
政府は、4日夜に正式に決定することにしています。

新型コロナ対策をめぐり、感染症などの専門家でつくる政府の「基本的対処方針分科会」が開かれました。

この中で、政府は31の都道府県に適用されているまん延防止等重点措置について、東京、大阪、愛知など18の都道府県では病床の使用率が高く、対策を継続する必要があるとして今月21日まで2週間余り延長する方針を諮りました。

一方、福岡や広島など13の県については、感染状況が落ち着いてきたとして6日の期限をもって解除する方針も諮りました。

新型コロナ対策を担当する内閣府の黄川田副大臣は「延長する18都道府県は、多くの地域で新規感染者数が減少傾向にあるものの、病床使用率が高い水準で推移し、引き続き、医療提供体制への負荷軽減に努める必要がある。年度末の各種行事を控え、重点措置を終了する県でもオミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策を引き続き実施する」と述べました。

分科会では、こうした方針について議論が行われ、了承されました。

政府は、国会への事前の報告と質疑を経て、4日夜、持ち回りの対策本部で正式に決定することにしています。

ことし1月から重点措置が適用されている18都道府県では期限の延長は今回が2回目となります。

“延長”に2人の委員が反対 その理由とは

「基本的対処方針分科会」の尾身茂会長は会合のあと報道陣の取材に応じ、政府が示した13県でまん延防止等重点措置を解除することについては全員が同意した一方、18都道府県での延長については2人の委員が反対したと述べました。

反対したのは医療以外の専門家2人だったということで、尾身会長は「主な反対の理由は2つで、1つは今回のオミクロン株は私権の制限が必要なほど、重篤な症状を引き起こすのかという問題意識だ。2点目は重点措置によらずに、オミクロン株の特徴に応じた重症化対策を進めることで十分ではないかという意見だった。反対の意見があった一方で医療の専門家など、多くの人は感染が微増している地域もありこれからも続いたり、再拡大したりする可能性が高いということを十分に認識しないといけないという意見を持っていたと思う」と述べました。

また、地域によって重点措置の延長と解除の判断が分かれたことについては「解除した地域は病床の稼働率などが下がり医療のひっ迫が改善している一方、延長した地域は医療ひっ迫が高止まりしていて改善傾向がはっきりしていない。こうしたことからもう少し延長がいいのではないかという意見だった」と説明しました。

そのうえで何が求められるかについて尾身会長は「課題の核心は高齢者の重症化をいかに防ぎ亡くなる人をどれだけ減らせるのかということだ。沖縄県で行われているように感染が発生した高齢者施設に早期に介入し、早く検査を行って施設内での広がりを抑えることが重要だ。ワクチンの3回目の接種を進めることが求められるし、クラスターが起きないような予防対策が必要になる。高齢者施設で従業員に熱が出てもみんなに迷惑がかかるという理由で出勤して感染の拡大につながったケースが出ている。事業者や自治体でも休むことがみんなのためになるという感覚を持ってもらいたい。また学校では、感染者がひとりでも見つかれば保健所に頼らず委託業者などにお願いして広範な検査を行うほか部活動などでリスクの高い場面は避けるなどの対策を行うことがとても大切だ」と述べました。