IAEA 原子力施設 ウクライナに管理させるよう求める決議採択

IAEA=国際原子力機関の理事会は、ロシアが、侵攻したウクライナで原子力施設を強制的に管理下に置き原発事故のリスクを著しく高めているとして、ウクライナに管理させるよう求める決議を採択しました。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けてIAEAは本部があるオーストリアのウィーンで緊急の理事会を行い、3日、決議を賛成多数で採択しました。

ウクライナには4か所に15基の原子炉があり、決議ではロシアが原子力施設を強制的に管理下に置くなどの行動は施設や作業員に直接的な脅威を与え原発事故のリスクを著しく高めるものだとして、ウクライナをはじめ、近隣諸国や国際社会を危険にさらしていると指摘しています。

そのうえで放射性廃棄物の貯蔵施設があるチェルノブイリ原発をはじめ国内の原子力施設をウクライナに管理させるよう求めています。

今回の理事会にはロシアも出席していて、外交筋によりますと、中国とともに決議に反対したということです。

ロシアの国際機関代表部のウリヤノフ常駐代表は、NHKなどの取材に対し「ウクライナ当局は原子力施設のコントロールを失っておらず決議はばかげた内容だ。政治的な動機に基づいた誤りだ」と反発しています。

ウクライナでは南東部のザポリージャ州にある国内最大規模の原発で職員や市民がバリケードを築いてロシア軍の侵攻を防ごうとする動きもあり、原発周辺への攻撃が事故を引き起こすことへの懸念が強まっています。