日本語学校80校余 3か月以内に事業困難に 留学生の入国制限

新型コロナウイルスの水際対策で、留学生の入国が制限されてきた影響で、留学生の受け入れが進まない場合、全国の日本語学校のうち、少なくとも80校余りが、3か月以内に事業の停止や継続が困難な状態に陥るおそれがあることが、日本語教育機関でつくる団体の調査で明らかになりました。

「日本語教育機関関係6団体」は、留学生の入国が制限されてきた影響を調べようと、加盟する469校を対象にアンケートを行い、320校が回答しました。

それによりますと、資金繰りがつかないことなどで、7%にあたる24校が今月中に事業を停止することを決めました。

また、18%にあたる57校は、留学生の受け入れが進まない場合、3か月以内に事業を継続できない状態に陥るおそれがあるということです。

さらに、今後、半年から1年以内に事業を続けられなくなるおそれのある学校は122校、割合にして38%に上ることもわかりました。

団体の担当者は「日本への留学を希望する人が減っていて、入学をキャンセルする人も増えている。一刻も早く感染対策と両立した留学生の受け入れを進めてほしい」と話しています。

水際対策の緩和をめぐって政府は3日、今月14日から1日当たりの入国者の上限を5000人から7000人に引き上げる方針を示しましたが、日本への入国を希望する留学生は、およそ15万人いると見込まれ、全員が入国できるまでには時間がかかるとみられます。

「見通しが立たない状況」都内の日本語学校副校長

東京都内で3校の日本語学校を持つ学校法人では、定員合わせておよそ2800人のうち、740人余りの留学生が日本語を学んでいます。

しかし、今月中旬に一部の留学生が卒業すると、在校生は178人と定員の6%にまで減少するということです。

現在、1100人以上の留学生が、この学校法人の日本語学校への留学を待っていますが、いつまでに全員が入国できるのか見通しは立っていないといいます。
千駄ヶ谷日本語学校の新山忠和副校長は「上限があると、毎日どのぐらいの留学生が入国するのか見通しが立たない状況です。感染対策などのルールを守りますので、円滑に留学生が入国できることを望んでいます」と話していました。

「今の状況が続くと 日本留学の基盤が損なわれる」専門家

留学生政策が専門の一橋大学の太田浩教授は「非常に深刻だと思います。大学や大学院で学ぶ多くの留学生は、日本語教育機関で学んでから入学します。今の状況が続くということは、日本留学の基盤が損なわれるということです。また中長期的には日本留学が先細りになるおそれもあります。日本政府には待機している留学生の迅速な入国を求めたい」と話しました。