ロシア メディアへの言論統制強まる 侵攻批判のラジオ局が解散

ロシアで政権に批判的な放送を行ってきたラジオ局が3日、30年以上続いた放送を停止し、会社の解散を決定したと発表しました。ウクライナへの軍事侵攻を続けるプーチン政権に批判的な独立系のメディアに対する言論統制が強まっています。

ロシアで政権に批判的な放送で知られるラジオ局「モスクワのこだま」は3日、放送とウェブサイトを停止し、会社の解散を決定したと明らかにしました。

プーチン政権は先月26日「モスクワのこだま」など、一部の独立系のメディアに対して「ウクライナでの軍事作戦を『侵攻』とか『戦争』などと表現している」として、政府発表以外の情報を削除するよう指示し、従わない場合は、ウェブサイトへのアクセスの制限や多額の罰金を科す可能性があると警告していました。

そして、今月1日になって「モスクワのこだま」のほか、民間のインターネットメディア「ドーシチ」に対して、ウクライナでの市民の犠牲などを巡って、虚偽の情報を伝えたという理由で、ウェブサイトへのアクセスを遮断しました。

プーチン政権は、軍事侵攻に抗議するため各地で行われている市民のデモを厳しく取り締まっていて、政権に批判的なメディアの論調に対しても神経をとがらせ、言論統制を強めています。

1990年に放送を始めた「モスクワのこだま」は、言論の自由のとりでとも言われてきたメディアで、開始以来、編集長を務めてきたベネディクトフ氏は、インターファクス通信に対して「われわれは何の違反もしていない」と述べ、抗議の意思を示しています。

EU ロシアの政府系メディア2社の域内活動を禁止

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、EU=ヨーロッパ連合は、「戦争を正当化するためうその情報を広めている」などとして、2日、ロシアの政府系メディア2社について域内での活動を禁止しました。

対象となったのは、政府系テレビ局の「RT」と国営メディアの「スプートニク」で、放送に関する許可が停止されるなど、EUの域内で情報の発信ができなくなりました。

EUの外相にあたるボレル上級代表は「ウクライナへの攻撃にあたってロシア政府は情報操作やうその情報の流布を作戦上の道具として利用している」と指摘しています。

EUは、今回の措置について表現の自由を損なうものではないと強調しています。