首相 「まん延防止」方針表明 入国者数上限7000人に引き上げへ

今月6日が期限となる31都道府県のまん延防止等重点措置をめぐり、岸田総理大臣は3日夜、記者会見で、18都道府県で今月21日まで延長し、13の県は解除する方針を明らかにしました。
また新型コロナの水際対策をめぐり、今月14日から1日あたりの入国者数の上限を今の5000人から7000人に引き上げる方針を示しました。

この中で岸田総理大臣は、全国の感染状況について、19日連続で1週間平均の新規感染者数が前の週と比べて1倍を下回り、改善傾向がさらに確かなものとなっていると指摘する一方「地域によっては重症者が増加したりクラスターが発生したりして、病床利用率がなお高い水準にある都道府県がある」と述べました。

その上で、今月6日が期限となる31都道府県のまん延防止等重点措置について、18都道府県で今月21日まで2週間あまり延長し、13の県は今月6日をもって解除する方針を明らかにしました。

そして「今後、第6波の出口がよりはっきり見えてくれば、経済社会活動の回復に向けて、さらなる取り組みを進めていく。他方で、既存のオミクロン株が『BA.2』に置き換わることなどにより、再度、感染状況が悪化する可能性にも十分に注意し、悪化の兆しがあった場合には対応を見直す」と述べました。

また、ワクチン接種については「先月中旬に100万回の接種を実現し接種ペースが上がってきた。すでに6000万人以上の方々に接種券を送り、市町村や職場で接種を受け付けている。引き続き一日も早く希望する方にできるだけ多く接種を受けていただけるよう全力を尽くす」と強調しました。
一方、新型コロナの水際対策をめぐり、年度末は進学や転勤などによって日本人の帰国需要が高まるとして、今月14日から1日あたりの入国者数の上限を今の5000人から7000人に引き上げた上で、今後、内外の感染状況を見ながら段階的に国際的な人の往来を増やす方針を示しました。

さらに、新型コロナの影響でこの2年間で15万人の留学生が来日できるのを待っている状況だと指摘し、海外からの留学生が平日を中心に航空機の空席を活用して優先的に入国できるよう支援する新たな仕組みを設ける考えを明らかにしました。

また、新型コロナの影響が長期化する中、中小企業の事業継続を支えるための政策パッケージを取りまとめる考えを示し、◇政府系金融機関による実質無利子・無担保での融資の期限を今月末から6月末まで延長するほか、◇収益力の改善や事業再生などを一元的に支援するための体制を全国に整備すると説明しました。

そして「国の内外で世界を日本を経済を、そして私たちの暮らしを大きく変える歴史的な出来事が続いている。大きな流れをしっかりと見据えながら、国民にとってのベストな政策を前例にこだわらず機動的に講じていく」と述べ、国民に理解と協力を呼びかけました。

「解除は専門家の意見聞き総合的に判断」

岸田総理大臣は記者会見で「ピーク時でも重症病床には十分余力があったと考えている。現在、多くの地域で新規感染者の数は減少が続いているが、地域によっては、なお感染拡大に遅れて重症者が増加したことなどにより、病床使用率が依然高い水準にある都道府県があり、こうした地域については慎重を期して重点措置を延長した」と述べました。

そのうえで「重点措置を延長した地域では、引き続き、自治体との連携のもと、拡充した医療体制を確実に稼働させつつ、オミクロン株の特性を踏まえた学校や高齢者施設などにおける感染防止対策の強化、高齢者施設や後方支援病院での医療体制の強化、さらには軽症の自宅療養者への対応強化を徹底することによって感染者数と入院率の両方を下げていきたい」と述べました。

そして、延長した地域の解除の見通しについて「病床使用率、重症病床使用率、自宅療養者数、療養等調整中の人の動向に重点を置いて、専門家の意見を聞きながら、総合的に判断するというのが基本的な考え方だ。今回延長した地域の解除については、こういった点を念頭に置きながら考えていきたい」と述べました。

高齢者死亡相次ぎ陳謝

岸田総理大臣は記者会見で、新型コロナ対策をめぐり記者団が「高齢者を中心に多くの人が亡くなっていることへの政治的な責任をどう考えるか」と質問したのに対し「さまざまなケースがあるが、いずれにせよ、お亡くなりになられたことは、政治として、政府として重く受け止めなければならない。政治は結果責任なので、そうした結果になってしまったことは、おわび申し上げなければいけない」と陳謝しました。

そのうえで「3回目接種の新型コロナワクチンについてはワクチンの量と接種の体制、接種券は、政府としてしっかり用意したので、できるだけ多くの方々にご理解とご協力をいただけるよう努力を続けていきたい」と述べました。

留学生により多く日本に入ってもらう

岸田総理大臣は記者会見で「月曜日から木曜日の平日を中心に、航空便の空いている部分を活用して留学生に入国してもらう。平日に限れば、7000人の上限に、1日当たり1000人程度上乗せする結果になることを想定している。できるだけ空席を活用する形で留学生により多く日本に入ってきてもらおうというのが基本的な考え方だ」と述べました。