日産 ケリー元代表取締役に有罪 事件は「ゴーン元会長が主犯」

日産自動車のゴーン元会長の報酬を有価証券報告書に少なく記載したとして、金融商品取引法違反の罪に問われたケリー元代表取締役に、東京地方裁判所は懲役6か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。罪に問われた8年度分の報告書の記載のうち7年度分については、元会長らとの共謀は成立しないとして無罪としました。また、事件については「ゴーン元会長が主犯だ」と指摘しました。

日産の元代表取締役、グレッグ・ケリー被告(65)は中東のレバノンに逃亡した元会長のカルロス・ゴーン被告(67)と共謀し、平成29年度までの8年間に、元会長の報酬を有価証券報告書に合わせて91億円余り少なく記載したとして、法人としての日産とともに金融商品取引法違反の罪に問われ、無罪を主張していました。

3日の判決で、東京地方裁判所の下津健司裁判長は「ゴーン元会長は元秘書室長と共謀して、報酬の総額から未払いの報酬を差し引いたうその報告書を提出していた」と指摘しました。

そのうえでケリー元代表取締役の関与について、罪に問われた8年度分のうち未払いの報酬額を書面で確認した平成29年度分に限り、元会長らとの共謀が成立すると判断し「日本の開示規則を無視して犯行に及んだ。有罪と認定できるのが1年度分とはいえ責任は軽視できない」として懲役6か月、執行猶予3年を言い渡し、そのほかの7年度分は無罪としました。

一方、事件については「ゴーン元会長が主犯だ」と指摘。

「本当の報酬が明らかになれば問題視されかねないため、高額な報酬を確保しつつ保身を図ろうとする私利私欲に基づくものだ。世界的にも著名な経営者が行った不正行為は経済界のみならず、社会全般に大きな衝撃を与えた」と非難しました。

また、日産には「組織全体で元会長への監視機能が形骸化し、事態を招いた」と指摘して罰金2億円を言い渡しました。

「司法取引」証言 一部認められず

今回の事件は、4年前に日本で導入された「司法取引」の対象にもなりました。

「司法取引」には、ゴーン元会長の報酬を管理していた日産の元秘書室長ら2人が応じていて、検察が不起訴にした見返りに得た供述や書類などの証拠の信用性を裁判所がどのように判断するか注目されました。

判決では、元秘書室長の供述について「争点を検討する上で最も重要な証拠だ」としました。

その一方で、「有利な取り扱いを受けたいとの思いから検察官の意向に沿うような供述をしてしまう危険性やケリー元代表取締役を引き込んだりする危険性をもはらんでいる」と指摘し、「慎重に検討すべきだ」と述べました。

そして、ゴーン元会長の報酬の支払い方法などが書かれた文書にケリー元代表取締役の関与や認識があったとする元秘書室長の証言について判決は、「証言を裏付ける証拠が存在しない」などとして一部を認めませんでした。