違法薬物で有罪俳優出演の映画 助成金取り消しは妥当 東京高裁

コカインを使用した罪で有罪が確定した俳優が出演した映画について、国の外郭団体が助成金の交付を取り消したのは不当だと製作会社が訴えた裁判の2審判決で、東京高等裁判所は「違法薬物の乱用防止という公益の観点から交付しないと決めたことが、著しく妥当性を欠くとはいえない」と指摘して、1審とは逆に製作会社の訴えを退けました。

映画「宮本から君へ」の製作会社は、3年前、コカインを使用した罪で有罪が確定した俳優のピエール瀧さんが出演していることを理由に、文部科学省の外郭団体「日本芸術文化振興会」から、1000万円の助成金の交付が取り消されたのは表現の自由の侵害だと訴えました。

1審の東京地方裁判所は「映画の製作会社に交付される助成金と出演者の犯罪行為とは無関係だ」などとして、助成金の交付を認める判決を言い渡し、外郭団体側が控訴していました。

3日の2審の判決で、東京高等裁判所の足立哲裁判長は「違法薬物が社会問題となる中、薬物乱用の防止という公益の観点から交付しないと決めたことが、著しく妥当性を欠くとはいえない」と指摘しました。

そのうえで「映画の内容など、芸術的観点から不交付にしたわけではなく、表現の自由を担保するため、内容には関わらないという原則に反するものではない」として、1審判決を取り消し、製作会社の訴えを退けました。

映画製作会社 “芸術より公益性が勝るような判断”

判決について映画製作会社「スターサンズ」の河村光庸代表取締役は「芸術的観点より公益性が勝るような判断で、説得力もなく、極めていいかげんだ」と話しています。

また、四宮隆史弁護士は「逆転敗訴となり非常に残念だ。今後の表現活動に対する大きな萎縮効果を確実に与え、実質的に表現の自由の制約になる。極めて遺憾な判決としか言いようがない」と述べ、最高裁判所に上告する考えを示しました。

日本芸術文化振興会は「判決の詳細を確認しておらずコメントできない」としています。