ウクライナ侵攻“「核共有」議論開始を” 維新が政府に提言

ロシア軍によるウクライナへの侵攻をめぐり、日本維新の会は、アメリカの核兵器を同盟国で共有して運用する政策について議論を始めるよう政府に提言しました。

日本維新の会の藤田幹事長は3日、外務省を訪れ、ロシア軍によるウクライナへの侵攻を受けた緊急提言を森事務次官に手渡しました。

提言では、早期の停戦実現に向けた働きかけを強めることや、エネルギー価格の高騰対策などを迅速に実施することに加え、アメリカの核兵器を同盟国で共有して運用する政策「核共有」について、議論を始めることを求めています。

一方、提言の原案には、非核三原則の見直しについて議論を始めることも盛り込んでいましたが、削除されました。

藤田幹事長は、記者団に対し「われわれは核を保有することまで率先して議論をけん引しようという意図は全くないので、ミスリードが起こらないように配慮した」と述べました。

立民 泉代表「極めて危険な考え方」

立憲民主党の泉代表は記者団に対し「ウクライナ危機に反応して、日本が核兵器を持つかどうかの議論をするというのは非常に拙速で、あってはならない。戦争をなくし、悲惨な兵器を排除していくのが政治家の仕事であり、軍事的にタブーを持たないというのは極めて危険な考え方だ」と述べました。

また、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会が日本維新の会に対し、提言の撤回を求めていることについて「被爆者の声は当然で、核兵器を使った戦争は恐ろしい被害をもたらす。日本で核兵器を共有するという考えにしていこうというのは大きな間違いで、非核三原則は守るべきだ」と述べました。

共産 志位委員長「撤回を強く求めたい」

共産党の志位委員長は記者会見で「今、世界がウクライナの危機を見て実感していることの1つは、人間に核兵器を持たせてはいけないということだ。核による脅威を取り除くには、全世界から核兵器を廃絶するしかない。それと全く逆行する立場を表明することは本当に許すわけにはいかない」と批判しました。

そのうえで「核に対して核で対抗する考え方そのものが、日本国民を核戦争に導く危険な考えであり、このような提言を決定した責任は極めて重く、撤回を強く求めたい。いま日本がやるべきは、核兵器のない世界に向け、先頭にたって被爆国としての役割を発揮することだ」と述べました。