【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3日の動き)

ロシアがウクライナに対する軍事侵攻に踏み切って1週間。
現地では、今もロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いています。
戦闘の状況や、関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる3日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

双方の停戦交渉開始 ロシアとウクライナのメディア

ロシアとウクライナのメディアによりますと、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、双方の停戦に向けた交渉がさきほどから始まりました。交渉は、ポーランドとの国境付近のベラルーシ西部で行われています。交渉は、先月28日に続く2回目となりますが、ロシア側が停戦の条件としてウクライナの「中立化」や「非軍事化」を要求するなど、双方の立場の隔たりは大きく、2回目の交渉で停戦につながるかは依然、見通せない情勢です。

原発で侵攻防ごうとバリケード

ウクライナ南東部にある国内最大規模の原子力発電所では、ロシア軍の侵攻を防ごうと、市民や原発の職員が、トラックを並べたり土のうを積んだりしてバリケードを築いており、ウクライナ内務省の高官は、ロシア軍に侵攻を思いとどまるよう訴えています。

ウクライナ側 ロシア側との2回目の交渉まもなく

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、ウクライナ側は、停戦に向けたロシア側との2回目の交渉をまもなく行うとしています。一方、ロシア国防省は、これまでに1600を超えるウクライナの軍事施設を攻撃したと発表するなど、攻勢を強めながら交渉を有利に進めたいねらいもあるとみられます。

中国外務省報道官 「まったくのうその情報」

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻についてアメリカの複数のメディアが中国が事前にロシアに対し、北京オリンピックが閉幕するまでは侵攻しないよう要請していたという情報があると報じたことについて、中国外務省の汪文斌報道官は3日の記者会見で「まったくのうその情報だ。こうした視線をそらさせ、責任を転嫁するような言論は非常に卑劣だ」と述べ、強く反発しました。

避難生活送る女性「ウクライナの無事を祈ってください」

キエフを離れ避難生活を送っている女性が過酷なこの1週間を振り返り、動画を寄せてくれました。

動画は、スニジャーナ・プシュカルさん(33)がキエフから40キロ離れた町のアパートで撮影したもので「空爆を受ける可能性があるため、電気を消した状態で撮影しています。身の安全、生きるために私たちはこのように隠れて生活しなければなりません」と始まります。

プシュカルさんの両親と妹は、ロシアとベラルーシの国境に接するチェルニーヒウ市にいて「1日に何回かわからないほど多くの空爆を受けていて、家族はほとんど一日中地下シェルターで過ごしています。妹は妊娠していて、予定日はもう2週間後です。本当に心配で、とても言葉に言い表すことはできません」と話しています。そして「ウクライナの無事を祈ってください。ウクライナが攻撃を受ける理由は1つもありません。ロシアを止めるために、助けてください」と訴えました。

EU駐日大使「軍事行動は不当で前例のない侵攻」

EU=ヨーロッパ連合のフロア駐日大使が都内で記者会見し「軍事行動は不当で、前例のない侵攻だ」と述べ、侵攻を批判するとともに、日本に対し、さらなる連携を訴えました。

ウクライナから100万人以上が国外避難

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は2日現在で100万人以上にのぼったということです。

このうちおよそ半数の50万人以上がポーランドに避難したということです。このほか、ハンガリーがおよそ14万人、モルドバが9万人以上、スロバキアが7万人以上、ルーマニアが5万人以上などとなっています。

バイアスロン選手 ロシアとの戦闘で死亡 アスリートの参戦相次ぐ

ウクライナの青年スポーツ省は、バイアスロンのジュニア代表チームに所属する19歳のユージン・マリシェフ選手がロシア軍との戦闘で死亡したとSNSで発表しました。マリシェフ選手はロシア軍の激しい攻撃を受けている第2の都市ハリコフ周辺で戦闘中に死亡したということですが、戦闘に加わった経緯については明らかしていません。

また先月行われた北京オリンピックのウクライナ代表としてバイアスロンに出場したドミトロ・ピドルチネイ選手は、自身のSNSで、防衛部隊に入隊して出身地の西部の都市を守る戦闘に加わることを表明しました。

ウクライナでは、著名なボクシング選手など、アスリートが相次いで戦闘への参加を表明しています。

サッカー 英 チェルシーのロシア人オーナー「クラブ売却する」

サッカーのイングランドプレミアリーグ、チェルシーのロシア人オーナー、アブラモビッチ氏が2日、「クラブを売却するという決断を下した」との声明を出しました。

プーチン大統領に近いとされるアブラモビッチ氏に対しては、イギリス政府によるロシアへの経済制裁の対象とすべきだという声が強まっていて、資産の売却を急いでいるのではないかという見方が出ていました。

中国 北京五輪閉幕まで侵攻しないようロシアに要請か

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について、複数のメディアはアメリカ政府高官などの話として、中国が事前にロシアに対し北京オリンピックが閉幕するまでは侵攻しないよう要請していたとの情報があると報じました。

アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズなど複数のメディアが2日、バイデン政権の高官などの話として伝えました。

IPC ロシアパラリンピック委員会とベラルーシの選手出場認めない

国際パラリンピック委員会はロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、4日開幕する北京パラリンピックにRPC=ロシアパラリンピック委員会と、ロシアと同盟関係にあるベラルーシの選手の出場を一転して認めないことを決めました。

ロシアとウクライナ きょうにも交渉か

ロシアとウクライナは先月28日に続いて停戦に向けた2回目の交渉の実施を調整してきました。

これについてロシアの代表団のトップ、メジンスキー大統領補佐官はウクライナ側との交渉が3日にベラルーシ西部のポーランドとの国境付近で行われると明らかにしました。

一方、ウクライナ大統領府の高官も2回目の交渉がまもなく行われるという見通しを示しています。

ただロシア側は停戦の条件としてウクライナの「中立化」や「非軍事化」を要求していて、ウクライナ側の立場とは隔たりがあります。ロシアは各地で攻撃を激化させるなど軍事的な圧力を強めながらウクライナとの交渉でも強硬な姿勢を貫くとみられ、停戦につながるかは依然、見通せない情勢です。

アメリカ ブリンケン国務長官 ロシア側の交渉姿勢に否定的な見方

3日にも行われる見通しのロシアとウクライナの停戦に向けた2回目の交渉について、アメリカのブリンケン国務長官は2日の記者会見で「問題は、ウクライナが自国の利益を保護し、戦争を終わらせるのに役立つと考えるかどうかであり、われわれは支援の用意がある」と述べました。

そのうえで、ロシア側が停戦の条件としてウクライナの「中立化」や「非軍事化」を要求していることを踏まえ、「ロシアの要求は度を越しており、交渉の対象にもならない。われわれはロシアが見せかけの外交を行ってきたことを繰り返し見てきた」と述べ、ロシア側の交渉姿勢に否定的な見方を示しました。

アメリカ ロシアとベラルーシに対する経済制裁を発表

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐりアメリカのホワイトハウスは2日、ロシアとベラルーシに対する経済制裁を発表しました。

ロシアで軍用機や軍用車両、ミサイルなどを製造している合わせて22の軍事企業を対象にしたほか、石油や天然ガスの生産に使う設備のロシアへの輸出を規制し、主要産業に打撃を与えるとしています。

またロシア軍の侵攻拠点の1つベラルーシに対しては、ハイテク製品の輸出規制を実施し、こうした製品や技術がベラルーシを経由してロシアに流出するのを防ぐとしています。

松野官房長官 日本受け入れ 人道的観点で対応も

ウクライナから避難した人の日本への受け入れについて、松野官房長官は記者会見で、日本の在留資格を持つおよそ1900人のウクライナ人の親族や知人を想定していると明らかにしたうえで、そのほかの人も人道的観点から対応する考えを示しました。

また、松野官房長官は、記者会見で「1日の時点で確認されている在留邦人はおよそ110人であり、現時点までに邦人の生命・身体に被害が及んだとの情報には接していない。松田大使ら大使館員は陸路を使い、一時的にウクライナを出国しモルドバに到着しているが、松田大使は近く、リビウの連絡事務所に戻る予定だ」と説明しました。

アメリカ国防総省 ICBMの発射実験延期を発表

ロシアのプーチン大統領が核戦力を念頭に抑止力を特別警戒態勢に引き上げるよう命じたのを受け、アメリカ国防総省は2日、今週予定していたICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験を延期すると発表しました。

国防総省のカービー報道官は記者会見で「アメリカとロシアは核兵器の使用が壊滅的な結果をもたらすと長い間、合意してきた。アメリカとして誤解を招くような行動をする意図がないことを示す」と述べ、ロシアとの間で緊張を高めないよう冷静に対応する考えを示しました。

一方で「われわれは自国や同盟国などを守る能力は損なわれず、準備ができていることに変わりはない」と述べて、発射実験の延期の影響はないと強調しました。

アメリカ国防総省 首都キエフ侵攻のロシア軍 依然停滞の認識

アメリカ国防総省のカービー報道官は2日、記者会見で、ウクライナの首都キエフに向けて南下しているロシア軍の部隊について、「依然として動きは停滞している」と述べ、この一日で大きな進展は見られなかったとの認識を示しました。

理由についてカービー報道官は、ロシア軍がウクライナ側からの抵抗に加えて燃料などの物資の不足に直面していると指摘する一方、侵攻の遅れを取り戻すため部隊の再編成を行っている可能性があるとの認識を重ねて示しました。

一方で、「ロシア軍は燃料だけでなく、食料の補給にも問題が出るなど複数の過ちを犯してきたが、今は克服しようと取り組んでいる」と述べて、ロシア軍は態勢が整いしだい、キエフへの攻勢を強めるという見方を示しました。

またカービー報道官は、ロシア軍は人口の多い主要な都市はいずれも奪えていないとの認識を示しました。このうちロシア国防省が完全に掌握したと発表している南部の都市ヘルソンについては「激しい戦いがまだ続いていると見ている」としたうえで、南部の戦闘の状況について「北部と比べてウクライナ軍の抵抗が少ないようだ」と指摘しました。

アメリカ ブリンケン国務長官 ヨーロッパ訪問へ

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、アメリカ国務省は2日、ブリンケン国務長官が3日から8日までの日程で、ヨーロッパなどを訪問すると発表しました。

ブリンケン長官は、ベルギーの首都ブリュッセルでNATO=北大西洋条約機構やG7=主要7か国の外相会合などに出席し、ロシアへの追加の経済制裁を含む今後の対応について意見を交わすとしています。

5日には、ウクライナの隣国ポーランドでラウ外相と会談し、安全保障面での支援やウクライナから避難してきた人たちへの人道支援などをめぐって協議するということです。

その後、同じくウクライナの隣国、旧ソビエトのモルドバでサンドゥ大統領などと会談し、避難民の受け入れなどについて意見を交わすとしています。さらにブリンケン長官はロシアの軍事侵攻に対し懸念を強めるバルト3国のリトアニアとラトビア、エストニアを訪問し、NATOの抑止力の強化やウクライナへの支援などをめぐって協議する予定です。

国際刑事裁判所 戦争犯罪や人道に対する罪について捜査始める

オランダのハーグにある国際刑事裁判所は2日、ウクライナで行われた疑いのある戦争犯罪や人道に対する罪について、捜査を始めると発表しました。

国際刑事裁判所のカーン主任検察官の声明によりますと、フランスやドイツ、イギリスなど裁判所の39の加盟国からウクライナでの状況について捜査するよう要請があり、ウクライナも加盟国ではないもののすでに捜査に同意しているとしています。

捜査の対象となるのは、2014年にロシアが一方的にウクライナのクリミア半島を併合した前後の時期から今回の軍事侵攻までの期間で、カーン主任検察官は先に発表した声明の中で「予備的な調査の結果、ウクライナで戦争犯罪や人道に対する罪が行われたと考える合理的な根拠がある」としていました。

仏マクロン大統領 停戦に向けた仲介続ける考え

フランスのマクロン大統領は2日夜、テレビ演説を行い、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、改めてプーチン大統領を非難したうえで「プーチン大統領に武器を捨てるよう説得するため連絡を取り続ける」と述べ、停戦に向けた仲介のためプーチン大統領との連絡を続ける考えを示しました。

また「ヨーロッパは平和のために代償を支払うことを受け入れなければならない」と述べ、ヨーロッパ各国がロシアからの天然ガスへの依存度を下げエネルギー自給率を上げていくべきだという考えを示しました。

そのうえでマクロン大統領は、今回の事態を受け浮き彫りになったヨーロッパのエネルギー面での課題や安全保障の在り方をめぐり、今月10日からパリ近郊で開かれるEU=ヨーロッパ連合の非公式の首脳会議で議論する考えを示しました。

バイデン大統領 国連総会決議棄権の中国とインドを批判

アメリカのバイデン大統領は2日、国連総会の緊急特別会合でロシアを非難し、軍の即時撤退などを求める決議案が賛成多数で採択されたことについて中西部ウィスコンシン州で行った演説の中で、「141か国がロシアを非難した。いくつかの国は棄権した。中国は棄権した。インドも棄権した。彼らは孤立している」と述べ棄権した35か国のうち中国とインドを名指しで批判しました。

そのうえで「彼らはNATO=北大西洋条約機構やヨーロッパ、そしてアメリカを分断することができると考えているのだろう。そんなことは誰にもできないと世界全体に示そう」と訴えました。

プーチン大統領 インド モディ首相と電話会談

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は2日、関係強化を進めるインドのモディ首相と電話会談を行いました。

ロシアとインドは伝統的な友好国で、軍事的な結び付きも強いことから先月25日に国連安全保障理事会でロシア軍の即時撤退などを求める決議案が採決にかけられた時にはインドは棄権し、ロシアに対する制裁にも慎重な姿勢を示しています。

ロシア大統領府によりますと、会談ではウクライナ東部のハリコフで退避できずにいるインド人の留学生たちをロシアを経由して退避させる方策について話し合ったということです。

ハリコフで1日、現地の大学に通っていたインド人の医学生が戦闘に巻き込まれて死亡し、インド国内でロシアの軍事侵攻への批判の声が強まることも予想されていたことから、プーチン大統領としては、インドへの配慮を示すことで良好な関係を維持するねらいがあるものとみられます。

ロシア報道官 “ロシア軍兵士498人死亡”と発表

ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は2日、これまでの軍事作戦でロシア軍の兵士498人が死亡し、1597人が負傷したと発表しました。

今回の戦闘でロシア側が自国の兵士の具体的な被害状況を明らかにしたのは初めてです。

一方、コナシェンコフ報道官はロシア軍による攻撃でこれまでに2870人以上のウクライナ軍の兵士を殺害したほか、ウクライナ国内の1533の軍事施設などを破壊したとしています。

ウクライナ東部ドネツク州 住宅などに大きな被害

ロイター通信は2日、ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派が事実上支配している地域で、双方の戦闘で住宅などに大きな被害が出ていると伝えました。現地の映像では、砲撃で激しく壊れたアパートで地元の人たちが部屋の中に散乱するがれきを撤去する作業などに追われていました。

地元に住む男性は「私のことばが責任ある人たちに届くのなら自分の親や子どもが戦火にさらされることがどれだけつらいものか分かってほしいです」と涙ぐみながら話していました。

キエフでは多くの市民が地下での避難生活続ける

首都キエフでは、多くの市民が安全を確保しようと地下での避難生活を続けています。2日の現地からの映像ではシェルターとなっている地下鉄の駅構内に多くの人が集まり、毛布にくるまったり、家族で肩を寄せ合ったりしながら不安な様子で過ごしていました。

市内に住む女性は「地下には子どももたくさんいてひどい状況です。暴力と残酷な行為が早く終わることを願っています」と話していました。

またウクライナ軍の兵士として戦う婚約者がいるという女性は「21世紀にこんなことが起きるなんて誰も想像できませんでした。彼としばらく連絡が取れない時はとても不安ですが、正しいことをしている彼を誇りに思います」と話していました。

国連総会の緊急特別会合 ロシア非難決議 賛成多数で採択

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって開かれていた国連総会の緊急特別会合で、ロシアを非難し、軍の即時撤退などを求める決議案が賛成多数で採択されました。決議案には、欧米や日本など合わせて141か国が賛成し、ウクライナ情勢をめぐるロシアの国際的な孤立がいっそう際立つ形となりました。

採決は日本時間の3日午前2時前に行われ、賛成が欧米や日本など合わせて141か国、反対がロシアのほかベラルーシや北朝鮮など合わせて5か国で、3分の2以上の賛成を得て採択されました。

中国やインドなど合わせて35か国は棄権しました。

ウクライナ ゼレンスキー大統領「ロシア軍兵士 約6000人死亡」

ウクライナのゼレンスキー大統領は2日、新たな声明を発表し「ロシアによる軍事侵攻が始まってから6日間で、およそ6000人のロシア軍の兵士が死亡した」と明らかにしました。

そのうえで「ロシアはその代償に何を得たというのか。ロケットや爆弾、戦車、いかなる攻撃もウクライナを奪うことはできない」と述べました。

また1日に首都キエフの中心部にあるテレビ塔がロシア軍の攻撃を受けたことについて、現場付近は第2次世界大戦中、ナチス・ドイツによって殺害されたユダヤ人を追悼する場所だとしたうえで「ロシア軍は私たちの歴史について何も知らない。ホロコーストの犠牲者を再び殺したのだ」と述べ、非難しました。