ウクライナ情勢緊迫化で国内にも影響

ウクライナ情勢の緊迫化を受けて、日本国内でもさまざまな影響が広がっています。

大阪のお好み焼き店 原材料の高騰を懸念

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、世界有数の小麦の輸出国であるウクライナやロシアからの供給が滞ることへの警戒感から先物市場では小麦の価格が急騰し、大阪のお好み焼き店では懸念する声が上がっています。

日本は、アメリカやオーストラリアなどから小麦を輸入していますが、高温による北米での生産量の減少や輸送費の上昇で、これまでも値上がり傾向が続いていたため、さらなる価格の高騰を懸念する声が出てきています。
このうち、大阪・天王寺区にあるお好み焼き店では、国産や外国産の小麦粉を多い日で1日およそ6キロを使っています。

このお好み焼き店の運営会社では全国に80の店舗を展開していますが、このところ小麦粉や油など原材料の価格が値上がりしていたことを受けて、春以降、価格やメニューの見直しを検討することにしていました。

ただ、今後、小麦粉の取引価格がさらに上昇すると、一度、値上げをしても、コストを吸収しきれず経営が圧迫されるおそれがあると考えています。
大阪のお好み焼きチェーン「鶴橋風月」の運営会社の五影亮介さんは「足もとでは、小麦粉などの主要品目の価格が10%から20%も上がる状況で、今後も見通せず、リスクをどこまで考えたらいいのか、懸念している。お客様に納得、満足してもらえるような商品の内容、価格を考えていきたい」と話しています。

滋賀県の花の農家は

ウクライナ情勢の緊迫化で原油価格のさらなる高騰が懸念され、滋賀県の農家ではハウス栽培で使う燃料代の価格高騰を心配する声が上がっています。

国の委託を受けてガソリン価格を調査している石油情報センターによりますと、近畿地方の農業用の重油はことし1月、すでに8年ぶりの高値になっていましたが、ウクライナ情勢の緊迫化で原油の先物価格が大幅に上昇していて、今後、価格のさらなる高騰が懸念されています。

滋賀県東近江市でコチョウランを栽培している農家では、農業用ハウスの室温を18度以上に保つために暖房機を使っていますが、燃料の重油の価格は去年の同じ時期の1.5倍近くに値上がりしているということです。
さらに、配送業者からもガソリン価格の高騰による値上げを通達されているほか、出荷で使う段ボールなどの資材も1割ほど値上がりしていて、経営に影響が出ているということです。

農家の川口正さんは「ロシアのウクライナ侵攻で原油価格がもう1段階、上がる状況になってしまい、資材も含めてさらに価格が上がると経営が厳しくなります。コスト削減を工夫してなんとか耐えていきたい」と話していました。

北海道の酪農家は

世界有数の穀物輸出国であるウクライナが侵攻されたことを受け、北海道東部の標茶町の酪農家からは牛のエサとなるトウモロコシのさらなる値上がりを懸念する声が上がっています。

酪農が盛んな標茶町ではおよそ5万頭の乳牛が飼育され、去年1年間の生乳の生産量はおよそ17万7000トンに上ります。

農協によりますと、牛のエサとなるトウモロコシなどの飼料はほとんどを輸入に頼っていて、世界有数のトウモロコシの輸出国であるウクライナからの供給が滞ると国際価格がさらに高騰する懸念があるということです。

農協の組合長を務める鈴木重充さんの牧場では1日におよそ2トンのエサを与えていて、月々のエサ代はおよそ400万円かかります。

飼料用穀物の次の購入時期は来月で、国際価格がさらに上がると、牧場の経営に影響が出かねないと心配しています。

地元の農家の間には輸入だけに頼らず、トウモロコシを一部自給する動きも出ていますが、費用がかかるため、進んでいないということです。

鈴木さんは「これ以上、飼料の値上がりが続けばかなり厳しいです。生乳の生産抑制もある中で、二重にも三重にも厳しい。状況が収まってくれることを願っています」と話していました。