ウクライナ ロシア軍攻撃で犠牲増加 キエフ テレビ塔で5人死亡

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナで1日、首都キエフのテレビ塔がロシア軍に攻撃され、当局は、これまでに5人が死亡したことを明らかにしました。
ロシアとウクライナによる2回目の会談を前にロシア軍は各地で攻撃を続け、犠牲者が増え続けています。

ロシア軍がウクライナ各地で侵攻を続ける中、ウクライナ内務省は1日、首都キエフにあるテレビ塔がロシア軍に攻撃されたと明らかにしました。

当局はこの攻撃でこれまでに5人が死亡し、5人がけがをしたとしています。

攻撃の前にはロシア国防省がキエフにある情報作戦の拠点などを攻撃するとして周囲の住民に避難を呼びかけているとロシア国営のタス通信が伝えていました。

また第2の都市ハリコフでは中心部や住宅街がロシア軍によるミサイル攻撃を受けたということで、ウクライナ内務省の高官は一連の攻撃で少なくとも10人が死亡したとしています。

ロシアとウクライナの両国は先月28日に行われた代表団による会談で、交渉を継続することで一致していて、ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、キエフでロイター通信のインタビューに応じ、「まずは砲撃をやめて、交渉のテーブルにつくことが必要だ」と述べて攻撃をやめるよう訴えています。

一方でロシアのショイグ国防相は1日、軍の指導部との会議で「目的を完了するまで作戦を継続する」と述べ、軍事的な攻勢を強める構えを強調しました。

ロシアとウクライナの高官による2回目の会談は数日以内に行われる見通しですが、これを前にロシア軍は各地で攻撃を続け、犠牲者が増え続けています。

ロシア軍 国境周辺部隊の80%以上投入 各地で攻防 米国防総省

アメリカ国防総省の高官が1日、記者団に明らかにしたところによりますと、ロシア軍はウクライナ国内で戦力を増強し続け、国境周辺に展開していた戦闘部隊のうち、これまでに80%以上を投入したということです。

また、これまでに400発以上のミサイルを発射したとしています。

首都キエフに向けて南下しているロシア軍の部隊については、前日と同じ、北におよそ25キロの地点にとどまっているとの認識を示しました。

理由について、ウクライナ軍の激しい抵抗を受けている上、燃料や食料も不足して遅れが出ているという見方を示した一方、部隊の再編成や作戦の再評価のためみずからの判断で作戦を中断している可能性もあると指摘しました。

ロシア軍はウクライナ第2の都市ハリコフでは包囲を目指してウクライナ軍と激しい戦闘を続け、東部ドネツク州の都市マリウポリでは市内を砲撃できる位置にまで接近していると分析しています。

またウクライナの空域での攻防も続いていて、ロシア軍が一部の地域で支配を強めているものの、全土の制空権は奪えておらず、ウクライナ軍の防空やミサイル防衛システムは維持されているということです。

さらにロシア軍のいくつかの部隊は戦わずに降伏しているとして、高官は「これらの兵士の多くは徴兵で戦闘の経験がなく、戦闘に参加することを知らされていなかった者もいる」と指摘し、ウクライナ側から激しい抵抗を受けて士気が低下している兆候もあるとしています。