ワクチン 時間経過で小児は感染予防効果低下か 米調査結果

アメリカ・ニューヨーク州の保健当局などは、新型コロナウイルスワクチンの接種から時間がたつと、5歳から11歳の子どもでは感染を防ぐ効果が大幅に低下するとした調査結果を公開しました。

ニューヨーク州の保健当局などの研究チームは28日、製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した5歳から17歳の子どもに対する感染や入院を防ぐ効果を調べた結果を公開しました。

それによりますと、感染を防ぐ効果は12歳から17歳はオミクロン株が主流となった去年12月中旬の時点で66%、ことし1月下旬では51%と比較的小幅な低下にとどまった一方、5歳から11歳では同じ期間に68%から12%と大幅に低下したということです。

研究チームは、5歳から11歳で感染を防ぐ効果が大幅に低下した理由について、接種するワクチンの成分の量が12歳以上の場合の3分の1と少ないことが影響している可能性があるとしています。

また、入院を防ぐ効果は1月下旬の時点で12歳から17歳で73%、5歳から11歳で48%だったということですが、重症化する子どもの数が少ないため、正確な分析をするためにはデータが不足しているとしています。

調査結果は第三者による検証を受ける前の段階のものですが、複数の専門家は今後、この年代の子どもに対し接種の成分の量を変更したり、追加の接種をしたりすることを検討すべきだとしています。

CDC「入院防ぐ効果高い」引き続き接種を推奨

アメリカCDC=疾病対策センターは1日、5歳から17歳の子どもについてファイザーの新型コロナウイルスワクチンの効果を調べた結果を発表しました。

調査は去年4月上旬からことし1月下旬までにアメリカ各地の医療機関で新型コロナウイルスに感染して救急窓口で治療を受けたり入院したりしたおよそ4万人を対象に行われました。

それによりますと2回の接種を完了した子どもでは、入院を防ぐ効果が、5歳から11歳で74%、12歳以上では接種の時期により73%から94%でした。

CDCは「時間とともに効果が低下する傾向が見られるものの、入院を防ぐ効果は高い」として引き続きこの年代への接種を推奨しています。

中山特任教授 効果減っても重症化防ぐ意義ある

アメリカ・ニューヨーク州で、オミクロン株が広がった時期に5歳から11歳を対象にした新型コロナウイルスワクチンの効果が下がっていたという結果が出されたことについて、小児科の医師でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「ファイザーのワクチンは、11歳以下では12歳以上と比べて接種する量を3分の1にしている。11歳と12歳前後で体格はそれほど変わらないが、量を減らすと効果は下がり、免疫が持続する期間が短くなるのは想定されることだ」と述べました。

その一方で、中山特任教授は「ワクチンの本来の目的は重症化を防ぐことで、入院を抑える効果は低くても50%程度と、それなりの効果が出ている。自然に感染してしまうよりもワクチンで免疫の記憶をつけたほうがいい」と述べ、接種の意義はあるとしています。

そのうえで、子どもに接種する量をどう決めるのかは課題が残るとしていて「大人に接種する量と比べて、何を基準にどのくらい減らせばよいか検討することが必要だ。年齢だけでなく体格なども含めて考えるのか、量を減らすのはより低い年齢にするのかといったことを慎重に検討する必要がある」と話しています。