国際

米バイデン大統領「自由は専制主義に常に勝つ」 一般教書演説

アメリカのバイデン大統領は今後1年の施政方針を示す一般教書演説を行い、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対し「自由は専制主義に常に勝つという、揺るぎない決意を示す」と述べ、国際秩序を揺るがそうとする試みは許さないという強い姿勢を示しました。
バイデン大統領は1日、連邦議会で今後1年の施政方針を示す一般教書演説を行いました。

この中で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「自由は専制主義に常に勝つという、揺るぎない決意を示す」と述べ、力によって現状を変更し、国際秩序を揺るがそうとする試みは許さないという強い姿勢を示しました。

そして「プーチン大統領はウクライナに侵攻すれば、世界が屈すると考えていた。それどころか、彼は全く想像していなかった強い壁に直面した。ウクライナの人々だ」と述べ、軍事力で劣りながらもロシアに立ち向かっているウクライナを称賛しました。

一方、アメリカ軍をウクライナに派遣する考えはないとしながらも「独裁者が侵略行為への代償を払わなければ、彼らはさらなる混乱を引き起こすという教訓を、歴史を通じてわれわれは学んできた。アメリカや世界への脅威は増大し続ける」として、強い態度でロシアに臨む必要があると訴えました。

続いて「プーチン大統領はかつてないほど世界から孤立している。この時代の歴史を振り返るとき、ウクライナに対するプーチン大統領の戦争はロシアを弱体化させ、世界を強くしたと評価されるだろう」と述べました。

そのうえで、ロシアや中国を念頭に、世界の現状を「民主主義と専制主義の闘い」と位置づけているバイデン大統領は「民主主義と専制主義の闘いで民主主義国家は今まさに立ち上がりつつあり、世界は明らかに平和と安全の側を選んでいる。プーチン大統領は自由主義社会の決意を弱めることは決してできない」と述べ、国際社会が結束してロシアに向き合っていくと強調しました。

“自由世界はプーチンの責任追及” 国際社会の結束強調

バイデン大統領が一般教書演説の冒頭に取り上げたのがロシアによるウクライナへの軍事侵攻でした。

この中でバイデン大統領は「プーチン大統領は自由世界の基盤を揺るがそうとし、威圧的な方法で屈服させられると考えたが、大きな見込み違いだった。彼は全く想像していなかった強い壁に直面した。ウクライナの人々だ」と述べ、ウクライナの人たちから想定を超える激しい抵抗にあっていると指摘しました。

そのうえで各国が相次いでロシアに対する経済制裁を科し、ウクライナへの支援を打ち出していることを念頭に「いま、プーチン大統領が行動を起こしたことで、自由世界は彼の責任を追及している。私たちは、ロシアに打撃を加え、ウクライナの人々を支えている」と述べて、国際社会の結束を強調しました。

また、ウクライナに軍の部隊を派遣しないことを改めて明確にする一方「ウクライナの人々への支援を続ける」として、武器の供与や人道支援などは強化していく考えを示しました。

さらにロシアに近いヨーロッパ東部のNATO=北大西洋条約機構の加盟国が不安を強める中「アメリカとNATO加盟国は全勢力をもって加盟国の領土を守り抜く」と述べ、加盟国が一国でも攻撃を受けた場合、反撃などの対応をとる集団的自衛権の行使を定めた第5条への関与は揺るぎないという姿勢を鮮明にしました。

一方、バイデン政権が外交政策の柱とする「インド太平洋戦略」についてはインフラ整備などを通じて「最大の競合国」と位置づける中国との経済的な競争に勝利すると述べるにとどまりました。

ロシア航空機 米領空内の飛行禁止 発表

バイデン大統領は演説の中で、ロシアに対する制裁措置としてロシアの航空機がアメリカの領空内を飛行することを禁止すると発表しました。

バイデン大統領はこの措置により「ロシアをより孤立させ、経済にさらに打撃を与える」としています。

規制当局によりますと、措置はアメリカ時間の2日中に有効になるということです。

すでにヨーロッパ各国も同様の措置をとっている一方で、報復としてロシアもヨーロッパの航空会社を対象に段階的に領空内の飛行を制限していて、これまでにヨーロッパ各国から日本に向かう便が運航を取りやめるなど、影響が出ています。

ロシアがアメリカにも報復措置をとる可能性は高いとみられ、ロイター通信は航空業界の関係者の話としてアメリカの航空会社がロシアの領空を飛行できなくなればアジアへの便に影響が出るおそれがあるとしています。

新型コロナ対策 続ける必要性強調

バイデン大統領は一般教書演説で、新型コロナウイルスについて重症者の数が去年7月以来の水準にまで減ったとして「普通の日常に戻りつつある」と述べる一方、変異ウイルスに備えて対策を続ける必要性を強調しました。

このうち新型コロナワクチンについて「より多くの人に接種することを諦めない」と述べ、アメリカ国内で引き続き接種率の向上を目指す考えを示しました。

そして、ワクチンの緊急使用の許可が5歳未満の子どもにも拡大した場合、十分な量のワクチンを供給するとしたほか、世界各国への提供を続ける考えを示しました。

また、新型コロナの重症化を防ぐ飲み薬について、薬局での検査で感染が判明した場合、その場で無料で受け取れる新たな取り組みを始めると発表しました。

さらに、感染の有無を調べる検査キットについて、ことし1月から1世帯につき4回分を無料で配付していますが、来週から追加分の注文をできるようにすると明らかにしました。

そのうえでバイデン大統領は「『コロナとの共生』を語る人がいるが、決して受け入れてはならない。われわれはウイルスと戦い続けなければならない」と述べ、ウイルスへの警戒を続けるよう呼びかけました。

インフレ抑制が最優先課題

バイデン大統領が国内経済の課題として挙げたのが、支持率低迷の要因になっている40年ぶりの記録的なインフレへの対応でした。

バイデン大統領は「あまりにも多くの家庭で家計のやりくりが苦しくなっている。物価のコントロールが最優先課題だ」と述べ、最低賃金の引き上げや、サプライチェーンの混乱の解消などに取り組む方針を示しました。

ただ、アメリカ経済はウクライナ情勢の影響でガソリン価格が一段と上昇しているほか、深刻な人手不足を背景にした賃金の引き上げ競争が物価上昇に拍車をかける構造的な問題も起きていて、11月の中間選挙に向けてはインフレをどこまで抑制させられるかが焦点の1つとなりそうです。

投票権守る法案 成立訴え

バイデン大統領は演説で民主党と共和党の間で対立が続いている選挙制度についても触れました。

アメリカではことし秋の中間選挙を前に去年、各地で共和党が主導して有権者の本人確認を厳格化するなど選挙法の改正が相次ぎました。

これについて民主党は投票を抑圧するものだと反発していて、バイデン大統領は「アメリカにおいてもっとも基本的な権利は投票する権利であり、その票がきちんと数えられることだがいまその権利は危機にさらされている」と述べ、投票権を守るためとする民主党側の法案の成立を訴えました。

また、バイデン大統領は人工妊娠中絶などの女性の権利やLGBTQなど性的マイノリティーの権利を守ること、それに銃規制の強化なども訴えました。

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