ウクライナのゼレンスキー大統領が28日、EU=ヨーロッパ連合に正式に加盟を申請したことについて、EU側の公式な反応はまだありません。
EUのフォンデアライエン委員長は27日、フランスに拠点を置くテレビ局とのインタビューで「いずれ、ウクライナはわれわれの一員となる。彼らに加わってほしい」などと述べ、加盟を支持すると受け取ることができる発言をしました。
これについてEUの報道官は「委員長の発言は、ウクライナがヨーロッパの国だという意味だ。委員長はあわせて、加盟には手続きがあるとも述べていて、これが重要なポイントだ」と強調し、実際の加盟までには時間がかかることを示唆しました。
一方、東ヨーロッパのチェコやポーランド、バルト3国など8か国の大統領は28日、公開書簡を発表し、「ウクライナはすぐにEUに加盟できるという展望を示されるに値する」として、すみやかにウクライナとの加盟交渉を始められるよう各加盟国に支持を訴えました。
ウクライナ大統領 正式にEUへ加盟申請 “実現信じている”
ウクライナのゼレンスキー大統領は28日、EU=ヨーロッパ連合に正式に加盟申請しました。ゼレンスキー大統領は、自身のSNSで、加盟申請の文書に署名する写真とともに「実現すると信じている」と投稿しています。
ウクライナは2014年、南部クリミア半島をロシアに併合された直後に、EUとの貿易自由化を含む関係強化に向けた協定に署名しましたが、正式に加盟申請するのはこれが初めてです。
ゼレンスキー大統領としては、ロシアに対抗するために欧米の支援が不可欠で、EUへの加盟申請を行うことで、その姿勢をより明確にするねらいがあるとみられます。
また、ゼレンスキー大統領は28日、EUのフォンデアライエン委員長と電話で会談したことを明らかにし、以前から希望しているEU加盟を重ねて求めたとしています。
EU委員長 加盟支持と受け取れる発言も

松野官房長官「EUとウクライナの議論見守る」
松野官房長官は、午後の記者会見で「ウクライナがEUに特別な手続きですぐ加盟できるよう要請したと承知している。今般のウクライナ情勢に鑑み、ウクライナへの連帯を示しつつ、EUとウクライナ間の加盟に向けた議論を見守っていきたい」と述べました。