ワクチンや治療薬の「緊急承認」制度 新たに設定へ 政府

新型コロナワクチンの承認などが海外に比べて遅れたと指摘されたことを受け、政府は3月1日の閣議で、ワクチンや治療薬を「緊急承認」できる制度を新たに設けるとした法律の改正案を決定しました。

新型コロナワクチンをめぐり、厚生労働省は審査の手続きを簡略化した「特例承認」を適用していますが、日本で承認されたのはアメリカやEUが使用を認めた時期より2か月から5か月程度あとで、政府内からも、治験や承認の遅れを指摘する声が上がっていました。

これを踏まえ、政府が3月1日に閣議決定した医薬品医療機器法などの改正案では、感染症の流行といった緊急時に、代替手段がないことを条件に、ワクチンや治療薬などを、迅速に薬事承認できる「緊急承認」の制度を新たに設けるとしています。

具体的には、安全性が確認され、海外の治験や途中段階の国内の治験により有効性が推定されれば、薬事承認できるとしています。

また薬事承認には、2年以内で期限を設けてさらに有効なデータを収集するなどの条件を付けることになっていて、期限内に有効性が確認できなければ、承認が取り消されます。

このほか改正案には、現在、紙で行われている処方箋のやり取りを、データで行うことができるようにする「電子処方箋」の導入も盛り込まれています。

政府は今国会で、改正案の成立を目指す方針です。

後藤厚労相「速やかに審議を」

後藤厚生労働大臣は記者会見で「感染症に対する危機管理強化の観点から、緊急時に新たな医薬品などを速やかに薬事承認する仕組みの整備や、処方情報および調剤情報の一元管理を可能とする『電子処方箋』の仕組みの整備について措置するものだ。今国会において、速やかに審議してほしい」と述べました。