ロシアとウクライナ 軍事侵攻後初の会談で合意も 情勢は不透明

ロシア軍によるウクライナへの侵攻が続く中、ロシアとウクライナの代表団による会談が軍事侵攻後、初めて行われる見通しです。
ただウクライナ側は前提条件なしで行われると主張しているのに対し、ロシア側はウクライナの非軍事化 中立化を条件としていて、会談が停戦につながるかは不透明な情勢です。

ウクライナでは軍事侵攻したロシア軍に対しウクライナ軍が第2の都市ハリコフなど各地で抵抗を続けていて、ロイター通信はウクライナ保健省の情報としてこれまでに352人が死亡したと伝えています。

アメリカの衛星会社「マクサー・テクノロジーズ」が27日午前に撮影した写真には、ウクライナの首都キエフに向かうロシア軍の車列がとらえられています。

キエフから北におよそ60キロの地点で戦車や燃料車両など数百台が5キロ以上連なり、ロシア軍が圧力を強めていることがうかがえます。

こうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、ウクライナの代表団がロシアの代表団と会談することで合意したと明らかにしました。
双方による会談は軍事侵攻後、初めてです。

会談についてロシア国営のタス通信は関係者の話として、現地時間の28日午前、ベラルーシ南東部にあり、ウクライナと国境を接するゴメリ州で行われる見通しだと伝えました。

これまでのところ会談が行われたという情報は伝えられておらず、日本時間のきょう午後にかけて行われるとみられる会談の行方が注目されています。

ただウクライナ側は前提条件なしで行われると主張しているのに対し、ロシア側はウクライナの非軍事化 中立化を条件としていて、双方の主張が対立する中、会談が停戦につながるかは不透明な情勢です。

軍事侵攻後 初の交渉 双方のねらいは

ロシア側の代表団は、メジンスキー大統領補佐官をトップに外務・防衛の高官などで構成されています。
ロシア側は、ウクライナの「中立化」と「非軍事化」が交渉を進める条件だとしています。

このうち「中立化」は、ウクライナがNATO=北大西洋条約機構に加盟しないことを法的に確約させることとみられます。
また、「非軍事化」は、ウクライナの武装解除をめざし、NATO加盟国から支援されている最新の対戦車ミサイルや無人機などの撤去を求めることなどが含まれるとみられます。
プーチン大統領は、交渉を前に27日、ショイグ国防相などに対して、核戦力を念頭に抑止力を特別警戒態勢に引き上げるよう命じ、核保有国であることを強調し、威嚇するねらいとみられます。

一方、ウクライナ側は、ゼレンスキー大統領が「人々の命が失われるのを防ぐため、交渉のテーブルにつこう」と呼びかけていて、ウクライナの代表団としては一刻も早い停戦を強く求めるとみられます。
また、一部の都市のほか、北部のチェルノブイリ原子力発電所などが占拠されたと伝えられていて、ロシア軍の撤退も要求するとみられます。
ゼレンスキー大統領は、ロシア軍の侵攻が始まって以降も各国の首脳に対してウクライナへの支援とともに強力な経済制裁でロシアを孤立させることを求めています。

軍事侵攻が始まってから行われた世論調査では、ゼレンスキー大統領を支持する国民が91%に上るなど大統領のもとで国民が結束しようとしている様子がうかがえます。
ウクライナ側としては、交渉で、一時的な停戦を実現するとともにロシアに抵抗する国民の姿勢や国際社会との連携も背景にロシア側との交渉を少しでも有利に進めたいねらいとみられます。