披露宴キャンセル料求めたホテル側の訴え退ける 名古屋地裁

おととし、新型コロナウイルスに対する初めての緊急事態宣言を理由に、結婚式の披露宴をキャンセルした夫婦に対し、名古屋市にあるホテルが披露宴の予定日には宣言は解除されていたなどとして、およそ150万円のキャンセル料の支払いを求めていた裁判で、名古屋地方裁判所は、感染状況を見通すのは難しくキャンセルはやむをえなかったとして訴えを退けました。

訴えられていたのは、愛知県に住む40代の夫婦で、おととし4月、7都府県に初めての緊急事態宣言が出された翌日に、名古屋市中区の「名古屋観光ホテル」で6月に予定していた披露宴をキャンセルしました。

これに対し、ホテル側は「キャンセル時には、愛知県に宣言は出されていなかったうえ、予定日の1か月ほど前には解除され、披露宴を開くことはできた。延期などの提案も複数回行った」などとして、夫婦におよそ150万円のキャンセル料の支払いを求めていました。

25日の判決で、名古屋地方裁判所の岩井直幸裁判長は「キャンセル当時は、感染収束に向かう見通しを持ちえない状況で、2、3か月以内の披露宴の開催は不可能だと一般的に認識されていたため、夫婦がキャンセルしたのもやむをえない事由によるものと認める」として、ホテル側の訴えを退けました。

夫婦の代理人の吉川徹弁護士は「キャンセル料を払った人がいると思うので、裁判所がきちんとした判断を示したことは意味がある」と話しています。

一方、ホテル側は「詳細を把握していないのでコメントしかねます」としています。