首相 “北方領土問題含む平和条約交渉 当面控える”参院予算委

岸田総理大臣は参議院予算委員会で、ロシアによるウクライナへの侵攻を受け、国際法違反の行為が高い代償を伴うものだと明らかにすることが重要だとして、北方領土問題を含む平和条約交渉について、「当面は申し上げることは控えなければいけない」と述べました。

公明 西田参院会長 ワクチンの早急な開発について

公明党の西田参議院会長は、国産のワクチンや治療薬の開発について、「今のオミクロン株が収束したとしても、その後、またウイルスが変異していくことも予想される。いつまでも外国産ワクチンに依存している訳にはいかず、早急な開発が待ち望まれている」と指摘しました。

これに対し、岸田総理大臣は「開発生産に取り組んでいる国内企業に対して、生産体制を整備するための補助や有効性を検証する臨床試験の実施費用に対する補助などの支援を行っている。引き続き国内での開発生産の基盤整備をしっかり後押ししていきたい」と述べました。

公明 伊藤氏 雇用調整助成金の特例措置について

公明党の伊藤孝江氏は、3月末が期限となっている、新型コロナの影響を受けた事業主に対する雇用調整助成金の特例措置について、「事業者にとっては命綱で、少しでも早い延長の判断を待っている。一定の期間、現行水準の内容を維持することについて総理の決断をお願いしたい」と求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「4月以降の取り扱いはオミクロン株の感染拡大により、多くの事業者が厳しい状況に置かれていることも踏まえる必要がある。特例措置を延長する方向で速やかに検討し、公表したい」と述べました。

国民 矢田氏 「トリガー条項」の凍結解除について

国民民主党の矢田稚子氏はガソリン税の上乗せ分の課税を停止する、いわゆる「トリガー条項」の凍結解除について「原油の先物価格が1バレル=100ドルを7年7か月ぶりに超え、長期化も予想される。国民民主党は総理が解除前提で検討していると受け止めており、ぜひご判断いただきたい」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は、「ロシアのウクライナへの侵攻という事態を受けて、新たに表明した激変緩和措置の拡充をしっかりと実行したい。そのうえで、『トリガー条項』の凍結解除をはじめとするさまざまな選択肢について、どれも排除することなく、どれが効果的なのか検討し、対策を準備していきたい」と述べました。

維新 片山氏 ウクライナ情勢の日本経済への影響は

日本維新の会の片山大介氏は、ウクライナ情勢が日本経済に与える影響について「エネルギー価格の高騰や金融市場の不安定化など、どのように分析しているのか」と質問しました。

これに対し、萩生田経済産業大臣は「日本のLNG輸入量全体のうち、ロシアはおよそ8%を占めているが、直ちにロシアからの輸入が止まることはない。企業の事業活動への影響が最小限にとどまるよう、G7=主要7か国をはじめとする国際社会と連携し適切に対応していきたい」と述べました。

共産 田村政策委員長 核兵器の威嚇に対する明確な認識は

共産党の田村政策委員長は、ウクライナ情勢をめぐり「ロシアは世界で最も強力な核保有国の一つで、核兵器による威嚇に対しても明確な認識を示してほしい」と見解を求めました。

これに対し、岸田総理大臣は「自称共和国を国家承認すること自体が国際法違反で、その共和国からの要請を受けて軍事行動を実施したという主張は成り立つはずがない。通常兵器による威嚇も認められず、核兵器による威嚇も当然認めることはできない」と述べました。

首相 “当面は領土問題などについて控える”

また岸田総理大臣は、北方領土問題を含む平和条約交渉をはじめとする日ロ関係について、「いまは制裁措置をしっかり実行し、国際法違反の行為が高いコストを伴うものだと明らかにすることが重要だ。当面は領土問題などについて申し上げることは控えなければいけない」と述べました。

萩生田経産相 LNG融通計画 4月以降も可能なかぎり対応

一方、萩生田経済産業大臣は、LNG=液化天然ガスをヨーロッパ向けに融通する計画について、「LNG船の数隻がすでに到着済みか、今月中に着くように向かっており、来月はそれ以上の隻数が向かう予定だ。4月以降も情勢を見ながら可能なかぎり対応できるよう、各社に検討をお願いしている」と述べました。