ロシアの軍事侵攻 各地から非難や事態の沈静化を願う声 相次ぐ

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対して、国内のさまざまな団体から事態の沈静化を願う声や、ロシアに対する非難の声明が相次ぎました。

日本ウクライナ文化交流協会「平和を取り戻したい」

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について、ウクライナとの文化交流活動を続けてきた日本の団体の会長は「文化活動は平和の象徴であり、平和を取り戻したい」と話し、事態の沈静化を訴えました。

大阪 八尾市に本部を置く「日本ウクライナ文化交流協会」は、日本とウクライナの双方で文化交流のイベントを続けています。

会長の小野元裕さんは、大学でロシアやウクライナなどのスラブ文化を学び、ウクライナの魅力を日本に広く伝えたいと、17年前に交流協会を立ち上げました。

会員は日本とウクライナの各地におよそ250人いて、小野さんはキエフなどウクライナ各地にいる会員や友人たちの安否の確認を進めていました。

これまでに、けがをした人などはいないということですが、「朝、爆撃の音で目が覚めた」といった連絡も寄せられ、現地にいる人たちのことを心配していました。

軍事侵攻について小野さんは、「ウクライナの豊かで美しい町並みや、やさしくて芸術を愛する人々の心を踏みにじるのは許せない」と憤っていました。

日本とウクライナは、ことし外交関係ができてから30年となり、小野さんは記念の冊子を作成し、文化交流をさらに進めようとしていたやさきだったということで、「悲しいことがきっかけだが、今後、もっと多くの人にウクライナを知ってほしい」と話していました。

そのうえで、「文化交流活動は両国が平和だからできたことです。平和の象徴の文化活動ができるよう平和を取り戻したい」と話し、事態の沈静化を訴えていました。

日本ペンクラブ「平和的に解決を」

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて日本ペンクラブは、世界の作家などで作る「国際ペン」などと共に、「ウクライナ情勢の悪化を深く憂慮し、すべての当事者に対し平和的対話を通じて武力紛争を平和的に解決するよう呼びかける」とする声明を発表しました。

ウェブサイト上に発表された声明では、「ロシアがウクライナの国境に軍隊を送り込み、軍事力の行使をエスカレートさせるとの脅威のもとで、急速に悪化するウクライナの状況を深く憂慮しています」と懸念を示したうえで、「すべての個人は、平和、自由な表現、自由な集会に対する権利を有します。私たちはすべての当事者に対し、平和的対話を通じてウクライナの武力紛争を平和的に解決し、暴力をあおっているプロパガンダの使用をやめるよう呼びかけます」としています。

あわせて「国際ペン」は会長談話として、「ロシア軍がウクライナに放った暴力を全面的に非難し、主権を持つ独立国家に対する軍事的侵略の終結を緊急に求めます。流血は今すぐ止めなければなりません。平和が勝利しなければなりません」などと訴えています。

シベリア抑留者・記録センター「軍事力行使に深い憤りと失望」

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について、戦後、シベリアなどに抑留された人たちを支援してきた団体が声明を発表し「軍事力行使に深い憤りと失望を表明します。軍事侵攻をただちに中止し、平和的に交渉するよう求めます」と呼びかけました。

戦後、シベリアなどに抑留された人は57万人余りにのぼり、およそ5万5000人が、厳しい寒さや飢えなどで亡くなったとされています。

これまでシベリア抑留者を支援してきた「シベリア抑留者・記録センター」は25日、ロシアがウクライナへ軍事侵攻したことについて声明を発表しました。

声明では、「第2次世界大戦後の抑留によって捕虜や民間人が犠牲になり、遺族らとともに真相究明や遺骨返還を求めてきた私たちは今回のロシアの軍事力行使に深い憤りと失望を表明します」としています。

また「まだ遺骨の半分以上が残されたままですが、私たちは悔し涙を流しながらも、ともに平和と友好を求める道を歩んできました。育まれてきたささやかな信頼を裏切らないでください」としています。

そのうえで、「プーチン大統領に直ちに攻撃を中止し、撤退を命じられるよう訴えます。核兵器の使用を示唆することなど言語道断です。軍事侵攻を直ちに中止し、平和的に交渉するよう求めます」と呼びかけました。

シベリア抑留者支援センターの代表世話人の有光健さんは「戦後76年かけて遺骨を収集しているが、いまだにどこで亡くなったのか分からず、遺族はつらい思いをしている。こういうことがまた繰り返されるのかと残念に思っています」と話しています。

ロシアの核保有国を誇示する姿勢にも

ロシアのプーチン大統領は24日、ウクライナへの軍事侵攻にあたって、「現代のロシアはソビエトが崩壊した後も、最強の核保有国の1つだ。ロシアへの直接攻撃は潜在的な侵略者にとって、敗北と壊滅的な結果をもたらすことは間違いない」などと述べて、核保有国であることを誇示する姿勢を強調しました。
これについて、被爆地の広島と長崎からは憤りの声が相次ぎました。

被爆地 広島からは

広島市の平和公園では、核兵器による惨状が繰り返されてはならないという声が聞かれました。

このうち77歳の被爆者の女性は「絶対にいけないことだし、ヒロシマを繰り返してはいけない。早く平和になってほしいです」と話していました。

29歳の女性は「核兵器を使った脅しで物事を動かそうとするのはあってはならないし、そういう手段が取られる世界にはなってほしくない」と話していました。

72歳の男性は「核兵器を使うことはとんでもないことだし、許せない。広島のような悲惨なことは2度と起こしてはいけない」と話していました。

広島県被団協「第3次世界大戦への発展は絶対にやめてくれ」

広島県被団協の箕牧智之理事長は、「戦争状態になっていることは許せません。第3次世界大戦に発展するようなことは絶対にやめてくれと、広島から世界に大きな声で叫びたいと思います。核で人を脅しているわけだが、絶対に大きな過ちを起こさないでほしい」と話していました。

被爆地 長崎からは

長崎の平和公園でも、大統領の姿勢に「絶対反対」という声や平和を望む声が聞かれました。

このうち長崎市の80代の男性は、「核保有国を誇示する発言には絶対反対です」と話していました。

長崎市の10代の女性は、「怖いです。被爆地としては戦争をどの国も起こしてほしくないし、日本も巻き込まれないようにと思っています」と述べました。

長崎県壱岐市の40代の男性は、「戦争は悲惨だとわかっているので平和路線で進めてほしい」と平和を望む声が聞かれました。

また、長崎を訪れている広島市の被爆2世だという男性は、「原爆は絶対に使ってはいけない。言ってはいけないことだ」と話していました。

長崎の被爆2世「3度目の核兵器使用が現実になってほしくない」

4年前に平和活動のためにウクライナを訪れた長崎の被爆2世の女性は、「3度目の核兵器の使用は現実になってほしくない」と訴えました。

長崎県諫早市に住む被爆2世の大瀧知子さんは、4年前、被爆者の男性とともに平和活動のためにウクライナを訪れました。

現地では、チェルノブイリ原発事故でふるさとを追われた人たちと意見交換をしたり、現地の子供たちに原爆についての紙芝居を披露したりして交流したということです。

大瀧さんは「当時、温かくもてなしてくれた現地の人たちが今後、どうなってしまうのか心配です」と話していました。

そして、ロシアのプーチン大統領が核保有国であることを誇示する姿勢を強調したことについて、「広島、長崎に続き、3度目の核兵器の使用は現実になってほしくない。プーチン大統領は核兵器が使われたら、どんなことが起こるのかわかっていないのだと思う。先人たちの原爆や戦争の経験を無駄にしてはいけない」と話しました。

北方領土の元島民「領土交渉の停滞を懸念」

ロシアがウクライナに軍事侵攻したことを受けて、北海道根室市に住む北方領土の元島民からは平和条約交渉や交流事業などへの影響を懸念する声が出ています。
歯舞群島の多楽島出身で、元島民などでつくる千島歯舞諸島居住者連盟の河田弘登志副理事長(87)は「まさかこのような事態が起こるとは思いもせず、大変ショックを受けている。領土交渉への影響が心配だ」と話し、領土問題を含む平和条約交渉が停滞することへの懸念を示しました。

「北方墓参」や「ビザなし交流」など北方四島との交流事業は新型コロナの感染拡大の影響をうけ、2年連続で中止されていて、日本側は早期の再開を目指しています。

これについて、河田さんは「高齢になり、訪問できる機会も限られてきたので、ロシアとの問題が少しでも早く収まり、訪問できる日を待ち望んでいる」と話していました。

また歯舞群島の勇留島出身で、千島歯舞諸島居住者連盟根室支部の角鹿泰司支部長代行(84)は「日本が経済制裁などの対応を取れば、ロシアが領土交渉に対して逆に強い態度で出て来るおそれがある。ウクライナと北方領土とは切り離して交渉を前に進めてほしい」と話していました。

四島との交流事業については「元島民の平均年齢は86歳に達し、限界が来ている。再び島を訪れたいと願う元島民の気持ちに寄り添ってほしい」と話していました。