東京 調布 道路陥没 住宅の解体工事開始もスケジュール変更に

東京 調布市で道路の陥没や地下の空洞が見つかった問題で、地下のトンネル工事の影響で緩んだ地盤を補修するため、トンネルの真上にある住宅の解体工事が25日から始まりましたが、現場では住民から工事への反対の声が上がり、スケジュールを変更して作業が進められました。

調布市の住宅街ではおととし10月以降、道路の陥没や地下の空洞が相次いで見つかり、地下深くで行われていた「東京外かく環状道路」の掘削工事を行っていた東日本高速道路などはトンネルの真上の幅およそ16メートル、長さ220メートル、深さ最大およそ50メートルの範囲について、緩んだ地盤の補修を行う方針です。

東日本高速道路などは、対象となる範囲の住宅の一時的な移転や買い取りを進めていて、25日から解体工事を始めました。

東日本高速道路によりますと、初日の25日は住宅の周りに防音壁を立てたり、解体工事の振動や騒音を測定する装置を設置したりする作業を行う予定でしたが、作業が始まる午前8時ごろ、現場では住民が集まり、説明が不十分だとして現場の担当者に説明を求めて詰め寄る事態となり、作業のスケジュールを変更して、装置の設置だけを行ったということです。

今後、住宅を解体したあとは、特殊な機械を使って土を固める材料を地中に注入し、地盤の強度を高める計画ですが、こうした作業の開始時期については現時点では見通しが立っていないとしています。

東日本高速道路は「今後の作業の予定は未定だが、現地の住民の安全を最優先に丁寧に作業を進めていきたい」とコメントしています。

一方、東日本高速道路などは1年余り中断していた「外環道」の地下工事について、陥没現場以外の場所から工事を再開する予定で、25日から練馬区で工事を再開したということです。

売却交渉中の住民「事業者は最低限の対応はしてほしい」

今回、地盤補修が行われる範囲にある住宅で50年ほど暮らしてきた近田真代さん(74)は当初、一時的に引っ越しをして、工事終了後に再び、今の場所に戻ろうと考えていました。

しかし、いつまた戻ってこられるのか見通しが立たないとして、現在は事業者側に自宅を売却し、別の場所に引っ越す方向で交渉を進めているということです。

近田さんは「住み慣れた家を離れることは心細いが、いつ、またここに戻られるか分からないので、不安な気持ちを引きずりながら生活をするのはつらいと思う。事業者が住民に真摯(しんし)に対応しているとは思えず、しっかりと説明するなど最低限の対応はしてほしい」と話していました。

また地盤補修工事が予定されている範囲のすぐ近くに自宅がある丸山智子さん(79)は「工事が始まると車両がひっきりなしに通ったり、粉じんが飛んだりするのではないかと不安です。工事がいつ終わるかどうかもわからず、生活が破壊されてしまうのではないかと感じている」と話していました。

調布市「地域住民に丁寧に説明を」

住宅の解体工事が始まるのを前に、調布市の現場の住民らで作るグループは、生活をしている家の横での安易な解体工事は認めることはできないとすることや、何をどのように補修するのか、工事完了後の青写真を含む工事計画を住民の合意を得ることなどを求める声明文を公表しています。

これを受け、地元の調布市は24日、長友貴樹市長名で東日本高速道路などに対し、「近隣住民から騒音・振動に関する苦情が多数寄せられたことを踏まえ、今後、実施する地盤補修工事や地盤調査においても同様の苦情が寄せられると憂慮している」としたうえで、「地域住民に対し丁寧に説明すること」を求める要請文を提出しました。

調布市の担当者は「工事に関しては地盤の調査を継続して行うなど丁寧な対応が行われるものと認識しているが、地域住民の切実な声もあるので、できるかぎり、こまやかな説明をするなど事業者側の配慮が必要だ」と話しています。