5~11歳への接種 本格的開始へ 不安や戸惑いの声に応える 東京

新型コロナウイルスワクチンの5歳から11歳の子どもへの接種が26日以降、本格的に始まるのを前に、都内の病院では保護者から寄せられる不安や戸惑いの声に小児科医が直接応える取り組みが進められています。

新型コロナウイルスワクチンの5歳から11歳の子どもへの接種は26日から東京 足立区で始まり、来週以降、全国で本格的に実施されます。

母子医療を専門とする東京 港区の愛育病院でも来月1日から接種が行われる予定で、医師によりますと外来などに訪れる保護者の半数程度から不安や戸惑いの声が聞かれるということです。

24日も、かかりつけの5歳の子どもの母親が「子どもにどういう副反応が出るのかが不安で、接種を迷っています」と医師に相談していました。

これに対し医師は、海外のデータでは子どもは大人より副反応の出る割合が低い傾向にあったことを説明したうえで、「コロナに感染すると両親が仕事に行けなくなってしまうなどの影響もあると思うので、それも加味して夫婦で相談してください」と説明していました。

母親は「可能性は少なくても、副反応が出た事例を聞くと自分の時よりも判断は迷います。インターネットには情報があふれている中で、医師から正確な情報を教えてもらい、前向きに検討しようという気持ちになりました」と話していました。

病院ではより多くの保護者に正しい情報にもとづいて検討してほしいと、アメリカのCDC=疾病対策センターが公表している副反応のデータをまとめて今週、ホームページに掲載しました。

また地元の港区では来月から、ワクチン接種後に重い副反応が出た場合に病院の小児科医と24時間電話で直接つながる相談ホットラインを始めることにしています。

愛育病院小児科の浦島崇医師は「正しい情報を届けるとともに、より安心して接種してもらえる体制を整えることで保護者の不安に応えたい。感染拡大で子どもたちの生活に大きな影響が出ているので、接種を検討してもらえるよう取り組みたい」と話していました。

コロナワクチン 子どもへの接種 去年9月のアンケート調査では

新型コロナウイルスワクチンの子どもへの接種をめぐっては、オミクロン株の感染が拡大する前の去年9月、都内の国立の医療機関が保護者や子どもを対象に実施した大規模なアンケート調査の結果も公表されています。

この調査は、国立成育医療研究センターが去年9月、インターネットを通じて行ったもので、子どもが0歳から高校3年生の保護者5800人余りと、小学1年生から高校3年生の子ども1200人余りから回答を得ました。

調査では、新型コロナワクチンを子どもに受けさせたいかや、子ども本人に対しても受けたいかを尋ね、回答を3学年ごとに集計しています。

このうち、新たに接種の対象になった5歳から11歳の年齢が含まれる小学生の保護者について見ると、
◇「とても受けさせたい」か「どちらかというと受けさせたい」という回答が、
▽1年生から3年生の保護者で合わせて71%
▽4年生から6年生の保護者では76%でした。

理由についても自由記述で入力してもらったところ、
「子どもに基礎疾患がある」
「祖父母に会わせたい」
「子どもが希望している」
といった回答が寄せられたということです。

一方、
◇「まったく受けさせたくない」か「どちらかというと受けさせたくない」という回答は、
▽小学1年生から3年生の保護者で23%
▽4年生から6年生の保護者で20%でした。

「長期的に重大な副反応が生じないか慎重に検討したい」
「子どもには普通のかぜなので、大人の都合で打たせたくない」
といった理由があったということです。

また、子ども本人の回答では、
◇「とても受けたい」か「どちらかというと受けたい」が、
▽小学1年生から3年生で合わせて50%
▽4年生から6年生で60%でした。

「ほかの人にうつしたくないから」
「みんなが受けて、かからなくなったらお父さんの仕事が減って、また一緒に遊べるから」といった声に加え、
「社会の目が怖いから」
などと周囲を気にするような回答もあったということです。

一方、
◇「まったく受けたくない」や「どちらかというと受けたくない」と回答したのは、
▽小学1年生から3年生で42%
▽4年生から6年生では33%でした。

理由は、
「注射が痛いから」
「急いでつくったワクチンだから」
「熱とか出るのがこわい」
「子どもはかかってもすぐに治るから」などとなっています。

※2月26日に表現を修正しました。

国は接種勧める “かかりつけの医師とも相談し判断を”

新型コロナウイルスワクチンの5歳から11歳の子どもへの接種について、厚生労働省は無料で受けられる公的な接種に位置づけたうえで全国の自治体から各家庭に予診票を送り接種を勧めています。

一方、保護者に対しては現時点でオミクロン株に対する有効性のデータが十分でないことなどから、子どもに接種を受けさせるよう努めなければならない「努力義務」とはしていません。

厚生労働省は、保護者と子どもがメリットとデメリットを踏まえたうえで、かかりつけの医師とも相談して接種するかどうか判断してほしいとしています。

そのうえで全国の自治体に対し、接種の前に保護者の不安や疑問に答えるコールセンターを設置するなど相談体制を確保するよう求めていて、体制整備にかかった経費は全額助成するとしています。