自宅などでの死亡増 死因究明拠点を一部自治体に試験的設置へ

高齢化が進み、自宅など病院以外の場所で亡くなる人が増えていることから、国は、警察や医師会、大学の法医学教室と連携した死因究明の拠点を一部の自治体に試験的に設け体制の強化を進めることになりました。

高齢化などにより、周りに気付かれずに孤立死するケースが各地で相次いでいるほか、新型コロナウイルスの感染拡大以降、自宅などで症状が悪化して亡くなる人も多くいます。

現在の日本の制度では、事件性がない場合、死因について詳しい調査を行うことはほとんどないため、国は、死因の究明を行うための拠点を一部の自治体に試験的に設けることになりました。

警察や地元の医師会、それに大学の法医学教室と連携し遺体の内部を撮影して行う画像診断や体内の薬物検査などを実施して、必要に応じて解剖も行うことにしています。

死因の究明をめぐってはこれまでにも解剖が行われず暴行などが見落とされていたケースがあったほか、死因がはっきりしないことで遺族が死を十分に受け入れられない問題も起きています。

国は今後、死因究明の拠点を設ける自治体を具体的に決めて課題などを検証し、将来的には全国各地に広げることも検討したいとしています。

法医学が専門の福岡大学の久保真一教授は、「高齢化が進み自宅などで亡くなる人が増えているのに、日本の死因究明は犯罪捜査が中心になっていて、事件性がないと判断されれば、その人がどうして亡くなったのか解明されない現状がある」と指摘しています。

そのうえで、今回の国の取り組みについて「得られた成果や課題を十分に検証し、全国的に死因究明の仕組みを整備するための第一歩になると期待している」と話しています。