専門家会合 “感染減少スピード鈍化 再び増加傾向の可能性も”

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、感染が減少するスピードが鈍化していて、今後、全国的に再び増加傾向に転じる可能性もあると指摘しました。
高齢者施設でのクラスターが増加し亡くなる人の数も増加が続いているとして、施設での対策強化やワクチンの追加接種の加速などが求められるとしています。

専門家会合は、全国の感染状況について減少傾向となっているものの、そのスピードは鈍化していて、年代別では10歳未満と80代以上の高齢者で横ばいとなり、都市部を中心に高齢者の介護福祉施設でのクラスターの増加が見られるとしています。

そのうえで、まん延防止等重点措置が解除された沖縄県で夜間の繁華街での人出が急増し感染が再び増加するなど、ワクチン接種の加速に伴って継続的に減少した去年夏の状況とは異なり「全国的に再び増加傾向に転じる可能性がある」と指摘しました。

また、今のところ兆候は見られないとしながらも今後、オミクロン株の一種で感染力がさらに高いと指摘されている「BA.2」と呼ばれる系統のウイルスに置き換わり、感染が再び増加に転じる可能性にも注意が必要だとしています。

そして、重症者数は高止まりし亡くなる人の増加は続いていて、当面、多くの地域で軽症や中等症の医療体制のひっ迫や、高齢の重症者数の増加によって重症患者の病床使用率の増加が続く可能性があるとしています。

専門家会合は高齢者の感染を抑えるため、介護福祉施設での対策を徹底し、入所する高齢者だけでなくスタッフへの追加接種をさらに加速し、スタッフへの積極的な検査を行う必要があるとしています。

また、これまで多くの人が集まる行事で感染が拡大したことから、これから卒業式や春休みなど、行事が行われる年度末に向け、1つの密でも避け、外出の際には混雑した場所や感染リスクの高い場面を避けることや、不織布マスクの正しい着用や手指の消毒、換気といった感染対策を徹底することが必要だと強調しました。

専門家「感染状況の改善 それを継続させることが非常に重要」

厚生労働省の専門家会合のあとの記者会見で、脇田隆字座長は新規感染者数が減少傾向となっても死者数が増えていることについて「自治体からの報告をみると今回は若い人が感染しても重症化のリスクはかなり低いが、高齢になるほど重症化や死亡のリスクが上がっている。現在は、高齢者の感染者数がなかなか減ってきていない。高齢者施設のクラスターが増加しているという報告もあった。施設の入所者やそこで働く人にはしっかりとワクチンの追加接種を進めていくことがこの時期、最も重要なことだ。また、施設で働いている人たちは定期的に検査をして、陽性になってもしっかり休める体制を作ることが重要だという議論があった」と話していました。

また、まん延防止等重点措置が出されている東京都や大阪府などの今後の見通しについて「新規の感染者数は減少傾向がみえてきているが、今はまだ重症者数が高止まりで、死者数は増加傾向にある。新規感染者数の減少傾向を保つことが医療の状況の改善につながるが、今は、ぎりぎり、減少傾向になっている状態だ。今後、人々の接触機会が増えるなど少しのきっかけで再び増加傾向になって医療への負荷につながると考えられる。感染状況を改善させて、それを継続させることが非常に重要だ」と話していました。