【詳しく】ウクライナ情勢 ロシアとアメリカ 大統領発言まとめ

ウクライナへの特別な軍事作戦に乗り出すことを明らかにしたロシアのプーチン大統領。
一方、ロシアの攻撃を非難し、厳しい制裁を科すとしているアメリカのバイデン大統領。
2人の大統領の最近の主な発言をまとめました。

【プーチン大統領の発言】

11月13日 国営テレビのインタビュー

クリミアに面した黒海で、アメリカなどNATO=北大西洋条約機構の加盟国が「計画外の軍事演習を行っている」と非難したうえで「われわれに対する重大な挑戦だ」とけん制した。

11月18日 ロシア外務省で行われた会議で演説

アメリカについて「建設的な対話などの機会は開かれている」とし、対話を続けていく考えを示した。

12月8日 ロシア南部のソチの記者会見

NATOが東に拡大し、ロシアに迫ってくることが安全保障上の脅威になると改めてアメリカをけん制したうえで「われわれの見解は数日から1週間以内にまとめ、アメリカ側に伝えていく」と述べ、今後の協議でNATOがウクライナに軍事的な関与をしないよう法的に拘束力のある保証を求めていく考えを示した。

12月21日 ロシア国防省で開かれた会合で演説

ウクライナ情勢について「アメリカやNATOのミサイルが、ウクライナに配備されたら、モスクワには7分から10分で到達する。われわれにとって深刻な課題だ」

ウクライナがNATOに加盟するなど、NATOがこれ以上東へ拡大しないことを保証するようロシアが求めていることに触れたうえで「口約束ではなく、少なくとも法的な拘束力のある協定を結ぶべきだ」

「欧米諸国が攻撃的な路線を続けるのであれば、われわれは軍事的、技術的な対応をとり、非友好的な措置に対して厳しい対応をとる」と述べ、軍事的な行動も辞さない強気の姿勢を示した。

12月23日 モスクワで開かれた年末恒例の記者会見

「われわれはアメリカの国境近くにミサイルを配備しただろうか?アメリカこそがミサイルを持ってこちらに近づいてきたのだ」と強い警戒感を示した

「問題はわれわれの安全がいかに確保されるかだ。ボールは相手にある」

NATOを東に拡大し続けてきたとして「彼らは現在のロシアですら大きすぎると考えている。圧力をかけ続けているのはそのためだと思わざるをえない」

12月30日 米ロ首脳電話会談に先立って、バイデンにメッセージ

「互いに尊重し合い、双方が国益に配慮した対話ができると確信している」

1月29日 仏ロ首脳電話会談でマクロン大統領に対して

NATOが加盟国を増やして拡大していることなど、ロシアが抱く根本的な懸念についてアメリカなどは考慮していないと、不満の意を伝えた。

2月1日 ハンガリー首相とモスクワで会談後に会見

アメリカは「ロシアの根本的な懸念を無視している」と述べ、強い不満を表した

「ウクライナは、クリミアを取り返そうとしている。仮にウクライナがNATO=北大西洋条約機構に加盟したとして私たちは、NATOの国々と戦争をしなければならないのか」

NATOをこれ以上、拡大しないことなどを法的に保証するよう求めるロシアの要求に対してアメリカなどが応じられないと回答したことについて、プーチン大統領は「回答を入念に分析している。しかし、ロシアの根本的な懸念が無視されているのは明らかだ」と述べ、強い不満を示した。

「欧米側の最大の目的は、ロシアの発展を阻止することだ。状況の悪化を避けるためには、ロシアを含む、すべての国の利益を真剣に検討する必要がある」

「状況の悪化を避けるためには、ロシアを含むすべての国の利益を真面目に検討する必要がある」

2月10日 英ロ外相会談に先立ち 外務省職員に向けメッセージ

「アメリカとNATOの同盟国に法的な効力のある包括的な安全保障を求めていくことが重要だ」

2月15日 国営テレビ中継でラブロフ外相とのやり取り

プーチン大統領は、ラブロフ外相に対して「ロシアが懸念する重要な問題について欧米側と合意するチャンスはあるのか、それとも欧米側は終わりのない協議に引きずり込もうとしているだけなのか」と問いかけた。

2月15日 ドイツ ショルツ首相と会談後の会見

「安全保障に関するロシアの提案に対し、アメリカなどから受け取った回答は、ロシアの基本的な要求を満たしていない」

「アメリカなどの回答には、われわれが以前、提案した内容も含まれている。ヨーロッパの安全保障の問題や中・短距離ミサイルなど特定の兵器に関する問題だ。この共同作業を継続する用意がある」

「ウクライナは、いまはNATOに加盟する準備ができていないと言われているが準備ができたら、加盟が受け入れられるということなのか。だからこそ、この問題をいま解決しなければならない」

2月18日 ベラルーシのルカシェンコ大統領との会談

軍事演習は第三国に脅威を与えるものではないとしたうえで「NATO=北大西洋条約機構の軍事活動が国境の外で活発になっていることから両国の安全を確保するために必要な措置をともに講じることで合意した」

2月19日 記者会見

「情勢は緊迫している」としてウクライナ政府に停戦合意の履行を迫った。
また「ウクライナでは、人権が大規模かつ組織的に侵害され、ロシア語を話す人々への差別が 法制化されている」と述べ、ウクライナ政府を批判。

2月20日 フランス マクロン大統領との会談内容

プーチン大統領はウクライナ東部での戦闘はウクライナ政府側の挑発によるものでアメリカなどNATOの加盟国が武器や弾薬を供与し、事態を悪化させていると批判。

2月21日 クレムリンの安全保障会議

プーチン大統領は、ウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州の親ロシア派が事実上、支配している地域について、ウクライナ政府側が停戦合意を守らずに攻撃を続け、治安情勢が悪化していると主張し、強く非難。
また「ウクライナが、NATO=北大西洋条約機構に加盟すれば、ロシアに対する脅威が何倍にもなるだろう」と強調。

2月21日 クレムリンの安全保障会議後、国民向けに演説

ウクライナの東部2州のうち、親ロシア派が事実上、支配している地域をめぐり、ウクライナ政府側が停戦合意を守らずに攻撃を続けていると非難。
そして「独立と主権を速やかに承認することを決断する必要がある」と述べ、独立国家として一方的に承認する大統領令に署名。
この中でプーチン大統領は、国防省に対して、「平和維持」を名目にロシア軍を現地に派遣することを指示した。

【バイデン大統領の発言】

12月3日 記者団に対して

「プーチン氏が行動を起こしにくくするための包括的で有効な方策を練っている」と述べるとともに、プーチン大統領との会談は長時間に及ぶとの認識を示した。

12月7日 米ロ首脳会談についてホワイトハウスが声明を発表

バイデン大統領はウクライナの主権と領土の保全への支持を改めて表明し、緊張緩和と外交による問題解決に戻るよう求めた。

12月8日 記者団に対して

「ウクライナへのロシア軍の侵攻を阻止するため、アメリカ軍を現地に派遣する考えはあるか」と記者から問われたのに対し「その選択肢はない。ロシアと対じするために一方的に軍事力を行使する考えは今のところない」と述べた。
そのうえでプーチン大統領との首脳会談で、事態打開に向けた協議の継続で一致したことに触れ「NATOの少なくとも4つの主要な同盟国にロシアも交えた高官レベルの会合の開催を10日までには発表できるだろう」と述べ、緊張緩和に向けた糸口を探っていく考えを強調。

12月9日 ウクライナ大統領との会談後 声明発表

ロシア側の行動に深い懸念を示し「ロシアがさらなる軍事的な攻勢に出れば強力な経済措置やほかの手段で応じると明確に伝えた」

「両首脳はロシアに緊張緩和を求め、事態の打開に向けて外交こそが最善の方法だということで一致した」

12月30日 米ロ電話会談後、サキ報道官の発表

「バイデン大統領は緊張緩和を重ねて呼びかけたうえで、ロシアがウクライナに侵攻すれば同盟国と連携して断固とした対抗措置をとると明確に伝えた」と語った。

1月19日 就任1年に合わせてホワイトハウスで記者会見

「プーチン大統領が何をするのかは定かではないが、私の推測では、動く可能性がある」と述べ、警戒感を示した。
そのうえで「プーチン大統領はまだ決断を下していないと考えているが、仮にロシアがウクライナに侵攻すれば、ロシアの銀行はドルを利用できなくなり、ロシアは壊滅的な被害を受けることになる」と述べ、大規模な経済制裁を科すと警告。

1月19日 記者会見

「ロシアがウクライナに侵攻すれば責任を取らせる。それが小規模な攻撃なら、何を実行し、何を実行しないのか、対応について争うことになる」と述べ、小規模の侵攻の場合は強い制裁は科さないとも受け止められる発言。

1月20日 記者団に説明

「ロシアのいかなる勢力であってもウクライナの国境を越えればそれは侵攻だ。厳しい経済的措置で応じることになる」と述べて、みずからの発言の火消しに追われる。

1月25日 記者団からの質問に対して

ロシア軍がウクライナに侵攻した場合、ロシアのプーチン大統領個人への制裁も検討する考えがあるか記者団から問われ「そうなるだろう」と述べた。

そのうえでバイデン大統領は「ウクライナに侵攻すれば第2次世界大戦以来最大の侵攻となり、世界を変えてしまうことになる」と述べ、ウクライナの国境周辺でおよそ10万人とされる軍の部隊を展開しているロシアを改めてけん制した。

1月27日 ウクライナ大統領との電話会談後 声明

「バイデン大統領は、ロシアがウクライナに侵攻した場合、アメリカが同盟国などとともに断固とした対応をとることを改めて確認した」。

2月10日 米NBCテレビとのインタビューに対して

ロシアが侵攻した場合、アメリカ人を救出するためにウクライナに軍を派遣する考えがあるか問われ「その計画はない。アメリカがロシアと戦火を交えれば世界大戦になってしまう」と述べ、改めて部隊の派遣を否定。

そのうえで「アメリカ人はすぐにウクライナから退避すべきだ。われわれは世界最大規模の軍隊と向き合っている。これまでとは全く異なる状況で、事態は一気に悪化しかねない」と述べ、改めて退避を呼びかけた。

2月12日 米ロ会談後にホワイトハウスが声明

会談でバイデン大統領はプーチン大統領に対し、ロシアがウクライナに侵攻すればアメリカは同盟国などとともに断固とした対応をとり、ロシアに厳しい代償をもたらすとしたうえで「侵攻は広範囲におよぶ人的被害をもたらし、ロシアの立場を傷つけることになる」と強調。

そのうえで、アメリカは引き続き同盟国などと連携して外交による解決を目指す用意があると同時に、そのほかのシナリオについても準備ができていると伝えた。

2月16日 ウクライナ情勢について演説

「外交と緊張緩和の余地は十分残されている」と述べたうえで「アメリカやNATOはロシアの脅威ではない。ロシアを攻撃する意図もない」と強調し、改めて外交を通じた解決を目指す考えを強調した。

その一方でロシア国防省が、展開していた軍の一部が演習を終えて撤収を始めると発表したことについて、「まだ確認できていない。今この時もロシアはウクライナを取り囲むように15万人を超える兵力をおいている。侵攻はまだ十分にあり得る」と述べ事態を慎重に見極める考えを示した。

そして仮にロシアがウクライナに侵攻した場合には「世界中の責任ある国々は対抗措置を取ることをためらいはしないだろう」と述べ、欧米が結束して厳しい措置で応じるとして、外交的な解決を含めてあらゆる事態に対応できるよう備えていくと強調した。

2月17日 ホワイトハウスで記者団に対して

軍事侵攻の可能性について記者に問われ「とても高い。ロシアは部隊を撤収していないし、部隊を送り込んでいる。侵攻の口実にするための作戦を実行しているようにも見え、われわれが把握するあらゆる兆候は、ロシアが侵攻の準備が出来ているというものだ」と述べた。

そのうえで、侵攻がいつ起きると考えているのか聞かれると、「私の感覚では今後数日中に起こると思う」と述べ、改めて強い警戒感を示した。

その一方で「外交の道筋は明確にある。ブリンケン国務長官を国連の安全保障理事会に派遣したのはそのためだ。この問題を解決する方法はある」と述べ、引き続き緊張緩和に向けた外交努力を続ける考えを示した。

2月18日 ホワイトハウスでウクライナ情勢について演説

「ロシアが1週間か数日のうちにウクライナを攻撃をしようとしていると信じる理由がある。標的は首都キエフだと思う」と述べたうえで記者からの質問に対し「現時点で、プーチン大統領は決断したと確信している」と述べ、軍事侵攻はいつあってもおかしくないと強い危機感を示した。

その一方で「ロシアはまだ外交の道を選ぶことができる」と述べ、外交を通じた問題解決の余地は残されているとしてロシア側に外交的解決を強く呼びかけるとともに、仮にロシアが侵攻に踏み切れば、欧米などが連携して厳しい制裁で応じると改めて警告した。