新型コロナ病床使用率 全国22都府県で50%超に(21日時点)

新型コロナウイルスの患者の病床が各地でひっ迫し、使用率は全国22の都府県で政府の分科会が示す「対策を強化すべきレベル」の目安となる50%を上回っています。
背景には高齢の入院患者の増加や入院の長期化があると見られ、症状が改善したあとの転院先をどう確保するかが課題です。

政府の分科会は、新型コロナウイルスの感染状況を5段階のレベルに分類し、求められる対策を示しています。

内閣官房のまとめによりますと、新型コロナの患者のための病床の使用率は今月21日の時点で全国22の都府県で50%を超え、2番目に深刻な「対策を強化すべきレベル」の目安の50%を上回っています。

使用率が最も高かったのが
▽福岡県の84%、
次いで
▽大阪府が81%、
▽兵庫県が76%、
▽京都府が72%、
▽神奈川県と滋賀県、奈良県が71%などとなっています。

厚生労働省によりますと、全国的に高齢の入院患者が増加していて、入院患者の年代を公表している東京都では、今月16日時点で入院患者の70%を60代以上が占めています。

厚生労働省は病床のひっ迫を防ぐため、症状が改善した患者の転院先となる「後方支援病院」の確保を進めてきました。

しかし、後方支援病院などでは、高齢者の介護や持病の治療に対応できなかったり、すでに一般の患者で病床が埋まってしまっていたりして思うように転院が進まず、入院が長期化しているケースが相次いでいるということです。

こうした事態を受け、厚生労働省は先週、症状が落ち着いた患者のために新たに病床を確保した医療機関に対して、1床当たり450万円を支給することを決めています。

要介護の高齢者 コロナ治療後も入院が長期化

新型コロナウイルスの救急患者などを受け入れている神奈川県の病院では、入院患者のほとんどが介護が必要な高齢者で、転院や退院が難しく、入院が長期化する傾向にあります。

神奈川県では23日時点で、新型コロナの患者の病床の使用率はおよそ70%で、県によりますと、患者の多くは60代以上だということです。

このうち、救急搬送されてきた中等症や軽症の患者を中心に受け入れている川崎市の新百合ヶ丘総合病院では、1月中旬以降、確保しているコロナ病床34床のうち32床が常に埋まっています。

現在は32人の入院患者全員が70代以上の高齢者で、このうち29人が食事やトイレなど、日常生活で何らかの介助が必要な状態だということです。

こうした患者は、症状が落ち着いて新型コロナの治療が必要なくなっても、転院先や退院先が簡単に見つからず、入院が長期化する傾向があるということで、多くの患者が退院までに15日ほどかかっているということです。

24日も、防護服にマスク姿の看護師たちが2人がかりで、患者のおむつを取り替えたり、食事の介助、それに体を拭いたりする介護に追われていました。

国は、入院から4日目以降の時点で酸素投与が必要ない患者は、症状の経過を見ながら自宅などでの療養に切り替えるよう促していますが、病院では、こうした運用は簡単ではないとしています。

新百合ヶ丘総合病院の笹沼仁一院長は「コロナの治療よりも、それ以外の身体の介護の負担が大きくなっているうえ、もともと衰弱している方が多く、なかなか退院が進まない。救急外来で入院待ちをしている感染者もいて、新たな患者が受け入れにくい状態が続いている。治療が済んだら、入院待ちの患者ができるだけ早く入院できるよう、各方面に協力していただけるとありがたい」と話していました。