ウクライナ情勢 岸田首相 “事態悪化なら追加の制裁措置検討”

国会では、24日から参議院予算委員会で新年度予算案の実質的な審議が始まりました。
岸田総理大臣は、ウクライナ情勢をめぐり、今後事態がさらに悪化する場合には、G7=主要7か国をはじめとする国際社会と連携しながら、国益を考えて、ロシアに対する追加の制裁措置を検討する考えを示しました。

立憲民主党の白眞勲氏は、ウクライナ情勢をめぐり「緊迫の度合いを深めているが、現状をどのように認識しているか。ロシア側も制裁をある程度織り込んで進めているような気がしてならない。こういう事態だからこそ、日本の平和外交の本領を発揮できるのではないか」などと政府の対応をただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「単に欧州の問題にとどまらず、アジアを含む国際社会の秩序に関わる問題だ。ロシアに対し、外交プロセスに立ち戻って事態の打開に向けた努力を行うことを強く求めている」と述べました。

そのうえで、ロシアへの制裁措置について「わが国として資産凍結、査証発給停止、輸出入の禁止措置、金融分野への措置を取ることとしている。今後事態がさらに悪化する場合にはさらなる措置も速やかに考えていかなければならない。G7=主要7か国をはじめとする国際社会との連携を大事にしながら、わが国の国益を考え、対応をしっかり打ち出していきたい」と述べました。

そして「日本がアメリカやEUをはじめとする欧州諸国と連携することは、国際社会が一致してロシアに対し強い意思を示すという意味で、大変重要な姿勢だ。こうした強い姿勢を示すことにより、ロシアに対して外交手段を通じて事態の緩和に向けた努力を促すことにつながるよう期待したい」と述べました。

また岸田総理大臣は、ロシアが独立を一方的に承認した、ウクライナ東部の親ロシア派が事実上支配する地域について「自称共和国を認めるということは国際法違反だ。わが国として承認することは考えてない」と述べました。

さらに、ロシアのプーチン大統領と親交が深い森 元総理大臣を特使として派遣する考えがあるかを問われたの対し、岸田総理大臣は、現時点で具体的な対応の予定はないとしました。

一方、林外務大臣は、現地に滞在する日本人の退避について「退避の呼びかけを継続するとともに、政府としてあらゆる事態に適切に対応できるよう、近隣国にチャーター機の手配をすでに済ませるなど、さまざまな準備を行っている」と述べました。

また、岸田総理大臣は、北朝鮮が発射した弾道ミサイルの回収の必要性を問われたのに対し「回収できれば技術的な情報を得られるほか、抑止力にもつながる可能性がある。落下地点の海域の状況など、技術的な問題も含めて総合的に判断し、回収の可能性について考えていくべきだ」と述べました。

これに関連し、岸防衛大臣は「これまでもミサイルの引き上げを視野に、海洋観測艦によって周辺海域の調査を行っている。深海に沈んでいる可能性があることや、着水時に高速で激突した衝撃によってミサイルが分解した可能性もあり、回収にはいたっていない」と述べました。

松野官房長官「サイバー攻撃の対策強化を産業界に注意」

松野官房長官は午前の記者会見で「事態は緊迫度を増している。政府としては事態の改善に向けて、G7=主要7か国をはじめとした国際社会と連携して取り組んでいく」と述べました。

そのうえで、23日発表したロシアへの制裁措置をめぐり「岸田総理大臣から今後、措置の詳細を決定し、閣議了解などの必要な手続きなどを速やかに進めるよう指示があった。引き続きG7をはじめとする国際社会と連携し、適切に対応していく」と説明しました。

そして、24日夜にオンライン形式で開かれる予定のG7の緊急首脳会議について「最新の現地の状況や、おとといのG7外相会合も踏まえ、さまざまな側面から議論されることになる」と述べました。

さらに、松野官房長官は「昨今の情勢を踏まえ、サイバー攻撃の脅威に対する認識を改めて深める必要があることから、経済産業省が、サイバー攻撃の脅威に対する対策強化に努めるよう、産業界に向けた注意喚起を行った」と明らかにしました。