頭がかゆい…まさかのシラミ!昔の話じゃないんです

頭がかゆい…まさかのシラミ!昔の話じゃないんです
「ママー、頭がかゆいー」

おかしいなあ、ちゃんとシャンプーしてるのに。
そう思って子どもの髪をかき分けて、見てみると…

あったのです。
無数の小さな白い粒が。

いたのです。
モゾモゾとうごめく虫が…

「いやあああああ!!!!」

初めて見たらびっくりするかもしれません。
でも小さな子どもがいる家庭ではそんなに珍しいことではないんです。

体験談相次ぐ“最初はパニックに”

SNSでも最近「子どもが保育園でシラミをもらった」というツイートが話題になりました。
「うちもやられた」
「はじめはフケかと思った」
などなど、体験談で盛り上がっていたのです。

被害に遭ったという人に話を聞くことができました。
ことし1月、保育園に通う娘の頭からシラミが見つかったというブログネーム「まつぼっくり」さん。
シラミとの闘いをマンガにして、ブログで発信しています。
実は娘さんたちがシラミの被害に遭うのはこれが3回目。見つけては駆除するの繰り返しなのだそうです。

初めて見つけたときの衝撃を語ってくれました。
まつぼっくりさん
「最初は長女(11歳)がまだ保育園に通っていた8年前でした。朝、身支度をしていると、髪の毛に小さな米粒のようなものを見つけました。よく見ると、なんと虫。動いていました。パニックになり、その場ではどうすることもできませんでした」
そのときの経験から今回、三女(6歳)の髪に小さな粒を見つけたときは、すぐにシラミの卵だと気付いたそうです。

髪の毛をかき分けると成虫も発見。
思わず素手でつまんで潰してしまったそうです。
まつぼっくりさん
「もう気が狂いそうでした。三女にいるなら長女にも次女にも、私にもいるに違いありません。そう考えるだけで頭がむずむずしました」
その後、次女からも成虫を発見。
駆除するため殺虫成分の入った専用のシャンプーを買いに走ったまつぼっくりさん。
10日間ほど使えば駆除できる…はずでした。

(まつぼっくりさんの体験談は記事後半に続きます)

昔と今では違う“シラミ” 清潔でも広がる

「シラミ」と聞いて、こんな映像を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
終戦直後、子どもたちにかけられている白い粉のようなものは殺虫剤です。

当時問題となっていたのは主に「コロモジラミ」と呼ばれるシラミ。
名前のとおり服などに付着して血を吸うだけでなく「発しんチフス」という病気を媒介するやっかいな存在でした。

しかし戦後の復興によって衛生環境が改善すると「コロモジラミ」は急速に姿を消し、今は別の種類で頭に寄生する「アタマジラミ」が広がっているのです。
病気を媒介することはありません。また清潔にしているかどうかとは関係なく寄生するそうです。
虫による皮膚病に詳しい
兵庫医科大学 夏秋優教授
「アタマジラミは昔からいるポピュラーな虫で、頭と頭がくっつくような状況で広がります。子どもにシラミがいると、ちゃんと洗髪してあげなかったからだと自分を責める親御さんもいらっしゃいますが、そうではありません。どんなに清潔にしていても寄生します。
この2年ほどはコロナ禍で多くの保育園や学校が休みになったこともあって相談に来るケースは減っていましたが、ことしに入って再び増えている印象です。医師仲間からも、最近受診する人が出始めたと聞くようになりました」
寄生して頭皮から血を吸うようになっても、かゆみを感じるようになるまで1か月くらいかかるため、気付いたときにはかなり広がっていることが多いそうです。

どのくらいの被害があるのか統計的なデータはないそうですが、気になることを教えてくれました。
兵庫医科大学 夏秋優教授
「およそ10年前に国立感染症研究所と行った共同研究では、従来の殺虫成分に抵抗性をもったアタマジラミがいることがわかっています。沖縄では当時すでに9割以上、全国平均では1割弱が抵抗性シラミでした。全国に広がっていく可能性が高いと予想しています」

これまでの薬剤が効かない?!抵抗性シラミに苦戦

ことし娘さんたちがアタマジラミの被害に遭ったまつぼっくりさん。

殺虫成分の入った専用のシャンプーは、十分に効かなかったそうです。
このシャンプーは3日に1度、髪を洗うというサイクルを4回、繰り返せばシラミが駆除できるというもの。
過去にシラミが見つかったときにはこれで駆除できていました。

しかし3回目が終わったところでまた成虫が見つかったのです。
卵から幼虫がふ化して成長している証拠でした。
物理的に取り除くしかないと、目の細かいシラミ駆除専用のくしを購入。
毎朝、子どもたちの髪をといて卵を取り続けました。

駆除を始めて16日目、ようやく卵も見つからなくなり、終わりを迎えたそうです。
まつぼっくりさん
「もっと定期的に子どもの頭をチェックしていればよかったと思います。あとで調べてみたら、抵抗性シラミに効くシャンプーも開発されているようなので、それを使えばよかったかもしれません」

実践編 どこから?どうやって駆除する?

シラミはいったいどこからやってくるのでしょうか。

東京都でも毎年1000件程度、アタマジラミに関する相談が寄せられています。
その担当者によると主な経路は2つだそうです。
▽頭から頭へ
▽身の回りの物(寝具・帽子・タオル・ブラシなど)から頭へ
子どもは大人と比べて人との距離が近く、頭がくっついていることがよくあります。
子どもの頭にシラミを見つけたら、一緒に遊んでいる友達や家族にもいるかもしれないと考えたほうがよさそうです。

次に、見つけ方です。
成虫や幼虫は頭を動き回って隠れてしまうので「卵」を探すことがポイントです。

卵は耳の周囲からえりあしにかけて多くつきやすいので、このあたりの髪をかきわけて注意深く見るようにしましょう。
駆除の方法です。
やること
1.毎日の洗髪
2.髪をクシでとかす
3.身の回りの物の共用をしない
シャンプーは普通のものより専用の殺虫成分の入ったものを使ったほうが効果があります。ただし、卵は取り除くことができません。

スキグシなどの目の細かいクシで10日間は髪をとかし、卵や幼虫・成虫を取り除きます。

クシ・タオル・帽子・マフラー・衣類・寝具など、身の回りのものをほかの人と共用しないようにし、できるだけ毎日洗って使います。
東京都 環境保健衛生課 木村秀嘉課長
「1から3までのすべての対策をすることでアタマジラミは駆除することができます。子どもの場合、自分では頭の隅々まで洗いきれないこともあるので低学年のうちは親がしっかり洗ってあげたり、こまめに頭の様子を観察しましょう」

アタマジラミに関する疑問を聞いてみました

最後に、ネットでよく検索されているアタマジラミに関する疑問に夏秋教授に答えてもらいました。
Qフケとの見分け方は?
シラミの卵とそっくりなフケもあります。フケは比較的簡単に取れますが、卵は髪の毛に固着しているので簡単に取れません。

Qペットからもうつる?
ヒト固有のシラミのため、ペットからうつることはありません。

Qプールではうつる?
水を介してうつることはありません。ただし体を拭いたタオルを共有したり頭どうしが接したりしてうつることがあります。

Q保育園・学校行かせていい?
駆除を始めていれば、問題ありません。

Qお酢が効くって本当?
効果があるというデータはありません。おすすめしません。

(おはよう日本 ディレクター 岩永奈々恵 ネットワーク報道部 記者 大窪奈緒子 國仲真一郎)