「BA.2」国内で94件報告 オミクロン株全体の約0.6%に 感染研

新型コロナウイルスのオミクロン株の一種「BA.2」について、国立感染症研究所などの調査で、国内ではこれまでに少なくとも94件報告されていて、オミクロン株全体のおよそ0.6%となっています。

国立感染症研究所などが行っている新型コロナウイルスの遺伝子解析による調査によりますと、今月16日時点の発表で、オミクロン株の「BA.2」のウイルスは、去年の年末から先月30日までに、全国で合わせて94件報告されているということです。

一方、現在、流行の主流になっている「BA.1」のウイルスは、同じ期間に1万6000件余りが検出されていて、オミクロン株全体に占める「BA.2」の割合はおよそ0.6%だということです。

ただ、遺伝子解析の報告に時間がかかることがあるため暫定的な結果だとしていて、割合についても地域ごとに異なる可能性があるとしています。

国立感染症研究所では、引き続き遺伝子の調査を通じて「BA.2」の動向を監視していくということです。

専門家「今後、十分に監視強めていく必要」

オミクロン株の一種「BA.2」の国内の状況について、海外の感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「調査結果を見るかぎりは、今の時点では国内で『BA.2』が広がっている状況では無いと考えられる。海外からは『BA.2』によって、重症者が増えたり、ワクチンが『BA.1』よりも効かなくなったりしたという報告はなく、対策としては変わらないと考えられる。ただ、『BA.2』が広がる国とそうなっていない国があり、どうして違うのか詳しい理由はまだ分かっておらず、国内でも広がると流行が長引くなどの可能性は否定できないため、今後、十分に監視を強めていく必要がある」と話しています。

さらに研究必要も「BA.2」は「BA.1」より強い症状の可能性

新型コロナウイルスのオミクロン株の一種「BA.2」と呼ばれるウイルスについて、東京大学などのグループが培養細胞などを使って実験したところ、現在主流となっている「BA.1」に比べて症状を引き起こす力が強くなっている可能性があることが分かりました。

これは東京大学医科学研究所の佐藤佳准教授らのグループが、第三者のチェックを受ける前の「査読前論文」としてインターネット上で公表しました。

グループでは「BA.2」のスパイクたんぱく質の特徴を再現したウイルスを人工的に作製し、培養細胞に感染させて反応を調べました。

その結果「BA.2」を再現したウイルスでは、感染した際に周辺にある細胞を壊す力が、デルタ株よりは弱いものの、「BA.1」と比べて1.5倍に高まっていたということです。

さらにハムスターに感染させる実験では「BA.1」では肺からはウイルスが検出されず体重は減りませんでしたが、「BA.2」を再現したウイルスでは肺からもウイルスが確認され、体重が減少する傾向がみられました。

グループでは、人工的に作製したウイルスでの実験のため、実際の症状がどうなるかについてはさらに研究が必要だとしたうえで、「BA.2」は「BA.1」よりも強い症状を引き起こす可能性があるとしています。
佐藤准教授は「実験からは『BA.2』は特性が違うことが示唆される。この2つのウイルスは別のウイルスとして、それぞれ対処する必要があるのではないか」と話しています。

海外の研究では入院リスクなどに差がないと報告

デンマークなど海外の研究では、「BA.2」は「BA.1」と比べて入院のリスクなどに差が見られないことが報告されています。

佐藤佳准教授によりますと、海外からの入院のリスクなどについての報告はワクチンの3回目の接種が一定程度進んでいる中でのデータであり、ワクチンによって重症化を防ぐことができている可能性があるということです。

今回の研究結果は人工的に再現したウイルスを使った培養細胞や動物での実験のため、実際のヒトでどのような症状がでるかについては慎重に判断する必要があるものの、ウイルス自体の特性としては「BA.1」よりも「BA.2」の方が重症化につながる症状を引き起こしやすいおそれがあり、注意が必要だということです。