蔡英文総統 台湾海峡周辺の軍事動向 監視と警戒強化など指示

ウクライナ情勢をめぐる緊張が高まっていることを受けて、台湾の蔡英文総統は23日、中国の脅威を念頭に、軍などに台湾海峡周辺の軍事動向の監視と警戒を強化することなどを指示しました。

台湾総統府によりますと、蔡総統は23日、ウクライナ情勢について、政権内に先月設置した特別チームから報告を受けました。

この中で蔡総統は「ロシアがウクライナの主権を侵害している」と非難するとともに「台湾は国際社会の一員として、争いの平和的な解決に向けて関与したい」と述べました。

そして、台湾海峡周辺の軍事動向について監視と警戒のレベルを上げ、あらゆる事態にすぐに対応できる備えを引き続き強化するよう、軍などに指示しました。

さらに「地理的にも、国際的なサプライチェーンの重要性においても、台湾とウクライナの情勢は全く違う」としながらも、海外の勢力と域内の協力者が台湾の民心に影響を与える目的で偽の情報を流すことなどへの備えを強化するよう各機関に求めました。

23日の発表では中国を名指ししていませんが、蔡総統は先月、「台湾は長く中国の軍事的な脅威に直面し、ウクライナが置かれた立場をわが事のように感じる」と述べていて、中国がウクライナ情勢に乗じて何らかの動きを起こすことに強い警戒感を示しています。

中国報道官「ウクライナ問題を利用」と批判

ウクライナ情勢を受けて台湾で中国への警戒感が強まっていることについて、中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の馬暁光 報道官は23日の記者会見で「台湾の民進党当局は、アメリカや西側の世論に歩調をあわせて、ウクライナ問題を利用していわゆる中国の軍事的脅威を悪意をもって騒ぎ立てている。現在の台湾海峡の緊迫した情勢の根本的な原因は民進党当局と台湾独立勢力が外国勢力と結託して独立をはかろうと挑発を繰り返していることにある」と述べ、蔡英文政権を批判しました。