岸田首相 G7議長国ドイツ首相と電話会談 ウクライナ連携を確認

ウクライナ情勢が緊迫化する中、岸田総理大臣は22日夜、G7=主要7か国の議長国、ドイツのショルツ首相と電話会談を行い、24日に予定されているG7の首脳会議を前に各国と連携していく方針を確認しました。

ウクライナ情勢をめぐって、ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の親ロシア派が事実上支配している地域の独立を一方的に承認し、ロシア軍の現地への派遣を指示するなど、情勢が緊迫化しています。

こうした事態を受けて岸田総理大臣は22日午後6時ごろからおよそ30分間、G7=主要7か国の議長国、ドイツのショルツ首相と電話会談を行いました。

会談で両首脳は、現地の最新の状況や関係各国の動向について意見を交わした上で、一連のロシアの行為はウクライナの主権と領土の一体性を侵害するもので、国際法に違反し容認できないという認識を共有し、強く非難する立場で一致しました。

その上で、事態の展開を深刻な懸念をもって注視するとともに、24日にオンライン形式で予定されているG7の首脳会議を前に、制裁を含む今後の対応についてもすりあわせを行い、各国と連携していく方針を確認しました。

また、ショルツ首相は、日本政府によるLNG=液化天然ガスのヨーロッパへの融通に対して謝意を示しました。

松野官房長官「国連安保理会合開催は外交努力の一環」

松野官房長官は、午後の記者会見で「極めて緊迫した情勢の中で、国連の安全保障理事会が会合を開催したことは関係国による外交努力の一環として受け止めている。今後、事態の展開を深刻な懸念をもって注視しつつ、G7=主要7か国をはじめとする国際社会と連携し制裁を含む厳しい対応について調整を行っていく」と述べました。

また、記者団が「ロシアがウクライナに軍を派遣する行為をもって侵攻とみなすのか」と質問したのに対し「予断を持って答えることは差し控えたいが、G7をはじめとする国際社会と連携し、事実関係を情報収集して今後の対応を検討したい」と述べました。

日本政府の認識と対応は

今回のロシアの行為について、日本政府は、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害し、国際法に違反するものだと強く非難しています。

背景には、ヨーロッパだけの問題ではないという危機感があります。

台湾海峡を含めた東シナ海などで海洋進出の動きを強める中国が念頭にあります。

日本は、力による一方的な現状変更の試みは容認できないとして、民主主義などの価値観を共有する国々と「自由で開かれたインド太平洋」の実現を掲げ、中国に自制を求めています。

こうした中で、ロシアによる力の行使を黙認すれば、中国の動きを助長しかねないと見ているわけです。

ある政府関係者は「ロシアの軍事侵攻を防げなければ、国際社会に大きな地殻変動が生じる。岸田総理大臣も、インド太平洋地域の秩序に影響しかねないという強い懸念を持っている」と話しています。

一方、日本政府は、ロシアが軍事侵攻した場合の制裁の内容や時期は明らかにしていません。

外務省幹部の一人は「何をもって軍事侵攻と見なすかという判断は難しく、各国と歩調を合わせる必要がある」と話しています。

実際、ロシアが「平和維持」を名目に、ウクライナ東部の親ロシア派が事実上支配する地域に軍を派遣した場合、軍事侵攻と受け止めるかどうか、バイデン政権の高官は明言を避けています。

日本政府としては、アメリカをはじめG7各国の動向を見極め、制裁の内容や時期を判断するものとみられます。