米大統領 独仏やウクライナ首脳と電話会談 ロシア側を強く非難

ロシアのプーチン大統領が、ウクライナの東部の親ロシア派が事実上支配している地域を一方的に国家承認したことを受けて、アメリカのバイデン大統領は、ドイツとフランス、それにウクライナの首脳と電話で会談し、ロシア側を強く非難しました。

ロシアのプーチン大統領が21日、ウクライナの東部の親ロシア派が事実上支配している地域を一方的に国家承認したことを受けて、アメリカのバイデン大統領はドイツのショルツ首相、フランスのマクロン大統領と電話会談を行いました。

ホワイトハウスは会談後、声明を発表し「首脳らはプーチン大統領の決定を強く非難した」としてロシア側の対応は受け入れられないとの立場を確認したとしています。

また、ドイツ政府の報道官の声明によりますと、首脳らは今回のロシアの一方的な行動について、ウクライナ東部の紛争を解決するために結ばれた停戦合意に明確に違反するものだという認識で一致したということです。

またバイデン大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領とも電話会談を行い、ホワイトハウスによりますと、バイデン大統領はロシア側を強く非難したうえで、アメリカ側の対抗措置の内容について伝え、ロシアが軍事侵攻した場合には迅速かつ断固とした措置を取ると述べたということです。

アメリカ 対象地域に関連する経済取引を原則禁止

バイデン大統領は21日、ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の親ロシア派が事実上支配している地域を一方的に国家承認したことに対抗するため、対象地域に関連する経済取引を原則禁じる大統領令に署名しました。

具体的には、対象のドネツク州とルガンスク州の一部において、アメリカ人などによる新たな投資や、物品・サービスの輸出入、それに融資や保証などの金融取引を禁止します。

また今後、対象地域で活動する会社や団体の人物に対しては、財産の差し押さえなどの制裁を科すとしています。

さらにバイデン政権は、ロシアの今回の行動は国際的な取り決めに違反しているとして、早ければ22日中に追加の対抗措置を発表することを明らかにしました。

ただ、この一連の対抗措置については、ロシアがウクライナに侵攻した場合に欧米が科すとしている厳しい制裁とは別のものだとしていて、ロシアに対し、緊張の緩和を強く促すとしています。

フランス「ロシアは明らかに国際公約違反」

フランス大統領府は21日、声明を発表し「ロシアは明らかに国際的な公約に違反し、ウクライナの主権を侵害している」と強く非難しました。

そのうえで、国連安全保障理事会の緊急会合の開催と合わせて、EU=ヨーロッパ連合の加盟国による一致した制裁を求める方針を示しました。

これに関して、大統領府の高官は報道各社への説明の中で「国際法や、ウクライナに関する国連安保理の決議などに反する措置であり、非常に明確な制裁が必要だ」と述べたうえで「今は最も危機的な状況にあるが、さらに深刻な事態が起きる可能性がある」として、ロシア側の出方を見ながらより効果的な制裁を科す必要があるという考えを示しました。

一方で、状況がさらに悪化するのを防ぐためにロシア側と交渉を続けることは必要だとして、25日にパリで予定されているルドリアン外相とロシアのラブロフ外相の会談については、現時点では中止しないとしています。

また、マクロン大統領は20日、プーチン大統領とアメリカのバイデン大統領、それぞれに米ロ首脳会談を提案し双方が原則として合意していましたが、この首脳会談について高官は「今となっては実現は難しい」という見方を示しました。

イギリス ジョンソン首相 ロシアを非難 制裁発動へ

イギリスのジョンソン首相は、21日の記者会見で「明らかに国際法違反だ。ウクライナの主権を甚だしく侵害するものだ」と厳しく非難しました。

首相官邸によりますと、ジョンソン首相はこのあと、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、ロシアによる侵攻は近く、現実に起こりうるという見方を伝えたということです。

ジョンソン首相は、ロシアに対する制裁を22日に発動する考えを示したほか、ウクライナに対する防衛面での支援をさらに強化することを伝えたとしています。