“なんで僕からはおっぱいが出ない” 育休中に考えたこと

“なんで僕からはおっぱいが出ない” 育休中に考えたこと
いささか目を引くこのタイトルは、青森放送局で勤務する私=記者の早瀬が約1か月間の育児休業中につけていた日記に記した言葉からつけています。

去年11月、次男が生まれ、2児の父親となった私は、“男性の育休”を取りました。
(青森放送局記者 早瀬翔)

“男性の育休元年”に先立って

この記事では、日記に沿って私が育休中に考えたことや経験したことをお伝えしていこうと思っているんですが、私がこう思ったのにはワケがあります。

ことし4月から「改正育児・介護休業法」が段階的に施行されます。

この法律は女性の負担が特に大きい出産直後に、男性が育休を柔軟に取得できる環境を整備することなどを目的としていることから、ことしは“男性の育休元年”になるとも言われています。

私の場合は去年11月下旬から12月下旬の育休でしたので、“元年”に先立って育休を取った格好になります。

今後は男性も育休を取る機会が増えると考えられ、これから育休を取る可能性のある皆さんに、私の経験を参考にしてもらえればと考えたのです。

“長男出産の際を反省”

そもそも、なんで育休を取ったのだろうかと聞きたくなる方もいらっしゃるかもしれません。

私は、おととしの夏に青森に転勤し、今は青森県政の取材などを担当しています。

青森の前の任地だった愛知県にいたときに長男が生まれたのですが、このときは育休を取りませんでした。

妻にとっても初めての子育てで、毎日奮闘する様子を見ていて“もっとサポートしてあげればよかった”と思うようになりました。
そして去年春ごろ、妻が妊娠したことが分かりました。

下の子どもの世話にかかりきりになって、2歳になる長男に寂しい思いをさせたくないとも考えて、2人目の子どもが生まれた後で育休を取ることを決めます。

出産予定日の半年ほど前には上司に「育休を取りたい」と申し出ました。

そして11月、次男が生まれました。

日記につづられた“絶望”

育休は次男が生まれてから1週間ほど後の11月下旬から12月下旬の約1か月間でした。

私はこの間にあった出来事や考えたことなどを、取材の際に使うノートに日記として書き残していきました。
妻と話し合って育休中の分担を決め、私の担当は夜遅い時間の授乳や子どもの寝かしつけになりました。

育休初日は事前に用意した母乳を次男にあげて、夜は寝かしつけをしました。

次男に母乳をあげるのはこれが初めてだったんですが、日記には…。
「おっぱい、俺があげても全然寝ない… ちょっと絶望」

「産後うつになる気持ちがわかった」
母乳をあげても泣きやまず、一生懸命あやしても落ち着かず、寝かしつけもできない。

次男や妻のためになることが何もできないという無力感や、襲い来る眠気との格闘。

このとき味わった絶望感からか、字も殴り書きしたかのようです。

初日でこれでは情けないなと思いましたが、こうした経験で「産後うつ」になる人の気持ちがわかった気がしました。

子育ての難しさに直面する中で、少しでも妻の負担を軽くしたいという思いが募り、この時は“僕からも母乳が出ればもっとサポートできるのに”と感じていました。

子ども連れのパパに立ちはだかる“壁”

試行錯誤を繰り返すこと数日。

次男がどうやったら母乳を飲んでくれるかや、寝かしつけのコツが分かるようになってきました。

すると、心にも体力にも余裕ができ、日中は長男を公園などに連れて行くようになりました。
子どもと一緒に公園でボールを蹴ったり、遊具で遊んだりしてかけがえのない時間を過ごすことができたと感じています。

外に出るようになって気分転換もできるようになってきたんですが、外出した際にたびたび悩まされたのが、おむつを替える場所が見つからないことでした。
日記には「女性用トイレにはベビーベッドがあるけど男性用トイレにはないんだよね」と書いています。

公園や施設などの男性用トイレにはおむつを替えるためのベビーベッドなどがないことがほとんどでした。

しかたなく、子どもをトイレに立たせたり、急いで家に帰ったりしておむつを替えていました。

同じように小さな子どもを連れた男性から「お互い大変ですよね」と声をかけられたこともありました。

“男性の育休元年”になるとも言われていることし。

法整備は進む一方で、こうした状況を目の当たりにすると、まだまだ子育ては女性任せにするという雰囲気が残っているような気がしました。

設備面の整備も進んでいってほしいと感じました。

育休を取ってみて

私の経験や思ったことをお伝えするのはこれくらいにしようと思いますが、この記事を読んでいただいている方の中には“結局、育休を取ったことはよかったの?”と思われている方もいらっしゃるかもしれません。

私が育休で家にいる間、ふれあう機会が増えたためか、長男が「パパ」と呼んでくれる回数がぐっと増えました。

これは本当に嬉しかったです。
そして何より、出産を経た上でいつも育児に真正面から向き合っている妻への感謝の気持ちを新たにしました。

育休でしばらく職場を離れることについての不安はありましたが、それでも約1か月間、家族とかけがえのない時間を過ごしたことは大きな財産になったと思っています。

職場で後輩から育休の相談を受けたり、育休について聞かれるようになったこともうれしく思っています。

育休を取って本当によかったと思います。

果たして 妻からの評価は…?

さて、私の育休について妻はどう思っていたのでしょうか。

この機会に思い切って聞いてみました。

すると…。

「精神的にも体力的にも私の回復が早かったのは、育休を取って子育てを手伝ってくれたおかげだと思う。上の子は、お兄ちゃんになるということで複雑な心境だったに違いないけど“赤ちゃん返り”が少なかったのは、パパの育休によるところが大きかったと思う。育休は長い子育てのスタートを家族みんなで迎えられる、とてもありがたい制度だね」と評価してくれました。

一方で「男性の育休については女性側から取ってくれとは言いにくい。やはり職場で取りやすい環境を作ってもらい、男性側が進んで取ってもらえるようになってほしい」としていて、育休で職場を離れることは“迷惑”ではなく、“当たり前”になることを願っていました。
これから育休を取ろうと考えている人にアドバイス出来ることがあるとすれば、“育休を取りたい”という意思表示はできるだけ早いほうがいいということです。

早めに伝えておけば仕事の引き継ぎなども余裕を持ってでき、上司も育休取得にむけた対応をしやすいのではないかと思います。

ママの負担にならないように

育休を取得しても、ただ家にいるだけでは逆にママの負担も増えてしまうと思うので、家族でよく相談して分担などを決めるといいと思います。

ただゴロゴロしていたり、スマホのゲームに熱中していると、せっかくの育休が、逆に家庭のストレスになってしまうかもしれません。

改正法の施行にあわせて、企業などでも育休を取りやすい環境の整備が進み、多くの人のためになる“男性の育休”が広がることを願っています。
青森放送局記者
早瀬翔
平成28年入局
名古屋放送局を経て、青森放送局で県政などを担当
最近、下の子が寝返りをうちました