ロシアとベラルーシの合同軍事演習 撤収するか警戒強まる

ウクライナ北部と国境を接するベラルーシで行われているロシア軍とベラルーシ軍の合同軍事演習が19日、NHKなど海外メディアに公開されました。

演習は20日で最終日となりますが、終了後ロシアがベラルーシに集結させた部隊を撤収させるのか、アメリカなどは警戒を強めています。

ウクライナ北部と国境を接するベラルーシでは、今月10日から20日まで、ロシア軍とベラルーシ軍の合同軍事演習が続けられ、19日、ベラルーシ南西部のオブズ・レスノフスキー演習場で行われた演習の様子がNHKなど海外メディアに公開されました。

演習は防衛目的だと強調されたうえで、攻撃を仕掛けてきた敵に対して反撃するという想定で、爆撃機による空爆や戦車部隊による砲撃が行われ、砲弾が着弾するたびにごう音が響いていました。

現地に視察に訪れたベラルーシのルカシェンコ大統領の側近で、国家安全保障会議のウォルフォビッチ書記は「同盟国の安全保障を確保する決意と能力を示す目的は達成された」と評価しました。

また「われわれは、ロシアのウクライナの占領に協力などしていない。ロシアはウクライナを侵攻する必要はない」と述べ、演習だと強調した一方で、今後のロシア軍の動向については即座に撤収するかどうかは「大統領が決断することだ」として明言しませんでした。

ベラルーシ南部の国境からウクライナの首都キエフまでは90キロほどの近さで、アメリカなどはロシアが演習を名目にベラルーシに軍の部隊を集結させ、ウクライナに侵攻するのではないかと警戒を強めています。

このため、20日の演習終了後、ロシア軍が撤収するかどうかが大きな焦点となっています。

演習視察のドイツ武官「対話する用意ある」

19日に行われたロシア軍とベラルーシ軍の合同軍事演習には、およそ120人の報道陣のほか、16か国の大使館の駐在武官も招待されました。

ロシアとベラルーシは演習の様子を公開し軍事力を誇示することで、NATO=北大西洋条約機構などをけん制する一方、あくまで軍事演習だとして透明性をアピールするねらいもあるとみられます。

演習を視察したドイツの駐在武官はNHKの取材に対し、緊張が高まるウクライナ情勢について「世界、そしてヨーロッパの情勢が非常に複雑になっている。ウクライナ東部は困難な状況だ」と懸念を示しました。

そのうえで、「ロシアなどが軍事演習にわれわれを招待することは、対話への一歩であり重要だ。ドイツやNATOは対話をする用意がある」と述べ、外交を通じて事態の打開を目指すことが重要だと指摘していました。