ロシア 米バイデン大統領発言を非難 「見え透いたうそ」

緊張が高まるウクライナ情勢をめぐり、アメリカのバイデン大統領が、ロシアによる軍事侵攻の可能性について「プーチン大統領は決断したと確信している」と述べたことに対して、ロシア側は、軍事侵攻を重ねて否定するとともに「アメリカは見え透いたうそを世間に印象づけようとしている」と非難しました。

緊張が高まるウクライナ情勢をめぐってアメリカのバイデン大統領は18日、ホワイトハウスで「現時点で、プーチン大統領は決断したと確信している」と述べて、軍事侵攻はいつあってもおかしくないと強い危機感を示しました。

ロシアのアントノフ大使は重ねて否定

この発言を受けて、アメリカに駐在するロシアのアントノフ大使は18日、フェイスブックでコメントを発表し「ロシアからアメリカに送った書面の回答で明確にしているとおり、『ロシアによる軍事侵攻』は存在せず、その計画もない」と重ねて否定しました。

そして、ロシアからの安全保障に関する提案の価値を下げる試みだとしたうえで「アメリカは見え透いたうそを世間に印象づけようとしている」と非難しました。

さらに、ウクライナ東部の一部を事実上支配している親ロシア派の武装勢力が、住民をロシアへ避難させている状況について「アメリカでは、差し迫った軍事侵攻を正当化するプロパガンダの一つとして認識されている」としたうえで「アメリカによるロシアに対する偽情報の新たなキャンペーンの始まりだ」と批判しました。

ウクライナ東部をめぐっては、19日も複数の爆発が起きたという情報が伝えられていて、親ロシア派の武装勢力はウクライナ軍からの攻撃の危険性が高まっていると主張し、18歳から55歳までの男性を対象にした総動員令を出すなど緊張が高まっています。

仏大統領 ロシア ウクライナ両国大統領と電話会談へ

ロシア大統領府のペスコフ報道官は19日、プーチン大統領とフランスのマクロン大統領との電話会談が20日に行われるとロシアメディアに対して明らかにしました。

ロシアとフランスの首脳会談は今月7日、モスクワで5時間以上にわたって行われたあと、12日にも電話会談が行われ、今月に入ってこれで3回目となります。

一方、フランス大統領府の高官は、マクロン大統領がプーチン大統領との電話会談を前に、19日にはウクライナのゼレンスキー大統領とも電話会談を行うと明らかにしました。

高官は「ロシアに軍事侵攻を踏みとどまらせる可能性は残されていると信じている」と述べ、外交を通じた事態の打開を図る考えを強調しました。

NATO「紛争のリスクは真にある」

ドイツで開かれているミュンヘン安全保障会議で19日、NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は「紛争のリスクは真にある。ロシアはウクライナとの国境近くでの部隊増強を続けている。NATOは状況を注視している」と述べ、強い危機感を示しました。