カーリング【詳細】日本 スイスを破り初の決勝進出 銀以上確定

北京オリンピック、カーリング女子の準決勝、日本は予選リーグをトップで通過したスイスに8対6で勝ち、決勝に進出しました。これで、男女を通じて日本のカーリングでは初めてとなる銀メダル以上が確定しました。

スイスには17日の予選リーグ最終戦で敗れていて、2日連続の対戦です。

序盤は互いに後攻で1点を取り合う緊迫した展開でしたが、1点を追う第5エンド、日本のスキップ藤澤五月選手が相手のストーン2つを一気にはじき出すダブルテイクアウトを決めて流れを引き寄せました。
これが4点を奪うビッグエンドとなり、5対2と3点をリードして試合を折り返しました。
第7エンドで3点を取られて1点差に詰め寄られましたが、第9エンドに藤澤選手が相手の複数得点のチャンスを消すすばらしいショットを見せて相手の得点を1点に抑えるなど主導権を渡しませんでした。
日本は最終第10エンドにも1点を加えて8対6で勝ち、決勝に進出しました。

これで日本は男女を通じて初めてとなる銀メダル以上が確定しました。

一方、もうひとつの準決勝の試合は、イギリスが延長の末にスウェーデンを破りました。この結果、金メダルをかけた20日の決勝はイギリスとの対戦になりました。

※準決勝2試合の結果※
             計
○日本 |00104|10101|8
●スイス|01010|03010|6
                  計
●スウェーデン|40100|20103|0|11
○イギリス  |03011|02040|1|12
※延長=エキストラエンド

“たくさんのミス 劣勢を経験 私たちの最大のアドバンテージ”

日本の各選手の談話です。
スキップの藤澤五月選手は「きのうのスイスとの試合では私の中で迷いがあり、それが作戦やショットにも影響した部分があった。きょうはチームみんなでどういう試合にしたいかしっかりと話し合って試合に入れたことがすごくよかった」と振り返りました。
そのうえで決勝に向けて「まだ信じられない部分がある。決勝という今まで経験したことのない試合に出られるが、やることは変わらず、チーム全員で自分たちの試合を戦いきるだけかなと思う。作戦会議をしたい」と笑顔で意気込みを話していました。

リードの吉田夕梨花選手は「準決勝の舞台に立てている時点でご褒美だった。琴美ちゃんやコーチ、トレーナーさん、全員の気持ちを背負って、みんなが一緒に氷の上に立ってくれていると思った。きょうは本当に自分たちらしい試合ができたのかなと思う」と満足そうに試合を振り返っていました。

セカンドの鈴木夕湖選手は「相手のチームがとても上手でここぞという時にしっかり決めてきて、ずっと危ない展開だったり耐える展開だったりしたが、藤澤五月選手がずっとナイスショットを投げ続けてくれた。吉田知那美選手はナイスコールで、本当にチーム力を見せつけられた試合だった」と話していました。
サードの吉田知那美選手は3点をとられた第7エンドについて「4位で準決勝に進んだ私たちの最大のアドバンテージは、予選でほかの3チームよりもたくさんのミスやたくさんの劣勢を経験できていることだ。私たちは3点や4点とられることもすでに経験しているので、驚くことなく、冷静にその後の展開を作れたのがすごくよかった」と話していました。

夢見た“世界最高のチーム”まであと1勝

オリンピックのカーリングで日本勢初の決勝進出。

チーム結成から12年。
北海道の小さな町から巣立った選手たちが“世界最高のチーム”になるという夢にあと1勝で届きます。

カーリング女子日本代表の「ロコ・ソラーレ」、メンバーは司令塔のスキップを務める藤澤五月選手と吉田知那美選手、鈴木夕湖選手、吉田夕梨花選手、それに、石崎琴美選手の5人です。

チームは2010年に本橋麻里選手が「ふるさとの北海道北見市からオリンピックを目指したい」と創設し「いつでも楽しくカーリングをするチーム」を目標に活動を続けてきました。
4人が一丸となって正確なショットを試合を通して行うためにリンクの内外でこまめに年齢が近いチームメートが積極的にコミュニケーションをとって技術の向上を図り、国際大会で結果を残すために力を養ってきました。

スキップの藤澤選手が豊富なカーリングの経験と知識から国内トップクラスの攻撃的な作戦を立て、吉田夕梨花選手と鈴木選手が世界でも屈指のスイープでショットをコントロール。

スイープもショットもこなす吉田知那美選手がムードメーカーとしてチームを盛り上げてどんな苦しい場面でも前向きにカーリングを楽しむスタイルを築き上げてきました。

そして、2016年の世界選手権で日本勢として初めて銀メダルを獲得すると、2018年のピョンチャンオリンピックで日本初の銅メダルを獲得しました。
北京オリンピックに向けてはカナダやヨーロッパで強化合宿や世界トップクラスのチームが参加する大会に出場して国際舞台での経験も積み重ねていきました。

新型コロナの影響で海外合宿ができない期間もあったものの、去年は十分な練習を重ね、2大会連続のオリンピック代表を決めると、藤澤選手が、「感謝の気持ちをもって思いっきりカーリングをしたい」と話すように4年間、待ち望んだ舞台に乗り込んで来ました。

北京オリンピックの予選リーグは5勝4敗と苦しんだものの、準決勝は予選リーグで敗れたスイスに一矢を報いて念願の金メダルまであと1勝としました。

【日本×スイス 試合経過】

日本時間21:05 試合開始 日本は先攻

北京オリンピック、カーリング女子は準決勝が始まりました。
相手は前日、日本が4対8で敗れている世界ランキング2位のスイス。
選手たちはカメラを向けられると笑顔で「日本のみなさんこんばんは!」「がんばります!」などと話し、手を振っていました。
第1エンドは不利な先攻となります。

第1エンド 日本 0-0 スイス(後攻)

まずは両チーム、アイスの状態を確認するかのような第1エンド。
互いにストーンをはじき合う「テイクアウトゲーム」となりました。
相手のスキップは最後のショットで日本のストーンをはじき出したうえで自分たちのストーンも外に出し、両チーム無得点の「ブランクエンド」となりました。
選手たちはこの会場について「アイスの読みが難しい」と口をそろえていますが、立ち上がりはショットが狙いどおりに決まっています。
第2エンドも日本は先攻です。

第2エンド 日本 0-1 スイス(後攻)

第2エンドは見応えのある攻防でした。
スイスがナンバーワンとスリー、日本がナンバーツーという状況。
相手に複数得点の可能性があり、日本は最後の1投を残して4人で2分以上かけて慎重に作戦を話し合いました。
そしてスキップ藤澤選手はわずかな隙間をぬって相手のナンバースリーを少し押し下げる、ほぼ狙いどおりのショットを決めました。
これに対し、相手は最後の1投で2点を取るため、日本の手前のストーンを使って日本のナンバーツーをはじき出しに来ました。
このショットもほぼ狙いどおりでしたが、手前にあった日本のストーンがわずかにナンバーツーになり、得点は1点にとどまりました。
次のエンドは日本がこの試合初めての後攻です。

第3エンド 日本(後攻)1-1 スイス

日本は複数得点を狙うため、円の中にストーンをためたいところ。
しかしスイスは日本のストーンを打ち出しながらより中心の近くにストーンを集め、日本にいい形を作らせません。
結局、ナンバーワンからスリーがスイスという状況で藤澤選手のラストショットを迎えます。藤澤選手は9時方向にある相手のストーンをはじいてナンバーワンを取りにいきましたがこのショットが若干ずれ、投げたストーンも出てしまいそうになりました。
しかし6時方向にあった相手のナンバーツーに当たって、なんとかナンバーワンを確保。日本、ヒヤリとする場面でしたがなんとか1点をあげました。

第4エンド 日本 1-2 スイス(後攻)

日本は先攻。相手の複数得点を防ぐため、円の中にストーン2つを置いていく作戦です。
スイスはダブルテイクアウトを狙ってきますが、なかなか成功せず、最後まで日本のストーン2つが残りました。
スイスは最後のショット、日本のストーンを打ち出して自分のストーンをとどめる「ヒットアンドステイ」で1点を獲得するしかありませんでした。ここまで両チーム、後攻で1点を取り合う展開。
緊迫した試合になっています。

第5エンド 日本(後攻) 5-2 スイス

我慢を続けてきた日本がついにビッグエンドを作りました。まずはスキップ藤澤選手の1投目、ナンバーワンとスリーが日本、ツー、フォー、ファイブがスイスという状況でスイスのフォーとファイブの両方をはじき出すダブルテイクアウトを決めます。
これに対してスイスは最後の1投で日本のストーンをはじき出せず、円の中のストーンは日本が3つ、スイスが2つという形に変わりました。ここで藤澤選手のラストショット、相手のストーン2つを一気にはじき出すダブルテイクアウトを再び決め、4点を奪いました。
大逆転勝利を収めたデンマーク戦を思い出させる藤澤選手のスーパーショットで、日本は3点をリード。
一気に流れを引き寄せ、前半を終えました。

ハーフタイム「コミュニケーションが取れている」

第5エンド終了後のハーフタイム、日本の選手たちはお菓子を食べながら、落ち着いた表情で残りの持ち時間を確認したり、後半に向けての作戦を話し合ったりしていました。
日本の選手からは「コミュニケーションが取れている」との声もあがっていて、順調な試合運びができていることがうかがえます。
ここまでのショット成功率は日本は92%、スイスが77%と、日本が上回っています。特に第5エンドはスイスのテイクアウトショットのミスから広がったチャンスを日本が着実にものにしました。後半、第6エンドは先攻からスタートです。

第6エンド 日本 6-2 スイス(後攻)

日本は後半も相手に流れを渡しません。円の中に日本のストーンが3つ、スイスのストーンが2つという状況で、先攻の日本は藤澤選手がラストショットで相手のストーンをはじきにいきました。
このショットはわずかにラインがずれましたが、日本はストーンが滑っているさなかに作戦を切り替え、スイープで滑りを調節して自分のストーンに当てつつナンバーワンを取る「ヒットアンドロール」にしました。
これで日本のナンバーワンとツーを円の中心付近に作ることができ、相手にプレッシャーをかけます。
スイスは最後の1投でナンバーワンを取りに来ましたが、このショットがミスとなり、中心付近に寄せきれません。日本は不利な先攻から1点をスチール。点差をさらに広げています。

第7エンド 日本 6-5 スイス(後攻)

先攻の日本は相手の複数得点を防ぐためハウスの中心付近にストーンを置いていきました。
狙いどおりに日本のストーンとスイスのストーンが2つずつという状況を作りましたが、スイスのフォースに1投目で日本のストーンだけをはじき出す「ダブルテイクアウト」を決められました。
これで円の中にスイスのストーンが3つと変わり、スキップの藤澤選手は最後の1投で1つでも多くはじき出そうとしますが、結局、2つは残ってしまいます。
スイスは最後の1投で日本のストーンもはじき出し、3点を獲得。
スイスが底力を見せ、ビッグエンドを作りました。

第8エンド 日本(後攻) 7-5 スイス

スイスは第1投、第2投とガードストーンを置いてきました。
最初の5投目まではガードストーンを外に出すと元の位置に戻されてしまいますが、リードの吉田夕梨花選手はガードストーンに軽く当ててずらすショット、「ウィック」を連続して決めて相手に形を作らせません。吉田夕梨花選手が得意とするこのショットは「ゆりかタイム」とも呼ばれています。
しかし、スイスも最後のショットでガードストーンの裏にナンバーワンを作り、日本の複数得点を阻止しようとします。
このストーンを出すのが難しいと判断した日本は最後の1投でさらに中心に近いところにきっちりドローショットを決めて手堅く1点を獲得しました。残り2エンド、日本のリードは2点です。

第9エンド 日本 7-6 スイス(後攻)

好調の藤澤選手が日本の窮地を救いました。スイスのストーンだけが円の中に4つという状況を作られ、複数得点を奪われるおそれがある場面。藤澤選手が1投目でしっかりとダブルテイクアウトを決め、スイスのストーンを減らします。スイスももう一度日本のストーンをはじき、またも円の中にスイスのストーン3つという形。
しかし藤澤選手は2投目、またしてもダブルテイクアウトを決め、スイスのストーン2つをはじき出しました。
スイスは日本のストーンをはじいて2点を取りに行きましたが投げたストーンも外に出してしまったため、1点止まり。
日本は大ピンチから失点を最小限に抑え、リードして最終エンドを迎えます。

第10エンド 日本(後攻)8-6 スイス

日本が有利な後攻で1点をリードして迎えた最終の第10エンド。日本はスイスのストーンを出して、円の中のストーンを減らします。
そして最後は円の中に相手のストーンが1つある状況で、藤澤選手がより中心の近くにストーンを置く確実なショットを決めて1点を獲得。
日本は8対6で勝利し、20日に行われる決勝進出を決め、銀メダル以上が確定しました。
試合が決まった瞬間、日本の選手たちはラストショットを投げた藤澤選手のもとに集まり、抱き合って喜びを分かち合っていました。