衆院予算委 集中審議 入国者上限など水際対策緩和で論戦

国会では衆議院予算委員会で集中審議が行われました。
来月から水際対策が段階的に緩和されることをめぐり、与野党双方から入国できずに海外で待機する留学生などへの配慮を求める意見が出され、岸田総理大臣は、感染状況などを見極めながら一日当たりの入国者の上限について検討を続ける考えを示しました。

自民党の岩屋 元防衛大臣は、新型コロナワクチンの3回目接種について「2年間以上もマスクをして、国民も疲弊しており、一日も早く安心と活力を取り戻すことが1丁目1番地だ。日常が戻っていない中、特にワクチン接種は急がなければならない」と述べました。

岸田総理大臣は「手綱を緩めることなく、安定的に一日100万回のペースで接種が進むよう、全力で取り組んでいきたい。特に3回目の接種は、発症予防と重症化予防の要となると考えており、ぜひ多くの方々に接種していただくよう発信も努めていきたい」と述べました。
公明党の伊佐進一氏は、来月から水際対策が段階的に緩和されることについて「一日当たりの入国者の上限のキャパシティーは5000人に拡大されるが、待機している留学生は15万人いる。しっかり調整して、混乱がないように留学生を優先して受け入れてほしい」と求めました。

末松文部科学大臣は「これまで待機してきた留学生や4月に入学予定の留学生が可能なかぎり円滑かつ継続的に入国できるよう、国内外の大学などに速やかな対応を促していく。関係省庁と緊密に連携し、留学生が最後の1人まで入国できるように着実に取り組みたい」と述べました。
立憲民主党の城井崇氏は「一日の海外からの入国者を3500人から5000人へと広げると認識しているが、留学生や技能実習生など40万人の待機者がいる。5000人だと、かなり先にならないと入国できない人が出るのではないか」とただしました。

岸田総理大臣は「5000人に戻したがあくまで第1弾だ。今後も内外の感染状況や検疫体制、各国の水際対策の状況も把握しながら、どう対応を変化させていくか絶えず考えていかなければならない。入国の上限枠も引き続き検討しできるだけ早く、平時の生活や活動に戻せるよう努力を続けていきたい」と述べました。
日本維新の会の小野泰輔氏は、外国産のアサリが熊本県産と偽って販売されていた問題について「熊本県庁にものすごい苦情が来ている。これから実態が解明されるだろうが、二度と消費者を裏切らないような対策をどのように進めていくのか」と質問しました。

金子農林水産大臣は「仕入れ先や販売先などの流通ルートをさかのぼって立入検査などを行っているところで法に違反する事実を確認した場合は表示の是正などの指示、公表を行い、消費者庁と警察に情報共有を行う。厳正に対応していきたい」と述べました。
国民民主党の玉木代表は、原油価格の高止まりが続く中、ガソリン税の上乗せ分の課税を停止する、いわゆる「トリガー条項」について「そろそろ決断すべきだ。トリガー条項のような、これまでとは違う、異次元のガソリン価格高騰対策が必要ではないか。しっかり検討して導入することも含めて考えてほしい」と求めました。

岸田総理大臣は「エネルギー価格の高騰、さらには急騰から国民生活や日本経済を守るために、実効性ある激変緩和措置が必要だ。今後の状況も踏まえてあらゆる選択肢を排除せず、集中的に検討していきたい」と述べました。
共産党の塩川鉄也氏は、保育士の賃金について「全産業平均との比較では、賃金格差は月額9万円以上になる。賃上げの取り組みによって、この格差を解消するのか」とただしました。

岸田総理大臣は「他の職種に比べ低い状況にあり、人材確保に向けて処遇改善に取り組む必要がある。新しい資本主義を起動させる分配戦略として、保育などの現場で働く人の給与を3%、月額9000円程度引き上げる。女性保育士の賃金は、全産業の女性の平均並みまで引き上げることになる」と述べました。

一方、岸田総理大臣は、新型コロナの国産治療薬の開発に関連して、政府として購入契約を進めるよう求められ、「これまでも臨床試験の結果で、一定の安全性や有効性が示された場合には、その後の承認を条件として購入契約を行い、必要量の確保は行ってきた。一定の安全性・有効性が示された場合には同様の取り扱いができる」と述べました。