新型コロナ感染者数 1週間平均 全国で約2か月半ぶりに減少

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、全国では去年12月初め以来、およそ2か月半ぶりに減少に転じ、まん延防止等重点措置が適用されている地域のうち、20日に解除される方針の沖縄県などを含む37の都道府県では前の週より減少しました。

一方で、重点措置が適用されている地域でも増加が続いているところもあり、全体として減少のスピードは緩やかになっています。

NHKは各地の自治体で発表された感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。

全国では

▽1月20日までの1週間では、前の週に比べて3.20倍
▽1月27日は1.94倍
▽2月3日は1.42倍
▽2月10日は1.11倍
▽2月17日まででは0.88倍と、
去年12月初め以来、およそ2か月半ぶりに減少傾向となりました。

1日当たりの新規感染者数は8万2069人で、先週から1万人以上減ったものの、依然、多い状態が続いています。

20日に重点措置が解除される方針の沖縄県など、5県を含む合わせて35の都道府県で前の週より感染者数が減っている一方で、重点措置が適用されている地域でも増加が続いているところもあります。

まん延防止等重点措置 解除の地域

20日に解除される方針の地域では、おおむね緩やかな減少傾向となっています。

【沖縄県】
▽2月3日までの1週間は前の週の0.71倍
▽2月10日は0.79倍
▽2月17日まででは0.91倍と、
減少傾向となっていて、1日当たりの新規感染者数はおよそ556人となっています。

【山口県】
▽2月3日までの1週間は前の週の0.96倍
▽2月10日は0.87倍
▽2月17日まででは0.91倍と、
減少傾向となっていて、1日当たりの新規感染者数はおよそ275人となっています。

また、
◇山形県は、2月17日までの1週間では前の週の0.79倍、
◇島根県は0.98倍
◇大分県は0.84倍で、
横ばいから減少傾向となっています。

まん延防止等重点措置 延長の地域

延長される方針の地域の多くでも、新規感染者数は減少傾向となっています。

【大阪府】
▽2月3日までの1週間は前の週の1.46倍
▽2月10日は1.13倍
▽2月17日まででは0.90倍と、
去年12月中旬以来、およそ2か月ぶりに減少に転じました。

1日当たりの新規感染者数はおよそ1万1656人で、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は全国で最も多い923.22人となっています。

【京都府】
▽2月3日までの1週間は前の週の1.52倍
▽2月10日は1.10倍
▽2月17日ででは0.79倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数はおよそ2090人となっています。

【兵庫県】
▽2月3日までの1週間は前の週の1.53倍
▽2月10日は1.16倍
▽2月17日まででは0.81倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数はおよそ4522人となっています。

直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は大阪府、東京都に次いで3番目に多い579.27人となっています。

【広島県】
▽2月3日までの1週間は前の週の0.91倍
▽2月10日は0.85倍
▽2月17日まででは0.83倍と、
減少傾向となっていて、1日当たりの新規感染者数はおよそ861人となっています。

【北海道】
▽2月3日までの1週間は前の週の1.62倍
▽2月10日は1.17倍
▽2月17日まででは0.85倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数はおよそ2947人となっています。

【福岡県】
▽2月3日までの1週間は前の週の1.46倍
▽2月10日は1.05倍
▽2月17日まででは0.86倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は3976人となっています。

◇青森県は、2月17日までの1週間では前の週の0.92倍
◇福島県は0.77倍
◇茨城県は0.88倍
◇栃木県は1.00倍
◇石川県は0.81倍
◇長野県は0.83倍
◇静岡県は0.84倍
◇和歌山県は0.87倍
◇岡山県は0.74倍
◇佐賀県は0.87倍
◇鹿児島県は0.88倍となっています。

まん延防止等重点措置 そのほかの地域

【東京都】
▽2月3日までの1週間は前の週に比べて1.45倍
▽2月10日は1.05倍
▽2月17日まででは0.84倍と,
去年12月上旬以来およそ2か月半ぶりに減少に転じました。

1日当たりの新規感染者数はおよそ1万4936人となっていて、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は744.28人と、大阪府に次いで多くなっています。

【神奈川県】
▽2月3日までの1週間は前の週の1.64倍
▽2月10日は1.15倍
▽2月17日まででは0.90倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数はおよそ7444人となっています。

【埼玉県】
▽2月3日までの1週間は前の週の1.47倍
▽2月10日は1.28倍
▽2月17日まででは0.88倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数はおよそ5140人となっています。

【千葉県】
▽2月3日までの1週間は前の週の1.39倍
▽2月10日は1.36倍
▽2月17日まででは0.88倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数はおよそ4575人となっています。

【三重県】
▽2月3日までの1週間は前の週の1.52倍
▽2月10日は1.10倍
▽2月17日まででは0.93倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数はおよそ681人となっています。

重点措置が適用されている地域で増加が続いているところもあります。

【愛知県】
▽2月3日までの1週間は前の週の1.42倍
▽2月10日は1.07倍
▽2月17日まででは1.04倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数はおよそ5895人となっています。

【岐阜県】
▽2月3日までの1週間は前の週の1.34倍
▽2月10日は1.05倍
▽2月17日まででは1.08倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数はおよそ935人となっています。

今月12日から重点措置が適用された
【高知県】
▽2月3日までの1週間は前の週の1.75倍
▽2月10日は1.17倍
▽2月17日まででは1.06倍と、
増加が続いていて、1日当たりの新規感染者数はおよそ246人となっています。

また、
◇群馬県は2月17日までの1週間では、前の週に比べて0.84倍
◇新潟県は1.02倍
◇香川県は1.00倍
◇長崎県は0.82倍
◇熊本県は0.86倍
◇宮崎県は0.77倍となっています。

専門家「医療現場はこれからが正念場」

感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、現在の感染状況について「新規感染者数からいえばピークを越えていると考えていいと思う。ただ、減少のスピードは、まだそれほど早いとは言えず、先行している沖縄でも減り方は緩やかで、減少してきたからといって安心はできない。重症者数や死亡者数は新規感染者数の増加に少し遅れて増えるが、それが、まさにこれからで、医療現場はこれからが正念場だ」と述べました。

そのうえで「デルタ株が主流の『第5波』までは、ウイルス自体の病原性が高く、肺炎を起こして亡くなるケースが多かった。ところが今回は、例えば糖尿病の人がかかると血糖値がものすごく高くなるなど、もともとある疾患が悪化して亡くなる人が増えている状況がある。病床や検査態勢を拡充し、自宅療養者が医療を受けやすいようにする対策に引き続き力を入れていく必要がある。高齢者や重症化リスクの高い人たちに、ワクチンの追加接種をなるべく早く進めていくことも重要だ」と指摘しました。

さらに濱田特任教授は「欧米では、生活や社会経済を新型コロナの流行前に戻していく方向に急に向かっているが、日本は新規感染者数がようやくピークを越えた段階で、まだワクチンの追加接種の接種率も10%を超えた程度だ。感染者数が多くない地域では、社会経済を戻す方向に動くのはよいと思うが、東京や大阪など非常に多い地域は、医療の状況のほか、とりわけ高齢者などの追加接種の率を参考にしながら、まん延防止等重点措置の解除を考えていく必要がある」と話しています。